102.連結会社間取引の考え方と仕訳処理(商品の販売と仕入れ)(簿記2級)

更新日:2019年9月26日
公開日:2018年4月30日

連結会社間取引の考え方と仕訳処理(商品の販売と仕入れ)

前回、「商業簿記入門その105~開始仕訳と資本連結(支配獲得後)の仕訳処理(2級)」では、支配獲得時の資本連結の仕訳処理について解説しました。

今回は連結会社間取引の考え方や連結会社間取引のうち、商品販売と仕入れの連結修正仕訳について解説します。




連結会社間取引とは

連結会社間取引(れんけつかいしゃかんとりひき)とは、親会社と子会社、子会社同士といった、企業グループ内の内部取引のことをいいます。

具体的な取引としては、商品の販売と仕入れ、固定資産の売買、資金の貸し付けと借入、配当金の配当と受け取りなどが存在します。

今回は、商品の販売と仕入れについて解説します。

連結会社間取引の連結修正仕訳の考え方

連結会社間取引は、企業グループを1つの会社として捉えると、内部取引に該当します。

したがって、連結財務諸表を作成する手続き上では、取引はなかったものとして、消去する必要があります。

具体的には、連結会社間取引について、親会社が記帳した仕訳処理と子会社が記帳した仕訳処理を相殺消去します。

つまりは、「貸借反対の仕訳をきる」ということです。

通常は、貸借どちらかに親会社で記帳した勘定科目を記入し、反対の貸借に子会社で記帳した勘定科目を記入することで、連結修正仕訳をきることになります。

ただし、親会社と子会社の財務諸表を合算したものから、必要のない部分(連結財務諸表では計上すべきでない部分)のみを消去するように連結修正仕訳をきります。

例えば、「親会社から子会社に10円の現金を送金した」という取引の場合には、現金勘定の部分だけを考えると、親会社は10円減少し子会社は10円増加します。各々の貸借対照表を合算した結果、この部分だけを見ると現金勘定はプラスマイナスゼロであるため影響がありません。従って、この取引は連結修正仕訳をきる必要がないということになります。

非支配株主の存在

やっかいなのが、子会社株式を100%親会社が取得していない場合、つまり、非支配株主が存在する場合です(出題はこのケースが想定されます)。

子会社の損益に影響がある取引の場合、すなわち、収益や費用が発生する場合、その損益のうち非支配株主持分の割合は、非支配株主に属する損益です。

従って、子会社の損益に影響がある連結修正仕訳を行った場合には、同時に非支配株主持分についても仕訳処理を行う必要があります。




連結会社間取引-商品の販売と仕入れ

以上の知識を前提として、今回含め3回に渡って連結会社間取引を考えていきます。

今回は、商品の販売と仕入れに関する簡単な取引についてです。

例えば、親会社が当期に外部から100円で仕入れた商品を同額の100円で子会社に掛け販売した場合で、かつ、決算までに子会社はこの代金(買掛金)を親会社に支払っておらず、さらにこの商品は子会社の手元にある場合を考えてみます(親会社は100円で仕入れて100円で販売するため利益は発生しません)。

(考え方の手順1)親会社と子会社の仕訳と財務諸表を書き、合算して修正前の連結財務諸表を書く

結果は次の通りになります。

連結会社間取引(商品販売と仕入れ)

連結会社間取引の連結修正仕訳を考える際に注意すべき点は、「連結会社間取引に関連する取引を全てもれなく検討する」ことです。

今回の例であれば、決算修正仕訳の貸倒引当金の繰り入れになります。

※なお、子会社P/Lの当期商品仕入高と期末商品棚卸高は記載せず、「売上原価 0」だけでも構いませんが、詳細を解説したいことから厳密な書き方で記載しています。

「売上原価※」の※は、集計用の表示科目(売上原価)であり、仕訳には関係がないということを示すために付しています(以下同様。今回の説明用に付しているだけであり、もちろん本来の決算書の書き方では、ここに※は付しません)。

(考え方の手順2)あるべき連結財務諸表を書く

上の図に連結修正仕訳(これから検討)と「あるべき連結財務諸表」を追加した図は次の通りになります。

あるべき連結財務諸表

修正前の連結B/SとP/Lは、親会社と子会社の財務諸表を単純に合算しただけです。従って、あるべき連結B/SとP/Lではありません。

あるべき連結B/SとP/Lには、親会社が外部から商品を仕入れた取引のみが反映されます。それ以外の取引は内部取引であるため、連結修正仕訳によって全てを消去します。




(考え方の手順3)連結修正仕訳を検討して書く

最後に連結修正仕訳を考えましょう。

修正前の連結B/S、P/Lに記入してある勘定科目と金額が、あるべき連結B/S、P/Lになるように、反映させない科目と金額は、連結修正仕訳にて反対の仕訳をきればよいことが分かります。

結果は次の通りです。

連結修正仕訳

対応関係が分かるように、色でマーカーしています。

【補足】非支配株主について

今回の例では、非支配株主の存在は考慮していません。なぜなら考慮する必要がないからです。例えば、親会社が80%の子会社株式を取得しており、20%の非支配株主が存在しているとしても、今回の例では、子会社の損益(収益と費用)に影響を与える仕訳は存在しません(途中の商品仕入高や期末商品棚卸高1つ1つでは影響はありますが、一括した売上原価ではセロのため影響はありません)。損益に影響する仕訳は親会社のみになっています。以上から、非支配株主を考慮する必要がない、ということです。

今回の例は「ダウンストリーム」の取引です。一方で「アップストリーム」の取引では、非支配株主を考慮して連結修正仕訳をきる必要があります(後の回にて解説)。

連結修正仕訳の留意点

まず、連結修正仕訳の当期商品仕入高の部分は仕入勘定ではありません。

連結修正仕訳では、勘定科目ではなく貸借対照表と損益計算書の「表示科目」を使用します。

財務諸表(決算書)を作成する際に、例えば仕入勘定という勘定科目は「期首商品棚卸高」「当期商品仕入高」「期末商品棚卸高」「売上原価」といった表示科目に「組み換え」を行います。

連結会計は、個別のB/SとP/Lが完成した状態でスタートします。

従って、「期首商品棚卸高」「当期商品仕入高」「期末商品棚卸高」「売上原価」といった表示科目で連結修正仕訳を考えます。仕入勘定という勘定科目は使用しません。

※なお、今回は、厳密な書き方で「当期商品仕入高」として連結修正仕訳をきっていますが、「期首商品棚卸高」「当期商品仕入高」「期末商品棚卸高」は使用せず、一貫して売上原価勘定で連結修正仕訳に記入しても構いません。

同様に、売上勘定という勘定科目ではなく、「売上高」という表示科目で連結修正仕訳をきっています。

また、貸倒引当金繰入は、連結P/L上では、販売費及び一般管理費として、他の販売費及び一般管理費の科目とともに集計され、1行で「販売費及び一般管理費」と表示することが多いと思います。従って、貸倒引当金繰入ではなく、販売費及び一般管理費と仕訳しても構いません。

このような点は、問題文の個別(親会社と子会社の)貸借対照表と損益計算書に表示されている科目、および解答用紙の連結貸借対照表、連結損益計算書の科目から判断してください。

※原則的な考え方を説明しています。実際の試験では出題に応じて柔軟に考えて連結修正仕訳に反映できるようにしておきましょう。

さらに連結修正仕訳の仕訳の並びですが、親会社と子会社の勘定科目を貸借に記入するようにテキストや問題集の解答では説明してあることが一般的です。

3番目の貸倒引当金のように親会社、または子会社の一方でしか仕訳していない場合には、個別の仕訳を逆にしたものを記入します。

問題演習を繰り返してこの仕訳の並びに慣れましょう。




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まとめ

今回は連結会社間取引の考え方と商品販売と仕入れの連結修正仕訳について解説しました。今回の例で解説したように、個別の仕訳、B/S、P/Lとあるべき連結B/S、連結P/Lを図にして、その図から連結修正仕訳を考える、といったように図を使って問題を解くことをお勧めします。例えば今回の図をより簡略化したものを使って問題を解いてみましょう。







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