【簿記2級編】難しい連結会計のコツと勉強方法を公認会計士が解説

分厚い本

簿記2級では最重要論点といってもいい位、頻出かつ高配点の「連結会計」。

複雑な仕訳構造や背景の理解を求められる分野であるため、苦手としている受験生もたくさんいます。

本記事では、日商簿記2級の傾向分析を行って電子書籍テキスト・問題集を執筆・出版している公認会計士が、連結会計を学習する上で役立つようなポイント(コツ)について解説します。

連結会計が難しい理由

連結会計を苦手としている方、難しいと感じる方が多いのは当然なのです。

なぜならば単純明快、「初めて学習する複雑な構造だから」です。

これまでに学んできた個別の財務諸表(B/S、P/L)、そして沢山の勘定科目。

これらを学ぶことも大変ですが、1つ1つの論点は多くありません。集中して時間をかけて勉強すれば、勉強量に比例して得点力も高くなります。

これに対して連結会計は、個別の財務諸表と同じく連結B/S、P/Lの構造を理解しなければなりません。しかも、個別の財務諸表とは異なる部分が沢山あります。

また、

「親会社と子会社の2社の財務諸表が登場する」
「使用する勘定科目がややこしい」
「連結修正仕訳が沢山あるが、なぜこのような仕訳になるのか理解できない」
「資本連結って何?」
「非支配株主持分はどんな時に増減するの?」
「未実現利益ってなぜ消去するのか?」
「アップストリームだと仕訳が増えるのはなぜ?」

などなど。疑問点になりそうな難しいところが、たくさん存在します。

これらを1つずつ消化して理解した上で問題を解かないと、得点が伸びません。部分的には暗記でも対応できますが、税効果会計と異なり、配点も高く、範囲も広いので全て暗記ではなかなか対応は難しいのです。

論点別の勉強ポイントとコツ

以上から、「連結会計対策」は試験に合格する上でも、そして今後、簿記を活かす上でも行うべきです。今の国際社会では、連結会計に強ければ強いほど、経理だけでなく様々な分野で活躍しやすいのは間違いありません。「活躍したければ連結会計・企業結合会計・税効果会計に精通せよ」です。

※企業結合会計は簿記1級で登場します。連結会計と同様、苦手な方が多い論点です。

というわけで、連結会計の論点別のポイントや学習上のコツを挙げてみましたので、ご参考頂ければ幸いです。

1.連結財務諸表の構造

「親会社と子会社のB/SとP/Lを合算する」「合算した後、連結修正仕訳を反映させて連結B/S、連結P/Lを作成する」ということを理解します。

そして、連結修正仕訳で反映させるのは

「B/SとP/Lに載っていない取引を追加する」
「B/SとP/Lから内部取引を消去する」

という2つのパターンがあることを念頭に置いて連結修正仕訳を考えるようにします。

2.勘定科目

個別のB/S、P/Lの科目がそのまま連結修正仕訳で使う勘定科目になります。

例えば、「売上」ではなく、「売上高」。「仕入」ではなく「当期商品仕入高」です。

「期首商品棚卸高」「当期商品仕入高」「期末商品棚卸高」を分けて仕訳を解説する場合もありますが、全てを1つに「売上原価」として解説している場合もあります。この点は、最終的な解答(連結B/S、P/L、精算表、仕訳)が書ければよいので、自身が分かっていればあまり「売上」と「売上高」などはこだわる必要はありません。

簿記1級以上になると、厳密に分けて学習することになります。簿記1級を目指す方は今のうちに分けて覚える習慣を付けておくとよいと思います。

3.連結修正仕訳

テキストによっては書いてある場合もありますが、

「個別の仕訳」
「連結会計上あるべき仕訳」
「連結修正仕訳」

の3種類の仕訳を書いていくと、各々の連結修正仕訳が理解できるようになります。

逆にこれらを区別していないと、単なる暗記になりがちです。

4.理論

資本連結を理解することが、連結会計の理解の第一歩といえますが、その背景には

「親会社説」

という考え方や、

「子会社は誰のものか?」

という「支配」に関する考え方が存在します。

こういった考え方を読んでおくと、次の資本連結の仕訳にも理解がいきます。

5.資本連結

親会社が保有する「子会社株式」と子会社B/Sの「資本金、資本剰余金、利益剰余金」といった資本科目を相殺し、「のれん」を計上する手続きが「資本連結」に該当します。

「4.理論」の考え方が理解できていると資本連結の仕訳が理解できるようになります。

6.非支配株主持分

たびたび「非支配株主持分」が仕訳に登場し、頭を悩ませる方も多いです。

「非支配株主持分」とは何か?
「連結会計でなぜ登場するのか?」
「連結B/Sの純資産の部に表示するのはなぜか?」

といったことを理解できれば、非支配株主持分を仕訳として書くのかどうか、自信を持って判断できるでしょう。

7.非支配株主に帰属する当期純利益

連結P/Lの「当期純利益」は真の当期純利益ではないことを知っていましたか?

「非支配株主に帰属する当期純利益」は連結会計上、費用の性質を有することを分かっていましたか?

これらを理解しておきます。

8.商品売買取引

「未実現利益とは何か?」「期首商品、当期仕入、期末商品に対する連結修正仕訳はなぜこのように仕訳するのか?」をおさえます。

「3.連結修正仕訳」で解説した通り、はじめは「個別仕訳」「連結上あるべき仕訳」「連結修正仕訳」に分けて考えていくと理解できるようになります。

「アップストリームの場合に追加する仕訳は、なぜ追加するのか?」は、非支配株主に帰属する当期純利益と非支配株主持分が理解できていれば分かるようになります。

十分な勉強時間を割り当てる

以上のようなたくさんの論点が連結会計には含まれています。テキストでは、1つの論点として解説がありますが、本来であれば位置的には個別会計(仕訳、B/S、P/L)と並列する論点です。1つ1つの論点が消化不良にならないよう、じっくりと時間をかけて取り組みます。

難問を素早く見抜いてパスする意思(取捨選択力)を身に付けよう

過去には簿記2級のレベルを遥かに超える難問が、連結会計の問題として出題された時期がありました。

また、そこまでの難問ではなくても、商品売買取引のアップストリームなど、苦手としている論点が出題される場合もあります。

私は、このような難問が出題される背景の1つとして「取捨選択力」を問うている、と考えています(統一試験にこだわらず、ネット試験を受けろ、という別の理由もあるのかもしれませんが。あくまでも推測です)。

実際の経理などの仕事でも、決算をはじめ、締め切りが決まっている仕事が多くあります。このような仕事で取捨選択力は非常に大事なスキルなのです。例えば、極端な話、1円の原因を調査するのに何日もかけて、もっと大きな取引がお留守になってしまっては元も子もありません。

けれども、ここまで極端な話ではありませんが、こんな事例はどの会社でも数えきれないほど日常茶飯事に発生しています。

「悔しいから、あと少しだから、興味あるから」を抑えて、受験の目標「70点以上を取って合格する」を心と頭に置き、自己コントロールして全体を見て、得点できるかどうか判断し、後回しにするかどうか意思決定しましょう。

慣れるまで問題の反復演習とテキストの熟読

ここまで来れば、あとは問題を反復演習し、分からない点があれば、テキストに立ち戻る、を繰り返すのみです。

必ず本試験の過去問(類題)の最新問題集を使いましょう。

【著書の紹介です】 PDCA会計 連結会計入門 苦手な会計理論を徹底解説(実務に役立つシリーズ8)

以上のうち、「論点別の勉強ポイントとコツ」の各論点を解説した本が「PDCA会計 連結会計入門」です。300円(税込み 2022年6月14日現在)とお求めやすい価格になっています。

簿記2級の連結会計の範囲を網羅しています(配当の仕訳も解説していますが、簿記2級の範囲外です)。

この一冊で簿記2級の連結会計は理解できるようになっていますが、まだまだ有名書籍と比較すると見劣りする点はあるかもしれません。しかし、皆さんの理解を促す書籍と自負しています。ご興味あるようでしたらば、ご利用頂ければと思います。

本記事を最後までお読み頂きましてありがとうございました。

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