ダウンストリームとアップストリーム(簿記2級)|未実現利益の連結仕訳
記事最終更新日:2023年6月13日
記事公開日:2018年4月30日
ダウンストリームとアップストリームについて、未実現利益の連結仕訳を解説します。
ダウンストリームとアップストリーム(簿記2級)|未実現利益の連結仕訳
目次
ダウンストリームとは
ダウンストリームとは、親会社が子会社に販売する取引の流れをいいます。
下記の記事の取引は全てダウンストリームに該当します。
アップストリームとは
アップストリームとは、子会社が親会社に販売する取引の流れをいいます。
未実現利益とは
未実現利益とは、親会社と子会社など企業集団内の内部取引で発生した利益が、企業グループ外部との取引により実現していない状態の利益をいいます。
連結会計上での未実現利益の取り扱い
連結財務諸表に関する会計基準に基づき、未実現利益は連結修正仕訳にて消去します。
未実現利益と非支配株主
非支配株主が存在する場合には、子会社の損益のうち非支配株主に帰属する部分は非支配株主持分の増減として処理します。この点においてダウンストリームとアップストリームとで未実現利益に関する連結仕訳が異なります。
会計処理
アップストリームの場合に発生する子会社の未実現利益のうち、連結仕訳として計上した非支配株主に帰属する部分は、連結財務諸表に関する会計基準に基づき消去します。その他の点はダウンストリームの商品売買取引と同じです。
ダウンストリームの連結仕訳
商品売買取引を例にします。
ダウンストリームの取引例
- ・親会社が外部から100で仕入れた商品を120で子会社に掛け販売
- ・当期に子会社は代金を親会社に支払わない(次期に支払い)
- ・商品は子会社の手元にある(外部販売しない)
- ・親会社は子会社株式の80%を保有(非支配株主20%)
取引全体ではなく利益部分だけに焦点を当てます(全体の取引については後ほどまとめを掲載)。
<連結仕訳>
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品売買 (ダウンストリーム) | 売上高 | 20 | 売上原価 | 20 |
売上原価 | 20 | 商品 | 20 | |
買掛金 | 20 | 売掛金 | 20 |
アップストリームの連結仕訳
取引例は次の通り。両者の立場を入れ替えた以外は条件は変えていません。
アップストリームの取引例>
- ・子会社が外部から100で仕入れた商品を120で親会社に掛け販売
- ・当期に親会社は代金を子会社に支払わない(次期に支払い)
- ・商品は親会社の手元にある(外部販売しない)
- ・親会社は子会社株式の80%を保有(非支配株主20%)
<連結仕訳>
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
商品売買 (アップストリーム) | 売上高 | 20 | 売上原価 | 20 |
売上原価 | 20 | 商品 | 20 | |
買掛金 | 20 | 売掛金 | 20 | |
非支配株主持分 | 4 | 非支配株主に帰属する当期純利益 | 4 |
子会社利益の振替仕訳の消去
4行目がアップストリームに固有の連結仕訳です。他の仕訳はダウンストリームと同じです。子会社利益の振替に関する連結仕訳のうち、非支配株主に帰属する部分を相殺消去しています。
まとめ
商品売買取引全体についてダウンストリームとアップストリームを掲載します。
<ダウンストリーム>
<アップストリーム>
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