2-7 仕入・販売取引の伝票の作り方
商品の仕入れや販売を行った場合には伝票の記入方法は2種類あります。
※帳簿の説明のため、ここで解説しますが、解説していない仕訳が登場します。1周目では概要を把握し、2周目や問題演習の際に本格的に理解しながら読みましょう。
取引例と仕訳
商品販売を例に解説します。
<取引例-仕入・販売取引と伝票>
- 商品250,000円を販売し、代金は現金100,000円を受け取り、残額150,000円は掛けとした。
仕訳は次の通り。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 売上 | 250,000 |
売掛金 | 150,000 |
記入する伝票の種類
仕訳を見ると、1行目の借方が現金です。従って「入金伝票」で記入します。
次に2行目の借方は「現金」ではなく、貸方は存在しません。どちらも現金ではないので、「振替伝票」で記入します。
以上から「入金伝票」と「振替伝票」の2種類を使って伝票を作ります。
方法1-取引を2つに分けて記入する方法
貸方の売り上げを現金100,000円と売掛金150,000円の2つに分けて伝票を作ります。
※「2-3 仕訳の基本と取引の8要素」で、 「1仕訳に同一勘定科目を複数使用しない」と解説しましたが、1つの取引を2つの取引として考え、 2つの仕訳(伝票)を記帳する方法です。
仕訳を次の通り、書き換えて考えます。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
現金 | 100,000 | 売上 | 100,000 |
売掛金 | 150,000 | 売上 | 150,000 |
方法2-全額を掛けとして記入する方法
取引を次の通り解釈します。
<取引例-伝票の作り方(方法2)>
- 商品250,000円を販売し、代金は現金100,000円を受け取り、残額150,000円は掛けとした。
- ↓
- (1)商品250,000円を販売し、代金は全額掛けとした。
- (2)売掛金のうち100,000円を現金で回収した。
※こちらの方法でも、1つの取引を2つの取引に分けて考えるため、仕訳(伝票)も2つになります。
すると仕訳は次の通り。
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|
売掛金 | 250,000 | 売上 | 250,000 |
現金 | 100,000 | 売掛金 | 100,000 |
この仕訳を伝票にすると次の通り。
まとめ
冒頭の説明の通り、1周目では概要を把握し、2周目や問題演習の際に本格的に理解しながら読みましょう。
まとめとして、ポイントを記載します。
<伝票のポイント>
- ・取引を読んで2つの方法で伝票を作成できること
- ・伝票を見て2つの方法のどちらによる伝票なのかを読み取り、仕訳を作成できること
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