3-5 普通預金・定期預金・当座預金

現金と同じ資産の勘定科目である預金について解説します。

普通預金とは

普通預金(ふつうよきん)とは、自由に預入れや引出し、振込みなどができる預金口座をいいます。

皆さんも利用している、説明の必要がない位、生活にかかせないものです。

定期預金とは

定期預金(ていきよきん)とは、預入期間中は引き出しなどできないが、普通預金に比べて利率が高い預金口座をいいます。

普通預金ほどではありませんが、定期預金も個人が利用する預金口座です。

普通預金と定期預金の仕訳

普通預金の増減に関する取引は「普通預金(資産に属する勘定科目)」を、定期預金の増減に関する取引は「定期預金(資産に属する勘定科目)」を、それぞれ使用して仕訳します。

例えば、普通預金や定期預金にお金を預け入れた場合や、お金が振り込まれた場合には、借方に「普通預金」「定期預金」を記入し、貸方には現金や他の預金勘定などの勘定科目を記入します。利息の受け取りであれば、「受取利息(収益に属する勘定科目)」を貸方に記入します。

預金の種類取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金預入、利息受取など普通預金×××現金、預金、受取利息など×××
引出し、振込みなど現金、預金、費用科目など×××普通預金×××
定期預金預入など定期預金×××現金、預金、受取利息など×××
解約など現金、預金など×××定期預金×××

取引の8要素の一覧表

当座預金とは

当座預金(とうざよきん)とは、会社や個人事業主が支払い専用の預金口座として、銀行と当座取引契約に基づいて開設する預金口座です。

当座預金口座にはいくつかの特徴があります。主な特徴は次の通りです。

当座借越とは、企業は契約で定めた一定額(限度額)までを銀行に立て替えてもらうことによって、当座預金の残高を超えて小切手を振り出すことができる、とった特別な契約を銀行と締結した場合の、企業がこの限度額を利用した引出額(小切手振出額)をいいます。

この特別な契約を当座借越契約といい、通常は企業が担保などを差し入れることで締結できます(当座借越は次項で解説)。

当座預金の仕訳

当座預金の増減に関する取引は、「当座預金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

以下、いくつかのケースに分けて解説します。

預入時と引き出し時の当座預金の仕訳

通常の普通預金と同様に、現金を預金に預け入れた場合や資金移動により他の預金口座から当座預金へ振替を行った場合は、当座預金が増加します。

当座預金から預金を引き出した場合や他の銀行に預金の振替を行った場合は、当座預金が減少します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預入など当座預金×××現金、預金、受取利息など×××
引き出し、資金移動など現金、預金×××当座預金×××

小切手を振り出す場合の当座預金の仕訳

小切手とは、現金と同様に扱える証券です(「3-1 現金の範囲1-通貨と小切手」参照)。当座預金口座を持っている会社ならば、通貨(硬貨・紙幣)の代わりに小切手を振り出して取引相手に渡すことで代金の支払いになります。

そして、自社が振出人となった場合の小切手の振り出しは、小切手を振り出した時に当座預金の減少として仕訳します。

「小切手を受け取った取引相手が銀行に小切手を呈示した結果、実際に当座預金から預金が引き出された時」ではありません。

なぜならば、小切手とは振り出した時点で既に銀行に呈示すれば支払が行われる性質(一覧払といいます)を有しており、「流動性が高いため小切手は現金(通貨代用証券)として取り扱う」からです。

つまり、小切手を受け取った取引相手は現金を増加させるので、小切手を振り出した会社は当座預金を減少させる、ということです。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
小切手の振出現金、預金、費用科目など×××当座預金×××

自己振り出し小切手を受け取った場合の仕訳

一方で、「自社が振り出した小切手を取引相手から受け取る場合」があります。

この場合には、当座預金の増加として仕訳します。

なぜならば、小切手を振り出した時点で帳簿上は当座預金を減少させます。通常は取引相手が銀行に支払いの呈示を行い当座預金から実際に預金が引き出されるので、この時点で帳簿上の当座預金残高と実際の当座預金残高は一致します。

例えば、掛代金(「買掛金」を使用)の支払いとして、10万円の小切手を振り出して取引先に渡した場合、

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
買掛金100,000当座預金100,000

と仕訳します。

しかし、取引相手が銀行に小切手を呈示しないで自社に小切手が戻ってきた場合は、「実際の当座預金は減少されないまま」の状態です。

今後、取引先が銀行に小切手を呈示して実際の当座預金残高が減少することはないので、このままでは帳簿上と実際の当座預金残高は永久に不一致(帳簿上の当座預金残高が実際よりも10万円少ない状態)のままになってしまいます。

そこで、自社が振出人の小切手を受け取った場合には、当座預金を増加させる仕訳を記帳します。

すなわち、「小切手を振り出さなかった時の状態に戻す」ために、当座預金を増加させる仕訳を行います。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
自己振出小切手の受取当座預金×××売掛金、収益科目など×××

手形を振り出した場合の当座預金の仕訳

※手形は「第6章 手形取引」で解説します。

手形を振り出した時点では、当座預金の仕訳は行いません。

なぜならば、手形とは将来の日付を支払期日として定めて発行する証券だからです。小切手のように、振り出した時点でいつでも支払いが行われる訳ではありません。

従って、手形の場合には実際にお金が振り込まれたり引き出したりした時点で、当座預金を増価させたり、または減少させる仕訳を記帳します。

当座預金の仕訳(まとめ)

以上、当座預金について説明しました。仕訳を以下にまとめました。

預金の種類取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当座預金預入など当座預金×××現金、預金、受取利息など×××
引き出し、資金移動など現金、預金×××当座預金×××
小切手の振出現金、預金、費用科目など×××当座預金×××
自己振出小切手の受取当座預金×××売掛金、収益科目など×××

取引の8要素の再掲

複数の口座を開設した場合の仕訳

例えば、A銀行とB銀行という2つの銀行について普通預金口座を開設していたとします。

このような場合は、A銀行とB銀行を別々の総勘定元帳に記帳して、それぞれの取引を別々に管理したい会社もあるでしょう。

そこで、普通預金勘定ではなく、「普通預金〇〇銀行(資産に属する勘定科目)」という勘定科目を使用できます。

〇〇の部分は銀行名が入ります。

A銀行であれば、「普通預金A銀行」となります。

当座預金や定期預金も同じく複数の銀行で開設していれば、「当座預金〇〇銀行(資産に属する勘定科目)」「定期預金〇〇銀行(資産に属する勘定科目)」を使用して仕訳できます。

預金の種類取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
複数の銀行で口座を開設していた場合例)普通預金の預入普通預金〇〇銀行×××現金×××
例)定期預金の預入定期預金〇〇銀行×××現金×××
例)当座預金の預入当座預金〇〇銀行×××現金×××
例)普通預金からの引き出し現金×××普通預金〇〇銀行×××

取引の8要素の再掲

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1現金500,000当座預金500,000
2当座預金10,000,000普通預金10,000,000
3買掛金1,000,000当座預金1,000,000
4現金500,000売掛金500,000
5当座預金250,000売掛金250,000
6現金500,000当座預金甲銀行500,000
7当座預金甲銀行10,000,000普通預金乙銀行10,000,000

(解説)
4.問題文の「振出人はC社」から、他社振出小切手の受け取りのため、「現金」で仕訳します(「3-1 現金の範囲1-通貨と小切手」参照)。

5.問題文の「振出人はA社」から、自己振出小切手の受け取りのため、「当座預金」で仕訳します。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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