当座預金とは|仕訳方法や関連用語を解説(入門)

記事最終更新日:2023年7月29日
記事公開日:2021年7月28日

「当座預金」は、ビジネスでは一般的に使用する銀行口座ですが、個人の生活で登場することがありません。

そのため、経理で初めて当座預金を担当することになった場合には、馴染み深い普通預金との違いが多いことに戸惑い、苦手意識を持つ人も少なくないと思います。

本記事では、入門者を対象に、当座預金について特徴や関連用語を解説した後に、仕訳方法について解説します。

※各用語の詳細は、各テーマに掲載の関連記事で解説しています。

当座預金とは

当座預金」とは、会社や個人事業主が支払い専用の預金口座として、銀行と当座取引契約に基づいて開設する預金口座です。

当座預金のメリット

最も大きなメリットは、当座預金口座を開設すると、小切手や手形を発行できることです。

また、「当座借越」によって、当座預金残高がゼロの状態でも、一定限度額まで取引先へ支払いすることができます。

当座預金照合表と銀行勘定調整表

当座預金口座の残高は、通帳ではなく、「当座預金照合表」という、銀行から送付される入出金の明細資料で確認します。

会社は、月次・四半期・年度決算で、「当座預金の帳簿残高」を当座預金照合表と突き合わせることで、残高を確認しますが、当座預金は小切手・手形取引が存在することから、一致しないことが往々にして在ります。

そこで、帳簿残高と当座預金照合表との不一致の原因を調べて「決算整理仕訳(修正仕訳)」を記帳するために、「銀行勘定調整表」を作成します。

当座預金の仕訳方法

当座預金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

他の預金口座と共通する、一般的な仕訳は次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
預入、利息受取など当座預金×××相手勘定科目×××
引出し、振込みなど相手勘定科目×××当座預金×××

以下、当座預金の代表的な取引の仕訳方法を解説します。

小切手を振り出した時の仕訳

小切手は現金と同様に取り扱うことから、小切手を振り出して取引先に渡した場合には、当座預金の減少として仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
小切手の振出相手勘定科目×××当座預金×××

自社振出の小切手を受け取った時の仕訳

振り出した小切手が支払いにならずに戻って来たということを意味します。

振り出し時に減少させた当座預金勘定を元の残高に戻す「訂正仕訳」を記帳するため、同額を当座預金の増加として仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
自社振出小切手の受取当座預金×××相手勘定科目×××

手形の期日が満期になった時の仕訳

小切手と異なり、手形には支払いの期日(満期)が存在します。従って、手形を発行した時に当座預金口座から引き落とされるわけではないことから、この時点で手形発行の仕訳は記帳しますが、当座預金を減少させる仕訳は記帳しません。

当座預金の引き落としは手形の支払期日が満期になった時に行われることから、この時に支払手形を減少させるとともに当座預金を減少させる仕訳を記帳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
支払手形の満期日支払手形×××当座預金×××

複数の当座預金口座を管理している場合

当座預金口座を複数開設している場合で、口座毎に帳簿を分けて管理したい場合には、会計ソフトの「補助科目」や「取引先」で管理するのが便利ですが、口座別の勘定科目を設定して仕訳する方法もあります。

仕訳例

  • 1.A社は甲銀行の当座預金から50万円を現金で引き出した。
  • 2.A社はB社への買掛金100万円の支払のため、小切手を振り出しB社へ渡した。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1現金500,000当座預金500,000
2買掛金1,000,000当座預金1,000,000

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須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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