原価計算入門その2~概要(原価計算の目的、定義、制度)

作成日:2016年11月4日 更新日:2018年5月8日

ここでは原価計算の目的・定義・制度について解説します。

簡単にまとめておきます。ご活用ください。

【原価計算(原価計算)の目的】

原価計算基準に記載があります。簡単にまとめると原価計算の目的は次の通りです。

1.真実の原価を集計すること
2.価格計算のため
3.原価管理のため
4.予算編成・予算統制のため
5.経営の基本計画を設定するため

現段階では特に覚える必要はありません。このような目的がある位でいいでしょう。


【原価の定義】

原価計算基準に原価の本質として原価の内容が記載されています。まとめると次の通りです。

1.原価とは価値の消費である。
財貨(=モノやサービス)を作り出すために財貨を消費することをいう。

2.原価とは財貨から転嫁された価値である。
経営で作り出された給付(=作られたモノやサービス)に転嫁された価値である。

3.原価とは、経営目的に関連したものである。
従って直接経営に関係のない財務活動は原価ではない。

4.原価とは、正常的なものである。
異常な状態から発生した価値の減少(=費用・損失)を含まない。

補足すると、2.の「転嫁」とは、作り出されたモノ・サービスは材料費・労務費・経費といった要素から構成されますが、それぞれの価値(=かかった費用)を「引き継ぐ」といったイメージです。

また、3.の財務活動ですが、ここでいう「経営目的」とはモノ・サービスを作り、販売することをいいます。

4.の「異常な状態から発生した価値の減少」とは、具体的には異常な仕損,減損,たな卸減耗等、火災,震災,風水害,盗難,争議等の偶発的事故による損失、予期し得ない陳腐化等によって発生した臨時償却費などをいいます。3.の財務費用とともに「非原価項目」の一要素でもあります。

現段階では覚える必要はありません。なんとなくイメージできればいいでしょう。



【原価計算制度】

我が国の制度会計、いわゆる会計ルールに基づき作成される決算書類と結びついて継続的に行われる原価計算をいいます。

「会計ルールに基づき作成される決算書類」とは、具体的には上場企業に適用される金融商品取引法に基づいて作成される財務諸表、および会社法に基づいて、作成される計算書類などがあります。これらの決算書類を作成する過程において、採用される原価計算の体系が原価計算制度です。

原価計算制度の下での原価計算は、大きく分けると次の2つに分類されます。

・実際原価計算
・標準原価計算

その他、原価計算制度の枠外で使用する原価計算には次のようなものがあります。

・直接原価計算
・CVP分析

入門の枠を超えると、差額原価収益分析や原価企画、活動基準原価計算を学習することになります。



【原価計算の種類】

上述の実際原価計算と標準原価計算は簿記2級の工業簿記で学習します。

1.実際原価計算

実際原価をもって原価を計算する原価計算方法。
必要な場合には、実際価格ではなく予定価格を用いて差額分析を行うこともできます。

実際原価 = 実際価格(又は予定価格) × 実際数量

実際原価計算の主なテーマは次の通りです。

(1)費目別計算
 ①材料費 ②労務費 ③経費
 ④予定単価(材料費、労務費) ⑤製造間接費と予定配賦・差額分析

(2)部門別計算

(3)製品別計算
 ①個別原価計算
 ②総合原価計算
  ⅰ単純総合原価計算 ⅱ等級別総合原価計算
  ⅲ組別総合原価計算 Ⅳ工程別総合原価計算

2.標準原価計算

標準原価をもって原価を計算する原価計算方法。
原価管理目的を達成するために、実際原価と標準原価との差額分析を行います。

標準原価 = 標準価格 × 標準数量

標準原価計算の主なテーマは次の通りです。

 ①概要
 ②原価差異分析 ⅰ直接材料費、直接労務費 ⅱ製造間接費
 ③シングルプランとパーシャルプラン
 ④原価差異の会計処理

3.直接原価計算・CVP分析
主に利益計画を立てる目的で使用されます。原価を変動費と固定費に区分するのが特徴です。

 ①CVP分析
 ②直接原価計算

4.工場会計

5.損益計算書・製造原価報告書


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