工業簿記2級 CVP分析(損益分岐図表と損益分岐分析):原価計算入門

更新日:2018年6月5日
作成日:2017年5月19日

今回は、CVP分析について解説します。

CVP分析とはCost-Volume-Profit Analysisすなわち、「損益分岐点の分析」のことをいいます。主に利益計画を立てる際に利用されます。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

学習のポイント

1.損益分岐図表
2.CVP分析(損益分岐点分析)

CVP分析(損益分岐図表と損益分岐分析)

設例で解説します。

設例
衣服メーカーは、ズボンを生産している。
来期の利益計画を立て目標となる売上高を決めるため、当期の損益計算書を使用してCVP分析を行うことにした。

1.損益データ
・製品はズボン1種類。販売価格は1本1,500円
・当期の製造原価に含まれる固定費は690,000円、販売費及び一般管理費に含まれる固定費は310,500円
・固定費以外は全て変動費。また、期首と期末に在庫は存在しない。

2.損益計算書(単位:円)
売上高        2,700,000
売上原価       2,022,000
 売上総利益      678,000
販売費及び一般管理費  544,500
営業利益        133,500

(問1)損益分岐点売上高を求めましょう。
(問2)来期の営業利益の目標は170,100円です。他の条件は当期と同じであると仮定する場合に、この営業利益を達成するために必要な売上高を求めましょう。

変動費と固定費

このようなCVP分析の問題を解く場合には、費用(この問題では売上原価と販売費及び一般管理費)を変動費と固定費に分けます。

項目説明イメージが近い勘定科目(※)
固定費操業度の変動に関係なく
一定額が発生する
減価償却費、賃借料、租税公課など
変動費操業度の変動に応じて
発生する
材料費、賃金、水道料・
電力料の従量金額部分など

(※)科目毎で固定費・変動費を厳密に区別はできません。あくまでもイメージに近い科目を掲載しています。

操業度とは、この問題では「ズボンの販売本数」と読み替えて差し支えありません。
すると具体的には、変動費と固定費とは次の通りです。

 ズボンの販売本数の変動に比例して増減するのが、変動費
 ズボンの販売本数の変動には関係なく一定額が発生するのが固定費

この問題の変動費と固定費は次の通りになります。
変動費=売上原価に含まれる変動費(2,022,000-690,000)+販売費及び一般管理費に含まれる変動費(544,500-310,500)=1,566,000円
固定費=690,000+310,500=1,000,500円

損益分岐図表

費用を変動費と固定費に分けて、グラフにしたものが「損益分岐図表」です。
今回の問題を損益分岐図表に表したのが下図になります。

上記のうち、変動費率貢献利益率の説明は次の通りです。

項目説明
変動費率売上高が変動した場合の変動費の変動する率
変動費÷売上高
貢献利益率売上高が変動した場合の貢献利益の変動する率
貢献利益÷売上高 又は1-変動費率

ここで貢献利益とは、売上高-変動費で表される利益をいいます。
従って、貢献利益率は、「貢献利益 ÷ 売上高」だけでなく、「1-変動費率」と表すこともできます。

固定費率は通常は求めません。
なぜならば、固定費は販売数量の変動に関係がないからです。

これに対して変動費は販売数量の変動に比例して増減します。
また、売上高、変動費、貢献利益も販売数量に応じて増減します。

以上から、CVP分析を行いやすくするために、変動費率や貢献利益率を計算します。

損益分岐点売上高

損益分岐点売上高とは、営業利益が±0になるような売上高です。

上図の損益分岐図表では、固定費のグラフに変動費のグラフが乗っかっています。
これは、「変動費+固定費」ということを表します。

そして、損益分岐点売上高とは「変動費+固定費」のグラフと交わるような売上高をいいます。

2つの線が交わるということは、「変動費+固定費=売上高」ということを意味します。これはすなわち、「売上高ー(変動費+固定費)=営業利益=0」ということを同時に意味しています。

解答

(問1)損益分岐点売上高
変動費率=1,566,000÷2,700,000=0.58
貢献利益率=1-0.58=0.42
損益分岐点売上高=固定費1,000,500÷0.42=2,382,142.857・・・→2,381,143円(四捨五入)

(問2)営業利益170,100円を達成する売上高
売上高=(目標営業利益170,100+固定費1,000,500)÷貢献利益率0.42=2,787,142.857・・・→2,787,143円(四捨五入)

解説

(問1)
損益分岐点売上高なので、営業利益が0になる売上高を求めることになります。

そして次に考えるのは、「貢献利益はいくら必要なのか?」ということです。

「貢献利益=売上高-変動費」のため、貢献利益の計算には固定費は含まれません。

営業利益=貢献利益-固定費で求められます。

そして、営業利益が0になるよう計算することと併せて考えれば、
(問1)は「貢献利益 = 固定費 = 1,000,500円」となる売上高を求めることと同じ、と解釈できます。

貢献利益率=0.42であるので、売上高は貢献利益1,000,500円を0.42で割った金額になる、ということになります。

(問2)
営業利益が170,100円になるような売上高を求めます。

(問1)では営業利益が0であったので、貢献利益 = 固定費 = 1,000,500円でした。
しかし、今度は170,100円だけ上乗せして、貢献利益が固定費1,000,500+170,100円=1,170,600円となる売上高を求めます。

その他は(問1)と同様に計算し、貢献利益1,170,600円を0.42で割り算すれば、求める売上高を計算できます。

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終わりに

今回はCVP分析について解説しました。
次回は直接原価計算について解説します。

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