工業簿記2級 製品別計算とは(原価計算入門)|種類や用語などの概要を解説

更新日:2020年8月10日
作成日:2016年11月13日

今回から、製品別計算について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

製品別計算について学習します。上記の勘定連絡図(実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算)を見ると、製品別計算は仕掛品勘定内の活動に該当します。

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。

例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。

製品別計算とは

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する第3次の原価計算手続きをいいます。

原価計算基準では、原価計算の手続きを次の通り分類しています。

工業簿記2級では、実際原価計算や標準原価計算の手続きとして出題されます。

製品別計算の種類

製品別計算は、「製品を連続生産(大量生産)するかどうか」という視点から、大量生産しない「個別原価計算(こべつげんかけいさん)」と大量生産する「総合原価計算(そうごうげんかけいさん)」に分類できます。

項目個別原価計算総合原価計算
説明製品を個別的に生産する生産形態に適用(いわゆる受注生産。衣服メーカーではオーダーメイド)製品を連続生産(大量生産)する生産形態に適用(いわゆる見込生産)
具体例海外ではシャネルやアルマーニ、
国内ではオンワードなど
海外ではギャップ(GAP)、国内ではユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)など

さらに総合原価計算は、単純総合原価計算(たんじゅんそうごうげんかけいさん)等級別総合原価計算(とうきゅうべつそうごうげんかけいさん)組別総合原価計算(くみべつそうごうげんかけいさん)工程別総合原価計算(こうていべつそうごうげんかけいさん)に分類できます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
単純総合原価計算単一製品の生産1種類のズボンを生産
等級別総合原価計算同種の製品だが、形状、大きさなどが異なる製品を生産S、M、Lサイズのズボンを生産
組別総合原価計算同一工程で異なる製品を生産同じ工程でジーンズとチノパンを生産
工程別総合原価計算製造工程が2以上の連続する工程に分けられ,工程毎に工程製品の総合原価を計算切抜→裁縫→取付の各工程で総合原価を計算する場合

製品別計算の役割

製品別計算の役割は、「正確な製品単価の計算」です。

「(第1次)費目別計算→(第2次)部門別計算」といった原価計算手続きの目的でもあります。

費目別計算では、原価要素を直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費に分類して原価を集計しました。

部門別計算では、製造間接費をさらに部門別に集計して、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って補助部門費を製造部門に配賦しました。この手続きによって、製造間接費は全て製造部門に集計されます。

これらの原価計算手続きでは、複数の配賦基準や操業度基準を設定して、費目や部門といった単位に集計した原価が実態を把握した正確なものとなるように理論的かつ合理的な計算を行いました。

以上の原価計算手続きを経て得られた原価数字を元に、第3次の製品別計算で正確な製品単価を計算するための集大成としての原価計算手続きを行う、ということです。

個別原価計算とは

個別原価計算(こべつげんかけいさん)とは、製品を大量生産ではなく、1注文毎に個別に受注生産する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目個別原価計算
説明製品を個別的に生産する生産形態に適用(いわゆる受注生産。衣服メーカーではオーダーメイド)
具体例海外ではシャネルやアルマーニ、
国内ではオンワードなど

受注生産のため、総合原価計算の大量生産のように同じ種類の製品をひとまとめにしてボックス図を使って計算するわけにはいきません。

個別原価計算の手続きは、ボックス図ではなく、注文毎に製造指図書(せいぞうさしずしょ)に原価を集計し、完成した製造指図書の原価は製品に振り替え、未完成の製造指図書の原価は期末仕掛品(翌月は月初仕掛品)になります。

総合原価計算の場合と同じく、問題によっては仕損費や減損費を計算する場合もあります。

総合原価計算とは

総合原価計算(そうごうげんかけいさん)とは、製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目総合原価計算
説明製品を連続生産(大量生産)する生産形態に適用する(いわゆる見込生産)。
具体例海外ではギャップ(GAP)、国内ではユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)など

総合原価計算はさらに「単純総合原価計算」「等級別総合原価計算」「組別総合原価計算」「工程別総合原価計算」に分けることができます。

総合原価計算共通の手続きとしては、月初仕掛品原価と当月投入の製造原価から、完成品原価と月末仕掛品原価を計算することです。

仕掛品勘定に数量や原価の情報を追加したボックス図を使って計算します。

計算する要素には材料費と加工費(かこうひ)という2種類が存在し、先入先出法や平均法を使って計算します。問題によっては仕損費(しそんじひ)や減損費(げんそんひ)を計算する場合もあります。

単純総合原価計算とは

単純総合原価計算(たんじゅんそうごうげんかけいさん)とは、単一製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
単純総合原価計算単一製品の生産1種類のズボンを生産

上述の総合原価計算のところで解説した通り、当月投入の製造原価から完成品原価と月末仕掛品原価を計算します。

単一製品の単価計算であるため、他の総合原価計算と比較して最も簡単な計算方法といえますが、ボックス図の描き方や仕損・減損の処理、先入先出法と平均法など、他の総合原価計算に共通する計算・処理の手法が豊富ですので、単純原価計算で学ぶことが最も多いといえます。しっかり理解しておけば、他の総合原価計算もすんなり理解できます。

等級別総合原価計算とは

等級別総合原価計算(とうきゅうべつそうごうげんかけいさん)とは、同種の製品だが、形状やサイズなどが異なる製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
等級別総合原価計算同種の製品だが、形状、大きさなどが異なる製品を生産S、M、Lサイズのズボンを生産

形状やサイズが異なる同種の製品を「等級製品(とうきゅうせいひん)」といいます。

単純総合原価計算と共通の方法で完成品原価を計算した後、完成品原価を「等価係数(とうかけいすう)」に基づいて各等級製品にあん分します。等価係数は大きさや重さ、面積など、等級製品に関連の深い尺度によって決めます。例えば、「S、M、Lサイズのジーンズの等価係数を1:1.2:1.5にする」といったように設定します。

組別総合原価計算とは

組別総合原価計算(くみべつそうごうげんかけいさん)とは、種類が異なる製品を同じ工程で連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
組別総合原価計算同一工程で異なる製品を生産同じ工程でジーンズとチノパンを生産

組別総合原価計算では、まず当月投入する製造原価である組直接費(または原料費)、組間接費(または加工費)を、各製品に按分するところから計算が始まります。

組直接費(または材料費)は各製品に賦課(ふか)し、組間接費(または加工費)は適切な配賦基準に基づき各組別製品に配賦します。

その後の計算方法は単純総合原価計算と同じです。各製品ごとにボックス図を描き単純総合原価計算と同様に計算します。

工程別総合原価計算とは

工程別総合原価計算(こうていべつそうごうげんかけいさん)とは、1つの工程ではなく、複数の工程に分けて連続生産(大量生産)する場合で、工程毎に工程製品の総合原価を計算する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
工程別総合原価計算製造工程が2以上の連続する工程に分けられ,工程毎に工程製品の総合原価を計算切抜→裁縫→取付の各工程で総合原価を計算する場合

複数の工程で製品を製造する場合であっても、原価計算上は1つの工程とみなして総合原価を計算する場合には、上述の単純総合原価計算、等級別総合原価計算、組別総合原価計算を適用します。

工程毎に総合原価を計算したい場合に適用するのが工程別総合原価計算です。工程毎にボックス図を用いて単純総合原価計算を行うイメージです。

加工費とは

加工費(かこうひ)とは、直接労務費と製造間接費を合わせたものをいいます。

日商簿記2級(工業簿記)の出題パターンとして、原料は工程の最初(始点)に投入し、加工費は工程を通じて平均的に投入する、という違いがあります(ただし過去には原料も加工費と同様、平均的に投入する、といった例外的な出題もあります)。

従って、製品別計算のうち、特に総合原価計算では原価を直接費(原料費)と加工費に分けて計算を行います。

仕損・減損とは

仕損(しそん)とは、製品を製造する過程で発生した失敗をいいます。仕損に係る原価を仕損費(しそんひ/しそんじひ)といいます。

減損(げんそん)とは、製品を製造する過程でガスや煙となって消失するものをいいます。仕損に係る原価を減損費(げんそんひ)といいます。

仕損費は個別原価計算でも総合原価計算でも発生する場合があります(減損費は日商簿記2級では総合原価計算のみの出題)。発生した場合の手続きは個別原価計算と総合原価計算で異なります。

次の問題と解説

個別原価計算の概要や用語説明、仕訳や計算方法などについて解説します。製造指図書などの用語や仕損費が発生した場合の出題パターンを理解して覚える点がポイント。

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