製品別計算とは|概要、種類と手続き
記事最終更新日:2023年6月27日
記事公開日:2016年11月13日
製品別計算の概要、種類と手続きを解説します。
製品別計算とは
製品別計算とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する第3次の原価計算手続きをいいます。
引用元:原価計算基準
「原価の製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し、単位製品の製造原価を算定する手続をいい、原価計算における第三次の計算段階である。」
<原価計算手続>
- (第1次)費目別計算
- (第2次)部門別計算
- (第3次)製品別計算
種類
製品別計算は、「製品を連続生産(大量生産)するかどうか」という視点から、大量生産しない「個別原価計算」と大量生産する「総合原価計算」に分類できます。
項目 | 個別原価計算 | 総合原価計算 |
---|---|---|
説明 | 製品を個別的に生産する生産形態に適用(いわゆる受注生産。衣服メーカーではオーダーメイド) | 製品を連続生産(大量生産)する生産形態に適用(いわゆる見込生産) |
具体例 | 海外ではシャネルやアルマーニ、 国内ではオンワードなど | 海外ではギャップ(GAP)、国内ではユニクロ(ファーストリテイリング)や無印良品(良品計画)など |
さらに総合原価計算は、単純総合原価計算、等級別総合原価計算、組別総合原価計算、工程別総合原価計算に分類できます。
役割
製品別計算の役割は、「正確な製品単価の計算」です。
費目別計算や部門別計算では、複数の配賦基準や操業度基準を設定して、費目や部門といった単位に集計した原価が実態を把握した正確なものとなるように理論的かつ合理的な計算を行いました。
以上の原価計算手続きを経て得られた原価数字を元に、第3次の製品別計算で正確な製品単価を計算するための集大成としての原価計算手続きを行う、ということです。
個別原価計算とは
個別原価計算とは、製品を大量生産ではなく、1注文毎に個別に受注生産する場合に適用する製品別計算をいいます。
引用元:原価計算基準
「個別原価計算は、種類を異にする製品を個別的に生産する生産形態に適用する。」
受注生産のため、総合原価計算の大量生産のように同じ種類の製品をひとまとめにしてボックス図を使って計算するわけにはいきません。
個別原価計算の手続きは、ボックス図ではなく、注文毎に製造指図書に原価を集計し、完成した製造指図書の原価は製品に振り替え、未完成の製造指図書の原価は期末仕掛品(翌月は月初仕掛品)になります。
総合原価計算の場合と同じく、問題によっては仕損費や減損費を計算する場合もあります。
引用元:原価計算基準
「個別原価計算にあっては、特定製造指図書について個別的に直接費 および間接費を集計し、製品原価は、これを当該指図書に含まれる製品の生産完了時に算定する。」
総合原価計算とは
総合原価計算とは、製品を連続生産(大量生産)する場合に適用する製品別計算をいいます。
総合原価計算はさらに「単純総合原価計算」「等級別総合原価計算」「組別総合原価計算」「工程別総合原価計算」に分けることができます。
総合原価計算共通の手続きとしては、月初仕掛品原価と当月投入の製造原価から、完成品原価と月末仕掛品原価を計算することです。
仕掛品勘定に数量や原価の情報を追加したボックス図を使って計算します。
計算する要素には材料費と加工費という2種類が存在し、先入先出法や平均法を使って計算します。問題によっては仕損費や減損費を計算する場合もあります。
製品勘定
個別原価計算や総合原価計算によって計算した完成品原価は、工業簿記では製品勘定に集計して記帳します。
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