部門別計算とは?概要から手続き・仕訳までまとめて解説

部門別計算とは。概要と手続き、計算方法、仕訳

記事最終更新日:2024年5月9日
記事公開日:2016年11月12日

部門別計算とは何かについて、概要や手続き、仕訳を中心に分かりやすくポイントをまとめて解説しています。

製造間接費の部門別計算とは

製造間接費の部門別計算とは、費目別計算で計算した間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)を製造部門へ配分する手続をいい、原価計算における第2次の計算段階に該当します。

部門別計算の目的

製造間接費を部門別に管理すること、及び製造間接費を正確に計算することです。

製造間接費の部門別管理

部門別計算を行うと、製造間接費がどの部門でいくら発生したのかを把握できるため、部門別のコスト管理に役立ちます。

製造間接費の正確な計算

製造間接費を各製品に配分する前に部門別計算を利用して各部門別の製造間接費を集計することで、各部門の特徴に合った配賦基準に基づいて製品別計算を行えるため、部門別計算は製造間接費の正確な計算に貢献するといえます。

部門別計算の手続きと仕訳

次の通り。

※各用語の詳細は記事中の関連記事を参照。

1.部門等の設定

部門別計算を始める前に必要な項目を設定します。

製造部門と補助部門

製造部門」とは、直接、製造作業を行う部門をいいます。

補助部門」とは、製造部門の製造作業を補助する枠割を担う部門をいいます。

部門個別費と部門共通費

部門個別費」とは、製造間接費の原価要素うち、どの部門にいくら発生したのか、直接把握できるものをいいます。

部門共通費」とは、製造間接費の原価要素うち、どの部門にいくら発生したのか、直接的には把握できないものをいいます。

配賦基準

配賦計算には「予定配賦」と「実際配賦」があるため、どちらで計算するのかを選択します。

次に、部門別計算では製造間接費を各部門に集計するには「配賦基準」が必要であるため、各部門に相応しい配賦基準を設定します。

計算方法(直接配賦法と相互配賦法)

直接配賦法」とは、補助部門から補助部門への配賦は行わず、製造部門のみに配賦する方法をいいます。

相互配賦法」とは、補助部門も含めて自部門以外の部門に配賦を行い(1次配賦)、次の2次配賦では補助部門から製造部門のみに配賦する方法をいいます。

2.各部門への賦課・配賦と仕訳

実際の部門別計算を行っていきます。

まずはじめに、製造部門と補助部門へ部門個別費を賦課し、部門共通費を配賦します(「第1次集計」といいます)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
第1次集計製造間接費-切抜部門(※1)50製造間接費100
製造間接費-裁縫部門(※1)30
製造間接費-清掃部門(※2)20

(※1)製造部門 (※2)補助部門
※別の勘定科目を使用する場合もあります(以下も同じ)。

部門の数だけ仕訳を記帳します。

3.補助部門から製造部門への配賦と仕訳

直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、「補助部門費」を「製造部門」へ配賦します(「第2次集計」といいます)。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
第2次集計製造間接費-切抜部門(※1)15製造間接費-清掃部門(※2)20
製造間接費-裁縫部門(※1)5

(※1)製造部門 (※2)補助部門

4.工程別・指図書別の配賦と仕訳

製造部門に集計した製造間接費(製造部門費)を各工程(工程別総合原価計算)又は製造指図書(個別原価計算)に配賦します。

<個別原価計算の場合>

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
切抜部門の配賦仕掛品-#10120製造間接費-切抜部門65
仕掛品-#20145
裁縫部門の配賦仕掛品-#10110製造間接費-裁縫部門35
仕掛品-#20125

3-5.補助部門費配賦差異

補助部門費を製造部門へ配賦する第2次集計の際に「予定配賦」する場合には、「補助部門」で配賦差異が発生します。この差異を「補助部門費配賦差異」といいます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
配賦差異(補助部門)(※1)補助部門費配賦差異×××製造間接費-清掃部門×××

(※1)借方差異(不利差異)の場合

6.製造間接費配賦差異

製造間接費配賦差異から予算差異や操業度差異、能率差異を計算して原価差異分析を行います。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
原価差異(※1)予算差異×××製造間接費×××
操業度差異×××

(※1)借方差異(不利差異)の場合

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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