加工費、進捗度と計算方法|換算量

記事最終更新日:2021年11月20日
記事公開日:2016年11月19日
加工費及び進捗度と計算方法(換算量)を解説します。
加工費とは
加工費とは、直接労務費と製造間接費を合わせたものをいいます。
引用元:原価計算基準
「必要ある場合には、直接労務費と製造間接費とを合わせ、又は直接材料費以外の原価要素を総括して、これを加工費として分類することができる。」
簿記2級(工業簿記)の出題パターンは「原料は工程の最初(始点)に投入し、加工費は工程を通じて平均的に投入する」であり、この点、原料費と加工費は異なります(ただし過去には原料も加工費と同様、平均的に投入する例外的な出題もあります)。
従って、製品別計算のうち、特に総合原価計算では原価を直接費(原料費)と加工費に分けて計算を行います。
加工費の数量計算では、後述の通り「進捗度を使って換算量を正確に計算すること」が重要です。
引用元:原価計算基準
「総合原価計算における完成品総合原価と期末仕掛品原価は、次の手続により算定する。
(一)まず、当期製造費用および期首仕掛品原価を、原則として直接材料費と加工費とに 分け、期末仕掛品の完成品換算量を直接材料費と加工費とについて算定する。」
進捗度とは
進捗度とは、総合原価計算の製造の進み具合を主に%(パーセント)で表示したものをいいます。すなわち、始点(製造開始時点)であれば「0%」、完成であれば「100%」です。
当月の製造活動のうち、仕掛状態になる部分も同様に考え、例えば半分完了していれば50%、7割完了であれば70%とします。
厳密に考えると、例えば未完成のズボンが100本あったとして、あるズボンは30%、別のズボンは80%といったようになりますが、総合原価計算は大量生産のため、1本1本の進捗度を考慮して原価計算するといくら時間があっても足りません。
そこで、実務では「ここまでの製造まで完了すれば○○%とする」といったように基準を決めたり、進捗度の平均値を求める方法を定めたりと工夫して、効率的かつ効果的な進捗度を設定するような工夫を行います。
換算量とは
換算量とは、当月の生産数量に原料費と加工費を全体の何%(パーセント)投入したのかを反映させて換算した数量をいいます。
再度記述すると簿記2級(工業簿記)では、「原料費は始点に投入し加工費は平均的に投入する」と前提を置く出題パターンがほとんどです。従って、同じ進捗度であったとしても原材料費と加工費の投入割合は異なります。
例えば当月の製造では300本分のズボンが月末仕掛となり、進捗度は30%だったとすると、「ズボン何本分の原材料費、加工費が投入された状態なのか」を表すのが換算量です。
計算方法
次の通り。
換算量の計算方法
- (始点投入の場合)換算量 = 生産数量
- (平均的に投入の場合)換算量 = 生産数量 × 進捗度
直接材料費と換算量
「直接材料費(原料費)は始点に投入する」という前提によって、製造が始まれば0%の時点で製造に必要な原料が100%投入されます。
従って進捗度に関係なく、上記式の通り、「換算量 = 生産数量」になります。月末仕掛品300本分のズボンの進捗度が30%であっても0%であっても300本分の原料が投入されています。
加工費と換算量
「加工費は平均的に投入する」という前提によって、加工費の投入量は進捗度に応じて決まります。
月末仕掛品300本分のズボンの進捗度が30%の場合には、「換算量 = 生産数量 × 進捗度 = 300 × 30% = 90」となり、90本分の加工費が投入された状態といえます。
進捗度に応じて加工費が投入され、進捗度100%の状態になってやっと300本分の加工費が投入された状態になります。
計算例
- <例題>
- 1.月末仕掛品100個(進捗度70%)の場合の原料費と加工費の換算量を求めましょう。
<解答>
- 原料費の換算量 = 100
- 加工費の換算量 = 100 × 70% = 70
ボックス図
総合原価計算ではボックス図を使って、計算した換算量を記入しながら求めていきます。

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