工業簿記2級 工程別総合原価計算(製品別計算、累加法、前工程費)

更新日:2017年5月29日
作成日:2016年11月26日

前回に引き続き、製品別計算について解説します。

製品別計算とは、原価要素を一定の製品単位に集計し,単位製品の製造原価を算定する手続をいい,原価計算における第3次の計算段階になります。

下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

学習のポイント

0.製品別計算の分類
1.個別原価計算 ①概要と流れ ②仕損費の計算
2.単純総合原価計算 ①概要と流れ ②度外視法
3.等級別総合原価計算 ①等価係数
4.組別総合原価計算 ①組間接費
5.工程別総合原価計算 ①累加法

製品別計算(工程別総合原価計算)

今回は工程別総合原価計算を解説します。

工程別総合原価計算とは、「原価計算入門その24~製品別計算(分類)」で解説したように、複数の製造工程があり、各工程で原価計算を実施する場合に採用する原価計算制度です。

製品別計算のため、費目別計算と部門別計算が完了した後の話です。
これまで解説してきたこととはつながっています。

工程別総合原価計算が採用された場合の設定は、単純総合原価計算とほぼ同じです。「原価計算入門その29~単純総合原価計算(概要:進捗度、加工費)」で解説していますので参照ください。

設例を用いて解説します。

工程別総合原価計算(製品別計算、組間接費)

設例
衣服メーカーは、切抜工程と裁縫工程という2つの製造工程でズボンを生産しており、原価計算方法は工程別総合原価計算を採用している。

今月の原価計算の状況と必要なデータは次の通り。
・切抜工程から始まり、切抜工程の次に裁縫工程がある。
・費目別計算と部門別計算は終了済み。これから製品別計算を行う段階
・直接材料費と前工程費は各工程の最初に全て投入。加工費は各工程の製造の進捗度合いに応じて投入
・原価を完成品と月末仕掛品に配分する方法として、先入先出法を採用

1.生産データ

項目切抜工程裁縫工程
月初仕掛品500本(20%)400本(40%)
当月投入○○本○○本
合計○○本○○本
月末仕掛品300本(50%)700本(60%)
完成品2,000本○○本

※()内の数字は加工費の進捗度である。
※○○の数字は各自計算すること。

2.原価データ

項目切抜工程裁縫工程
月初仕掛品直接費59,000円-円
前工程費-円226,400円
加工費44,300円112,480円
当月製造費用直接費223,200円-円
前工程費-円○○円
加工費928,650円1,395,520円

※()内の数字は加工費の原価である。
※○○の数字は各自算出すること。

(問題)当月の完成品原価を求めましょう。

累加法と前工程費

累加法とは、工程別原価計算で採用される計算方法の一つであり、最初の工程の直接材料費と加工費を前工程費として扱い、そのまま次の工程に引き継ぐ方法のことをいいます。

※他の計算方法として非累加法がありますが、簿記2級では累加法のみが出題されます。

設例では、切抜工程で完成した原価(直接材料費+加工費)が前工程費として、次の裁縫工程に引き継がれます。

裁縫工程では、直接材料費は発生せず、工程の開始段階で前工程費が投入され、進捗段階に応じて加工費が投入されます。

つまり、「次工程の直接材料費=前工程費」という考えで差し支えありません。

<解答>
与えられたデータからTフォームを作成します。
また、当月投入の本数を求めます。

裁縫工程の当月投入=切抜工程の完成品
※裁縫工程の完成品本数は、差し引きで計算します。

Tフォームは次の通り。

仕掛品(切抜工程)
月初仕掛品 500本(100本)完成品 2,000本(2,000本)
 59,000円(44,300円)
当月投入 1,800本(2,050本)
 223,200円(928,650円)月末仕掛品 300本(150本)
仕掛品(裁縫工程)
月初仕掛品 400本(160本)完成品 1,700本(1,700本)
 226,400円(172,350円)
当月投入 2,000本(1,960本)
 ?円(1,395,520円)月末仕掛品 700本(420本)

※仕掛品(裁縫工程)は、前工程費と加工費の本数・原価を記載しています。

問題の設定より、単価の計算として先入先出法を採用します。
従って、当月投入の本数と原価から月末仕掛品原価を求め、差し引き計算から完成品原価を求めます。

切抜工程
 (1)月末仕掛品原価
  直接材料費:(223,200円÷1,800本)×300本=37,200円
  加工費:(928,650円÷2,050本)×150本=67,950円
 (2)完成品原価(前工程費):(59,000+44,300)+(223,200円+928,650円)-(37,200円+67,950円)=1,150,000円(裁縫工程の前工程費として投入)

裁縫工程
 (1)月末仕掛品原価
  前工程費:(1,150,000円÷2,000本)×700本=402,500円
  加工費:(1,395,520円÷1,960本)×420本=299,040円
 (2)完成品原価:(226,400円+172,350円)+(1,150,000円+1,395,520円)-(402,500円+299,040円)=2,242,730円(解答)

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終わりに

今回は工程別総合原価計算を解説しました。
これで総合原価計算の解説が終了するとともに、製品別原価計算の解説が終了しました。次回は総合原価計算のまとめを掲載します。

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