工業簿記2級 問題と解説|工程別総合原価計算と累加法、前工程費

更新日:2020年8月10日
作成日:2016年11月26日

今回は組別総合原価計算の問題と解説(組間接費、平均法)。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

工程別総合原価計算と累加法、前工程費の問題について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第3段階の製品別計算に該当します。

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。

例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。

工程別総合原価計算とは

工程別総合原価計算(こうていべつそうごうげんかけいさん)とは、1つの工程ではなく、複数の工程に分けて連続生産(大量生産)する場合で、工程毎に工程製品の総合原価を計算する場合に適用する製品別計算をいいます。

項目説明具体例(ズボンメーカー)
工程別総合原価計算製造工程が2以上の連続する工程に分けられ,工程毎に工程製品の総合原価を計算切抜→裁縫→取付の各工程で総合原価を計算する場合

工程毎に総合原価を計算したい場合に適用するのが工程別総合原価計算です。工程毎にボックス図を用いて単純総合原価計算を行うイメージです。例えば、2つの工程に分けて原価計算を行う場合には2つのボックス図を描いて計算します。

問題例(工程別総合原価計算と累加法、前工程費)

今回は設例を用いて解説します(日商簿記2級のレベルでは「易」レベル)。

総合原価計算の詳細は下記の記事を参照。

1.生産データ

項目切抜工程裁縫工程
月初仕掛品500本(20%)400本(40%)
当月投入○○本○○本
合計○○本○○本
月末仕掛品300本(50%)700本(60%)
完成品2,000本1,700本

2.原価データ

項目切抜工程裁縫工程
月初仕掛品原料費59,000円-円
前工程費-円226,400円
加工費44,300円172,350円
当月製造費用原料費223,200円-円
前工程費-円○○円
加工費928,650円1,395,520円

※( )内の数字は加工費の進捗度である。○○の数字は各自計算すること。

解答

解説1-ボックス図と生産・原価データの記入

「切抜工程(布の切抜)→裁縫工程(布の縫い合わせ)」という工程の順番でズボンを製造します。工程別原価計算ですので切抜工程と裁縫工程とに分けて、それぞれのボックス図を描いて原価計算を行っていきます。

勘定連絡図では、「仕掛品-〇〇工程」といったように工程の数だけ工程別の仕掛品勘定があって順番に繋がっていき、最後の工程が製品勘定につながるように解説されることが一般的です。

ボックス図は次の通り。

仕掛品-切抜工程
月初仕掛品 500本(100本)完成品 2,000本(2,000本)
 59,000円(44,300円)
当月投入 1,800本(2,050本)
 223,200円(928,650円)月末仕掛品 300本(150本)
仕掛品-裁縫工程
月初仕掛品 400本(160本)完成品 1,700本(1,700本)
 226,400円(172,350円)
当月投入 2,000本(1,960本)
 ?円(1,395,520円)月末仕掛品 700本(420本)

ボックス図や加工費の数量計算(進捗度と換算量)については下記の記事を参照。

ボックス図上の計算や実際の解き方については下記の記事を参照。

解説2-累加法と前工程費

累加法とは、工程別原価計算で採用される計算方法の一つであり、最初の工程の直接材料費と加工費を前工程費(まえこうていひ)として扱い、そのまま次の工程に引き継ぐ方法のことをいいます。

※他の計算方法として非累加法がありますが、日商簿記2級(工業簿記)では累加法のみが出題されます。

本問では、切抜工程で完成した原価(直接材料費+加工費)が前工程費として、次の裁縫工程に引き継がれます。

裁縫工程では原料費は発生せず、工程の開始段階で前工程費が投入され、進捗段階に応じて加工費が投入されます。

つまり、「次工程の原料費=前工程費」という考えで差し支えありません。

工程別総合原価計算のポイントはこの点のみであり、その他は単純総合原価計算と同じ要領で計算すれば解けます。

解説3-完成品原価と月末仕掛品の計算

次にボックス図の数字に従って、原料費と加工費それぞれの完成品原価と月末仕掛品原価を求めます。

問題文より計算には先入先出法を使います。

どちらの工程も「先入先出法 → 当月投入数量 > 月末仕掛品数量 → 月末仕掛品原価は当月投入原価のみ。月初仕掛品は含まれない」となるので、先に月末仕掛品原価を求めて、その後に差額計算によって完成品原価を求めます。

仕掛品-切抜工程
月初仕掛品 500本(100本)完成品 2,000本(2,000本)
 59,000円(44,300円)1,150,000円←前工程費
当月投入 1,800本(2,050本)
 223,200円(928,650円)月末仕掛品 300本(150本)
37,200円(67,950円)
仕掛品-裁縫工程
月初仕掛品 400本(160本)完成品 1,700本(1,700本)
 226,400円(172,350円)2,242,730円
当月投入 2,000本(1,960本)
 1,150,000円(1,395,520円)月末仕掛品 700本(420本)
402,500円(299,040円)

解説4-仕訳(前工程費の振替と完成品原価の計上)

切抜工程の完成品(前工程費)は裁縫工程へ振り替え、完成品は裁縫工程から製品に振り替える仕訳をきります。

本問では、「仕掛品-切抜工程」「仕掛品-裁縫工程」の各勘定科目を使用するように指示があるので、左記の勘定科目を記入して仕訳します。

解答のポイント

最後に本問の解答のポイントを掲載します(総合原価計算共通の解き方の部分を含む)。

次の問題と解説

次回から標準原価計算を解説。次回は原価標準についてズボンメーカーを例に問題を掲載して解説します。実際標準とは異なる標準原価の特徴を把握して、原価標準を正しく計算できるかどうかがポイント。

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