工業簿記2級 問題と解説|(個別)製造指図書と原価計算表(入門)

更新日:2020年8月10日
作成日:2016年11月15日

前回に引き続き、個別原価計算について。今回は原価計算表(製造指図書)の原価記入の問題と解説。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

個別原価計算のうち、原価計算表(製造指図書)の問題について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第3段階の製品別計算に該当します。

製品別計算(せいひんべつけいさん)とは、製品の種類毎に製品一単位の原価を計算する手続きをいいます。

例えば、ジーンズ、チノパンといった製品別に原価を集計し、それぞれの製品の製造実態に合わせて個別原価計算や各種の総合原価計算(単純、等級、組別、工程別)を適用してジーンズ1本、チノパン1本当たりの原価を計算します。

問題例(製造指図書と原価計算表)

今回は設例を用いて解説します(日商簿記2級のレベルでは「普通」レベル。一部応用問題あり)。

個別原価計算の詳細は下記の記事を参照。

項目#1003#1101#1102#1101-2
前月製造原価235,000---
直接材料費
直接労務費
直接経費
製造間接費
(計)製造原価235,000
備考前月着手
完成
販売
今月着手
完成
在庫
今月着手
未完成
補修指図書
項目#1003#1101#1102#1101-2
布の消費数量(枚)30040020015
直接労働時間(時間)55090060050
項目賦課基準または配賦基準消費単価・平均賃率(円)
直接材料費布の消費数量(枚)@115
直接労務費直接作業時間(時間)@1,950
切抜部門布の消費数量(枚)@650
裁縫部門直接作業時間(時間)@320
仕掛品勘定
前月繰越 (   )(   ) (   )
材料 (   )
賃金 (   )
外注加工費 (   )
製造間接費 (   )次月繰越 (   )

※なお上記以外の活動として、#1003については特殊な加工が必要であることから、外部業者に無償で材料を支給して特別な加工を施してもらった。作業は予定通り完了して当月中に納品された。当該作業に対する外注加工賃150,000円は来月に支払い予定である。

解答

項目#1003#1101#1102#1101-2
前月製造原価235,000---
直接材料費34,50046,00023,0001,725
直接労務費1,072,5001,755,0001,170,00097,500
直接経費150,000---
製造間接費371,000548,000322,00025,750
製造原価1,863,0002,349,0001,515,000124,975
備考前月着手
完成
売上済
今月着手
完成
未納品
今月着手
未完成
補修指図書

解説1-製造指図書と原価計算表

個別原価計算では総合原価計算のように大量生産は行わずお客からの注文毎に製造します(受注生産といいます)。

注文毎に製造指図書(せいぞうさしずしょ)を発行し、製造指図書毎に原価を集計します。上表の「#〇〇」が製造指図書Noに該当します。

そして、製造指図書別の原価集計をまとめた表が「原価計算表(げんかけいさんひょう)」です。

解説2-直接費と賦課

原価計算表には直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費といった費目毎に原価を集計します。

直接費の場合には、直接材料費であれば消費価格、直接労務費であれば平均賃率などにそれぞれの賦課(ふか)基準を掛け算して製造指図書毎の直接費を計算します。

問題を読むと、直接材料費の消費単価は@115円で賦課基準は「布の消費数量」です。また直接労務費の平均賃率は@1,950円で賦課基準は「直接作業時間」です。これらのデータを正確に抽出して製造指図書毎に原価を計算します。

解説3-部門別の製造間接費と配賦

製造間接費の場合は配賦率と配賦基準とを掛け算して原価を計算します。

ただし今回の問題を読むと、部門別に配賦率が設定されています。「製造間接費」の言葉がないので応用問題ではありますが、「切抜部門」「裁縫部門」という部分です。

「切抜部門」の配賦率は@650円、「裁縫部門」の配賦率は@320円を読み取り、それぞれの配賦基準である「布の消費数量」と「直接作業時間」を抽出してそれぞれ掛け算し、「切抜部門」と「裁縫部門」それぞれの製造間接費(製造指図書別)を計算します。

最後に「切抜部門」と「裁縫部門」それぞれの製造間接費(製造指図書別)を合計し、製造指図書別の製造間接費を計算します。

配賦率や部門別計算の詳細は下記の記事を参照。

解説4-仕損費の計上(補修指図書)

仕損とは、いわゆる失敗作です。今回の設例には指示がありませんが、例えば製造指図書#1101で製造しているズボン100本のうち5本分だけ、布の切取りに失敗してしまった、といったことが仕損に該当します。

日商簿記2級では「個別原価計算の仕損費(補修に要した原価)は補修指図書に集計する」と覚えます。

問題文に「#1101で仕損じが発生し#1101-2の補修指図書を発行し補修に必要な原価を集計」とあるので、知らなくても正解できる問題になっています。

解説5-直接経費(外注加工賃)

日商簿記2級(工業簿記)で出題される直接経費は外注加工賃です。

問題文に外注加工賃150,000円が#1003で発生したとあるので、原価計算表の#1003の直接経費欄に「150,000」を記入します。

※他の計算が出来た人であれば直接経費欄が空白になるので、直接経費を知らなくても消去法で正解にたどり着けるはずです。

直接経費の詳細は下記の記事を参照。

完成後の原価計算表(解答)を再掲します。

項目#1003#1101#1102#1101-2
前月製造原価235,000---
直接材料費34,50046,00023,0001,725
直接労務費1,072,5001,755,0001,170,00097,500
直接経費150,000---
製造間接費371,000548,000322,00025,750
製造原価1,863,0002,349,0001,515,000124,975
備考前月着手
完成
売上済
今月着手
完成
未納品
今月着手
未完成
補修指図書

解説6-仕訳(当月製造費の計上)

本問では勘定科目を設定していませんが、日商簿記2級では勘定科目が設定されています。

一般的な勘定科目で仕訳した場合には、上記解答の通りです。各費目毎に金額を合計して仕訳すれば正解にたどり着けます。

注意点としては、「当月製造費の計上」であるので、前月製造原価である235,000円は含めてはいけません(235,000円は前月に仕訳済みです)。

解答のポイント

解答のポイントをまとめました。

次の問題と解説

引き続き個別原価計算の問題を掲載。今回の問題の続きで仕掛品勘定の記入と月次P/L上の売上原価、製品、仕掛品金額の求め方について解説します。仕掛品勘定の内訳や原価計算表の情報を読み取って売上原価、製品や仕掛品の金額を計算できるかどうかがポイント。

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