製造指図書と原価計算表、補修指図書とは|集計の仕方と仕訳

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記事最終更新日:2023年6月27日
記事公開日:2016年11月15日

製造指図書と原価計算表、補修指図書とは何かについて、集計の仕方や仕訳を解説します。

製造指図書と原価計算表、補修指図書とは|集計の仕方と仕訳

目次

製造指図書と補修指図書とは

製造指図書とは、個別原価計算において顧客からの注文内容を原価活動用にした書類です。

各製造指図書には「#101、#102」といったそれぞれ異なるNoが付され、このNo毎に原価を集計します。

製造指図書のうち、後述する仕損費や減損費を集計させるために発行したものを特に補修指図書といいます。

原価計算表とは

原価計算表とは、製造指図書別に原価を集計するための表をいいます。

原価計算表の例と集計の仕方

次の通り。

項目#1003#1101#1102#1101-2
前月製造原価235,000---
直接材料費34,50046,00023,0001,725
直接労務費1,072,5001,755,0001,170,00097,500
直接経費150,000---
製造間接費371,000548,000322,00025,750
仕損費-124,975-△124,975
製造原価合計1,863,0002,473,9751,515,000-
備考前月着手
完成
売上済
今月着手
完成
未納品
今月着手
未完成
補修指図書

前月製造原価に数値の記入があれば、前月以前に製造開始したことを意味し、月初仕掛品を意味します。

直接費は各製造指図書に賦課し、製造間接費は配賦基準で予定配賦します。

備考欄には完成日や月末時の状態(完成・仕掛)などの情報を記入します。

「#1101-2」というように「-○」で表す場合には補修指図書を意味します。この例では#1101で仕損じが発生したため補修指図書を発行したことになります。

仕損費の処理

補修指図書に集計した原価(仕損費)は、元の製造指図書に集計します。上の例では#1101の原価2,349,000円に#1101-2の原価124,975円を加算します。

仕訳

今回の例の仕訳を示すと次の通り。

#1003と#1101は完成したので、工業簿記では仕掛品勘定から製品勘定に振り替えます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当月製造投入仕掛品5,616,975材料105,225
賃金・給料4,095,000
未払金など150,000
製造間接費1,266,750
完成品の振替製品4,336,975仕掛品4,336,975

別の勘定科目を使用する場合もあります。

#1003のうち、月初仕掛品は前月に仕訳済みのため、製造投入の仕訳には含めません。

さらに、#1003は「売上済」と備考欄にあるので、この後、P/Lで売上原価に計上します(つまりP/L上の月末製品残高は#1102のみ)。

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※電子書籍WEB版(フリー)の一覧は「PDCA会計 日商簿記2級 工業簿記詳解-傾向と対策(電子書籍WEB阪)」内の「第5章 個別原価計算」及び「第6章 総合原価計算」に掲載

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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