4-1 売上・仕入と仕訳

売上(売掛金)と仕入(買掛金)の基本的な取引と仕訳を解説します。

売上と仕入とは

売上(うりあげ)とは、商品の販売、または販売して得る金額をいいます。

仕入(しいれ)とは、商品の購入、または購入で支払う金額をいいます。

売掛金と買掛金とは

売掛金(うりかけきん)とは、商品の売上に際して発生する債権の1つです。契約書や注文書(口約束も含めて)によって約束した日までに代金を受け取る権利(債権)をいいます。

買掛金(かいかけきん)とは、商品の仕入に際して発生する債務の1つです。契約書や注文書(口約束も含めて)で約束した日までに代金を支払う義務(債務)をいいます。

例えば、6月に当社がA社に商品を販売して、代金は1ヶ月後の末日を期日とする売掛金とした場合、6月の販売した時点では代金は支払われず、 7月末日である7/31に、当社指定の預金口座に代金が振り込まれます。

買掛金も同じです。1ヶ月後、2ヶ月後といったように期日を定めた日を支払日とします。

掛け

売掛金で代金を回収、または買掛金で代金を支払う場合には、「掛け(かけ。掛とも)」という言葉を使います。

例えば、

「商品を仕入れ、代金は掛けとした。」
「商品を販売し、代金は掛けとした。」

といったように使用します。

仕入先と得意先

商品の購入先の会社を仕入先(しいれさき)、商品の販売先の会社を得意先(とくいさき) といいます。

例えば、当社がA社から商品を購入し(仕入れ)、その商品をB社に販売した(売り上げた)場合、当社から見て、仕入先がA社、得意先がB社です。

請求書

商品を販売した会社は、後日、請求書(せいきゅうしょ)という書類を作成して得意先に送付します。

請求書のサンプルを下に掲載します。ご参考ください。

請求書のサンプル

【引用元】請求書作成サービス Misoca(ミソカ)

請求書には請求金額の合計とその内訳(A商品、B商品といった商品毎の金額の明細)、消費税、振込先、支払期日などの記載があり、 この請求書が売上・売掛金や仕入・買掛金を仕訳処理する際の確認資料になります。

販売取引の仕訳

販売取引は「売上(収益に属する勘定科目)」で仕訳します。

収益に属する勘定科目のため、売上の発生は貸方に記入します。

売掛金の増減に関する取引は「売掛金(資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

「売掛金」は資産に属する勘定科目です。売掛金の増加は借方に記入し、売掛金の減少は貸方に記入します。

商品を掛けで販売した場合には、「売上」を貸方に記入するとともに売掛金の増加取引として「売掛金」を借方に記入します。

現金や預金振込などで売掛金を回収した場合には、売掛金の減少取引として「売掛金」を貸方に記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品の掛け販売売掛金×××売上×××
売掛金の回収現金預金など×××売掛金×××

取引の8要素の一覧表

仕入取引の仕訳

仕入取引は「仕入(費用に属する勘定科目)」で仕訳します。

費用に属する勘定科目のため、仕入の発生は借方に記入します。

買掛金の増減に関する取引は「買掛金(負債に属する勘定科目)」で仕訳します。

「買掛金」は負債に属する勘定科目です。従って、取引の8要素に基づいて買掛金の増加は貸方に記入し、買掛金の減少は借方に記入します。

商品を掛けで仕入れた場合には「仕入」を借方に記入するとともに、買掛金の増加取引として「買掛金」を貸方に記入します。

現金や預金振込などで買掛金を支払った場合には、買掛金の減少取引として、「買掛金」を貸方に記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品の掛け仕入仕入×××買掛金×××
買掛金の支払買掛金×××現金預金など×××

取引の8要素の再掲

仕訳問題

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕入100,000買掛金100,000
2売掛金300,000売上300,000
3買掛金100,000当座預金100,000
4現金300,000売掛金300,000
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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール

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