日商簿記3級 勘定元帳と転記|仕訳との関係
更新日:2020年12月26日
公開日:2017年7月23日
前回、「取引と仕訳」では取引と仕訳について簡単に解説しました。
引き続き、簿記全体のテーマを解説します。今回は勘定元帳と転記についてです。
関連記事
仕訳例と勘定(Tフォーム)
下に、仕訳例と勘定(Tフォーム)例を掲載しました。この例を基に解説します。
【仕訳】
・ 7月20日 (借方)現金 100,000 (貸方)普通預金 100,000
・ 7月22日 (借方)備品 50,000 (貸方)現金 50,000
・ 8月 6日 (借方)貯蔵品 420 (貸方)現金 420
・ 8月18日 (借方)交通費 15,000 (貸方)現金 15,000
・12月 2日 (借方)発送料 5,000 (貸方)現金 7,500
仮払金 2,500
転記
「転記(てんき)」とは、取引に基づいて記入した仕訳を、勘定(Tフォーム)に記入することをいいます。
取引 → 仕訳 → 勘定(Tフォーム)
日々の取引は、仕訳を見れば分かります。
しかし、月や決算期といった一定の期間で、各勘定科目毎にどの位の金額になったのか、すなわちフローを把握することは仕訳だけでは難しいです。
また、仕訳からすぐに損益計算書を作成するのも大変です。
そこで、仕訳と損益計算書の間に、勘定科目毎に記入して、集計しておく場所があればいいということになります。
この場所が勘定(Tフォーム)です。
勘定元帳
「勘定(かんじょう)」とは、勘定科目毎に取引の記録を行うために、集計・計算するための場所をいいます。「勘定元帳(かんじょうもとちょう)」ともいいます。
Tフォームという言葉の方が、皆さんには馴染み深いかもしれません。
勘定の記入について、簡単にポイントを説明します。
(1)一番上に勘定科目名を記入する。
→勘定(Tフォーム)は、勘定科目毎に作成します。上の例は、現金勘定の記入例です。
(2)左側が借方、右側が貸方を表す。
(3)取引の日付と仕訳の相手方勘定科目、および金額を記入する。
→例えば、右側に「7/22 備品 50,000」という記載があります。これは、7月22日に、50,000円の備品を、現金で購入したことを意味します。上の仕訳のうち「7月22日 (借方)備品 50,000 (貸方)現金 50,000」に該当します。
現金の支払いは、取引の8分類から、資産の減少は貸方に記入することが分かるので、Tフォームの右側に記入しています。
ちなみに、このTフォームが現金ではなく、備品であった場合には、この取引は、Tフォームの左側(借方)に「7/22 現金 50,000」と記入することになります。なぜならば、備品という資産に属する勘定科目が、増加するからです。
(4)ある日付の一つの取引に、相手方勘定科目が複数存在する場合には、「諸口」と記入する。
→上記の例では12月2日の仕訳を見ると、借方に発送料と仮払金という2つの勘定科目が記入されています。このように相手方勘定科目が複数存在する場合には、相手勘定科目を記入するのではなく、「諸口」と記入しておきます。
(5)最終的に左側と右側の合計は一致する。
(6)貸借差額は、不足している側に「次期繰越」など適当な名称を記入し、金額を含めて朱記する。
(7)空白の行が存在する場合には斜線を引く。
→月末や決算期末など、区切りのよい時期で勘定は締め切ります。締め切る場合には借方・貸方それぞれで合計を計算し、両者の差額は足りない側に「次期繰越」など適当な名称とともに、その差額を朱記します。
また、空白の行があれば斜線を引きます。この例では借方に空白行がありますので、斜線を引いておきます。
(8)最期の行に合計金額を借方・貸方ともに記入する。
(9)合計金額のすぐ上には合計線を記入する。
(10)合計金額のすぐ下には締切線を記入する。
→この例では合計金額は100,000円になります。また、記入した合計金額のすぐ上には合計線(一本線)を、すぐ下には締切線(二重線)を引きます。
まとめ
仕訳と勘定元帳の関係が分かりましたでしょうか?
勘定記入は、問題演習を繰り返せば自然と覚えてきます。
過去問30回を分析した仕訳問題集
価格:480円(Kindle Unlimited対象商品)
<本書の特徴>
- ・厳選した100問。試験範囲のほとんどをカバー
- ・1問1答1解説形式→電子書籍でもストレスなく読める
- ・テキストを読んだ後や直前対策に使用すると効果的
本サイトをまとめた日商簿記テキスト
価格:250円(Kindle Unlimited対象商品)
<本書の特徴>
- ・2冊目の補助テキスト(スマホ)に便利
- ・メインテキストでじっくり学習。スキマ時間に本書で復習
本サイトよりも分かりやすく読みやすい完全オリジナルの工業簿記テキスト
価格:250円(Kindle Unlimited対象商品)
<本書の特徴>
- ・30回分の過去問を分析し、出題可能性・重要度を掲載
- ・工業簿記テキストはこれ一冊で全範囲を網羅
- ・勘定連絡図を中心にイラストや図表が豊富
- ・大事なポイントや問題を再掲。電子書籍でもストレスなく読めるように工夫