商業簿記入門その13~当座借越の仕訳処理と当座預金出納帳(3級)

更新日:2018年9月16日 公開日:2017年8月12日

当座借越の仕訳処理と当座預金出納帳

前回、「商業簿記入門その12~当座預金と仕訳処理(3級)」では、当座預金の手続(特徴、小切手など)や仕訳処理について解説しました。

そこで今回は、当座借越と当座預金出納帳について説明します。


当座借越とは

当座借越(とうざかりこし)とは、当座借越契約を銀行と契約締結している場合に、銀行に立て替えてもらうことによって、預金残高を超えて小切手を発行することをいいます。

当座借越契約とは、銀行と締結する預金残高を超える一定限度額の支払を行うことができる契約をいいます。

当座借越の仕訳処理(例題)

例えば、次のような例を考えてみます。

当座借越契約を締結した後、ある取引先への買掛金150万円の支払いのために小切手を振り出したいのですが、他の決済と重なった結果、預金残高が100万円しかなく150万円に足りません。

そこで、当座借越を利用して、差額50万円を銀行に一時的に立て替えてもらいます。

このような取引の仕訳処理には2つの方法が存在します。

(その1)当座借越勘定を用いて仕訳する場合

当座借越勘定を用いて仕訳処理します。

使用上の注意点は、不足分を当座借越勘定で仕訳するということです。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当座借越時買掛金1,500,000当座預金1,000,000
当座借越500,000

当座預金残高がプラスの場合には当座預金勘定を使用し、マイナスの場合には当座借越勘定を使用する方法と理解しておきましょう。

当座勘定を用いて仕訳する場合

当座勘定を用いて仕訳処理します。

当座勘定を使用する場合には、当座預金の増減に関する取引は全て当座勘定で仕訳します。当座預金勘定は使用しません。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
当座借越時買掛金1,500,000当座1,500,000

当座預金出納帳

当座預金出納帳(とうざよきんすいとうちょう)」とは、「商業簿記入門その7~帳簿(仕訳帳と総勘定元帳)と伝票(3級)」にて説明した補助簿のうちの1つです。当座預金取引の詳細を1箇所に記録する場合に使用します。

補助簿を利用するメリットとデメリットについては現金出納帳と同じです。「商業簿記入門その10~現金出納帳の記帳方法(3級)」をご参照ください。

※帳簿組織や伝票制度については、「商業簿記入門その7~帳簿(仕訳帳と総勘定元帳)と伝票(3級)」にて解説しています。ご参照ください。

当座預金出納帳の記帳例

当座預金出納帳と記帳について掲載しましたので、ご覧ください。

平成29年摘要預入引出借貸残高
8月1日前月繰越3,000,0003,000,000
8月7日普通預金より振替1,000,0004,000,000
8月10日A商店へ買掛金を支払い700,0003,300,000
8月16日B商店より当社振出小切手を受取800,0004,100,000
8月22日C会社より商品の仕入れ1,200,0002,900,000
8月31日次月繰越2,900,000
4,800,0004,800,000
9月1日前月繰越2,900,0002,900,000

当座預金出納帳には、当座預金の取引のみを記載します。つまり、仕訳帳の借方と貸方を見て、当座預金勘定と当座借越勘定(当座勘定を使用する方法により仕訳している場合は当座勘定)の記載がある取引だけを現金出納帳に記帳します。

当座預金出納帳の「借貸」という項目ですが、残高がプラスであれば「借」、マイナスの場合(当座借越が存在する場合)には「貸」を記載します。

当座預金出納帳のメリットとデメリットについては、現金出納帳と同じです。「商業簿記入門その10~現金出納帳の記帳方法(3級)」をご参照ください。

まとめ

今回は当座借越の仕訳処理と当座預金出納帳について解説しました。当座預金出納帳の摘要ですが、これと決まった記載の仕方はありませんので、模範解答に完全に一致させる必要はありません。


戻る | 次へ

一覧


【運営者情報・免責事項】





関連リンク

会計入門
~実務に役立つ会計の入門

決算書が読めるようになるサイト。「実務に役立つシリーズ」第1弾!!

原価計算入門
~簿記資格の学習を支援

衣服メーカーを例に分かりやすく解説。「実務に役立つシリーズ」第2弾!!

会計ヘッジ
将来リスクを回避するためのサイト

会計、簿記、経理、税務、起業など、トピックやトレンドも含め、様々な情報を配信

日商簿記検定の勉強におすすめの過去問題集

日商簿記検定だけでなく、どの資格試験でも過去問を解くことは有効な勉強方法です。日商簿記検定の過去問の入手方法は次の通り。(1)WEB(解答や分析・傾向のみ)・・・

日商簿記検定2級|次回の試験情報(出題論点など)

商工会議所サイトには改正論点のサンプル問題や出題範囲変更箇所が掲載されています。使用する勘定科目も変更するので、過去問の出題意図も含めて・・・

日商簿記検定2級の合格に必要な勉強時間とは

個々人によって勉強時間は異なるのは当然ですが、合格するのに必要とされる標準的な勉強時間を知らないと学習スケジュールを立てることができません。日商簿記検定2級は・・・

商業簿記入門その14~小口現金と仕訳処理、小口現金出納帳(3級)

小口現金とは、切手、ハガキなど文房具の購入や経費精算など、日常的な会社活動で発生する少額の現金取引に利用するために、現金のうち・・・

商業簿記入門その15~銀行勘定調整表(2級)

銀行勘定調整表とは、主に当座預金の残高を分析するために作成する表であり、銀行が発行する残高証明書と会社が把握している帳簿残高・・・

商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)(3級)

有価証券とは、簡単に言えば、株式、国債、地方債、社債を総称した呼び名です。会社は現金・預金といった資金に余裕がある場合に、資金運用の・・・

商業簿記入門その17~有価証券の保有目的と区分(2級)

前回、「商業簿記入門その16~有価証券と仕訳処理(取得、売却、利息、配当金)」では有価証券の増減に関する取引は有価証券勘定・・・

商業簿記入門その18~売買目的有価証券の手続と仕訳処理(2級)

売買目的有価証券とは、時価の変動による利益を得ることを目的として保有する有価証券をいいます。例えば、上場企業の有価証券は、・・・