日商簿記3級 普通預金、定期預金と当座預金の仕訳(複数口座も含めて解説)

更新日:2020年12月26日
公開日:2017年8月6日

前回は現金過不足について解説しました。

今回は普通預金、定期預金と当座預金の仕訳処理について解説します。

普通預金とは

普通預金(ふつうよきん)とは、自由に預入れや引出し、振込みなどができる預金口座をいいます。

皆さんも利用している、説明の必要がない位、生活にかかせないものです。

定期預金とは

定期預金(ていきよきん)とは、預入期間中は引き出しなどできないが、普通預金に比べて利率が高い預金口座をいいます。

普通預金ほどではありませんが、定期預金も個人が利用する預金口座です。

普通預金と定期預金の仕訳処理

普通預金の増減に関する取引は「普通預金勘定(資産に属する勘定科目)」を、定期預金の増減に関する取引は「定期預金勘定(資産に属する勘定科目)」を、それぞれ使用して仕訳処理します。

具体的には、普通預金や定期預金にお金を預け入れた場合や、お金が振り込まれた場合には、借方に普通預金勘定、定期預金勘定を記入し、貸方には現金や他の預金勘定などの勘定科目を記入します。利息の受け取りであれば、受取利息勘定(収益に属する勘定科目)を貸方に記入します。

当座預金とは

当座預金(とうざよきん)とは、会社や個人事業主が支払い専用の預金口座として、銀行と当座取引契約に基づいて開設する預金口座です。

当座預金口座にはいくつかの特徴があります。主な特徴は次の通りです。

・決済用の預金である。
・預金していても利息がつかない。
・小切手や手形を発行することができる。
当座借越(とうざかりこし)を利用することができる。

当座借越とは、企業は契約で定めた一定額(限度額)までを銀行に立て替えてもらうことによって、当座預金の残高を超えて小切手を振り出すことができる、とった特別な契約を銀行と締結した場合の、企業がこの限度額を利用した引出額(小切手振出額)をいいます。

この特別な契約を当座借越契約といい、通常は企業が担保などを差し入れることで締結可能となります。

当座預金の仕訳処理

当座預金の増減に関する取引は、「当座預金勘定(資産に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

以下、いくつかのケースに分けて解説します。

預入時と引き出し時の当座預金の仕訳処理

通常の普通預金と同様に、現金を預金に預け入れた場合や、資金移動により他の預金口座から当座預金へ振替を行った場合は、当座預金が増加します。

当座預金から預金を引き出した場合や他の銀行に預金の振替を行った場合は、当座預金が減少します。

小切手を振り出す場合の当座預金の仕訳処理

自社が振出人となった場合の小切手の振り出しは、小切手を振り出した時に当座預金の減少として仕訳します。

小切手を受け取った取引相手が銀行に小切手を呈示した結果、実際に当座預金から預金が引き出された時ではありません。

なぜならば、小切手とは振り出した時点で既に銀行に呈示すれば支払が行われる性質(一覧払といいます)を有しており、「流動性が高いため小切手は現金(通貨代用証券)として取り扱う」からです。

つまり、小切手を受け取った取引相手は現金を増加させるので、小切手を振り出した会社は当座預金を減少させる、ということです。

一方で、「自社が振り出した小切手を取引相手から受け取る場合」があります。

この場合には、当座預金の増加として仕訳します。

なぜならば、小切手を振り出した時点で帳簿上は当座預金を減少させます。通常は取引相手が銀行に支払いの呈示を行い当座預金から実際に預金が引き出されるので、この時点で帳簿上の当座預金残高と実際の当座預金残高は一致します。

しかし、取引相手が銀行に小切手を呈示しないで自社に小切手が戻ってきた場合は、「帳簿上は当座預金を減少させたまま」の状態です。今後、取引先が銀行に小切手を呈示して実際の当座預金残高が減少することはないので、このままでは帳簿上と実際の当座預金残高は永久に不一致のままになってしまいます。

そこで、自社が振出人の小切手を受け取った場合には当座預金を増加させる仕訳をきります。

すなわち、「小切手を振り出さなかった時の状態に戻す」ために、当座預金を増加させる仕訳処理を行います。

手形を振り出した場合の当座預金の仕訳処理

手形を振り出した時点では当座預金の仕訳処理は行いません。

なぜならば、手形とは将来の日付を支払期日として定めて発行する証券だからです。小切手のように、振り出した時点でいつでも支払いが行われる訳ではありません。

従って、手形の場合には実際にお金が振り込まれたり引き出したりした時点で、当座預金を増価させたり、または減少させる仕訳処理を行います。

複数の口座を開設した場合の仕訳処理

例えば、A銀行とB銀行という2つの銀行について普通預金を開設していたとします。

このような場合は、A銀行とB銀行を別々の総勘定元帳に記帳して、それぞれの取引を別々に管理したい会社もあるでしょう。

そこで、普通預金勘定ではなく、「普通預金〇〇銀行勘定(資産に属する勘定科目)」という勘定科目を使用できます。

〇〇の部分は銀行名が入ります。

A銀行であれば、「普通預金A銀行」となります。

当座預金や定期預金も同じく複数の銀行で開設していれば、「当座預金〇〇銀行勘定(資産に属する勘定科目)」「定期預金〇〇銀行勘定(資産に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理できます。

普通預金、定期預金、当座預金の仕訳処理(まとめ)

以上、普通預金、定期預金、当座預金について説明しました。仕訳処理を以下にまとめましたのでご参照ください。

預金の種類出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
普通預金預入、利息受取など普通預金×××現金、預金、受取利息など×××
引出し、振込みなど現金、預金、費用科目など×××普通預金×××
定期預金預入など定期預金×××現金、預金、受取利息など×××
解約など現金、預金など×××定期預金×××
当座預金預入など当座預金×××現金、預金、受取利息など×××
引き出し、資金移動など現金、預金×××当座預金×××
小切手の振出現金、預金、費用科目など×××当座預金×××
振り出し小切手の受取当座預金×××売掛金、収益科目など×××
複数の銀行で口座を開設していた場合例)普通預金の預入普通預金〇〇銀行×××現金×××
例)定期預金の預入定期預金〇〇銀行×××現金×××
例)当座預金の預入当座預金〇〇銀行×××現金×××

仕訳例

  • 1.A社は甲銀行の当座預金から50万円を現金で引き出した。
  • 2.A社は乙銀行の普通預金から甲銀行の当座預金に1千万円を振り替えた。
  • 3.A社はB社への買掛金100万円の支払のため、小切手を振り出しB社へ渡した。
  • 4.A社はC社から売掛金の回収代金として小切手50万円を受け取った。振出人はC社である。
  • 5.A社はD社から売掛金の回収代金として小切手25万円を受け取った。振出人はA社である。
  • 6.上記1.で複数の当座預金口座を開設しており、取引を別々に管理している場合
  • 7.上記2.で複数の当座預金と普通預金の口座をそれぞれ開設しており、取引を別々に管理している場合
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1現金500,000当座預金500,000
2当座預金10,000,000普通預金10,000,000
3買掛金1,000,000当座預金1,000,000
4現金500,000売掛金500,000
5当座預金250,000売掛金250,000
6現金500,000当座預金甲銀行500,000
7当座預金甲銀行10,000,000普通預金乙銀行10,000,000

まとめ

今回は預金の仕訳処理を解説しました。預金の仕訳は他の論点でも頻繁に登場するので自然と覚えるようになります。ただし複数口座を開設した場合の問題は他の論点では登場しませんので、この点だけはここで覚えてしまいましょう。

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