日商簿記3級 給料・社会保険料・源泉所得税と仕訳

更新日:2021年1月5日
公開日:2018年4月11日

前回は、収益と費用のうち発送費の仕訳処理について解説しました。

今回は、給料・社会保険料・源泉所得税と仕訳について説明します。

給料とは

給料(きゅうりょう)とは、会社の従業員が受け取る労働の対価のことをいいます。

言い替えると会社の従業員、いわゆる「会社員」が受け取るお金です。従業員とは会社と「雇用契約(こようけいやく)」を締結した者です。

労働の対価(ろうどうのたいか)」とは、会社のために働いたことであり「従業員が会社に対して労働というサービスを提供した」ということです。

そして労働サービスの対価として給料としてお金をもらうということです(労働とお金の等価交換)。

工場で働く工員に対する給料を「賃金(ちんぎん)」ということがあります。

【補足】社長や役員の受け取るお金
会社の社長(会社法上では「代表取締役(だいひょうとりしまりやく)」)や役員(会社法では「取締役(とりしまりやく)」「監査役(かんさやく)」)は、会社で働いていますが雇用契約ではなく、「委任(いにん)」という契約を会社と締結します。そこで、経営者や役員が受け取るお金は給料とは区別して、「報酬(ほうしゅう)」といいます(日商簿記3級の試験範囲ではありませんが、「役員報酬」という勘定科目を使用して仕訳処理するのが一般的です)。

給料の明細と控除項目(社会保険料と源泉所得税)

給料の仕訳を理解するには、給料の明細に記載してある項目を理解することが近道です。

下記に給料明細のサンプルを掲載しましたのでご覧ください。

この給料明細では、給料の総額が24万円に対して控除項目が約3万8千円であり、差し引き約20万円がこの従業員の預金口座に振り込まれます。

控除項目の明細を見ると次の項目が記載されています。

  • (1)健康保険
  • (2)厚生年金
  • (3)雇用保険
  • (4)源泉所得税

その他、ここには記載がありませんが、(5)生命保険、(6)社宅家賃の従業員負担、(7)従業員への貸付金の回収なども控除項目になります。

給料の仕訳

給料の仕訳処理は、「給料勘定(費用に属する勘定科目)」、従業員預り金勘定、従業員立替金勘定、社会保険料預り金勘定、所得税預り金勘定、従業員貸付金勘定を使用して処理します。

給料の総額(上のサンプルでは総支給額の24万円)を給料勘定で借方に記入し、控除項目の金額を差し引いた残額を当座預金や普通預金などの勘定科目で記入します。

控除項目ですが、上述の(1)健康保険、(2)厚生年金、(3)雇用保険といった項目は社会保険料(しゃかいほけんりょう)といい、これらは社会保険料預り金勘定を使って貸方に記入します。

次に上述(4)の源泉所得税は所得税預り金勘定で記入します。

(5)生命保険と(6)社宅家賃の従業員負担は2つのケースを考えます。

もし、会社が給料日前に先に立て替えて、生命保険会社や社宅の大家さんに支払いを済ませていれば、その時に従業員負担分は従業員立替金勘定(立替金勘定でも可)で借方に仕訳しているはずです。そして、給料日には、上のサンプルに「生命保険」「社宅家賃」といった控除項目が記載されることになります。従って、「従業員はこの分だけ給料から差し引かれる = 会社が立て替えたお金は会社に返済した」ということですので、給料日に従業員立替金勘定(または立替金勘定)を貸方に記入して、従業員立替金(または立替金)を減少させます。

次にもう1つのケースですが、もし、給料日には会社が生命保険会社や社宅の大家さんに支払いを済ませていない(立替払いしていない)のであれば、これらの項目は従業員預り金勘定(または預り金勘定)で貸方記入します。

最後に(7)従業員への貸付金の回収は、従業員貸付金勘定を貸方に記入します。従業員に貸し付けているお金を給料と相殺する、ということです。

【補足1】社会保険料や源泉所得税を給料から控除する場合の勘定科目について

社会保険料や源泉所得税は、会社が従業員より預かってから国に納めます。従って立替金ではなく預り金です。

【補足2】社宅家賃給料から控除する場合の勘定科目について

上述の社宅家賃の仕訳では支払家賃勘定からマイナス処理する、雑収入として仕訳するなど、複数の仕訳パターンが考えられます。

実務では契約内容や取引の実態から判断しますが、ここでは代表的な仕訳を掲げました。出題された場合には問題の指示に従って仕訳しましょう。

給料の仕訳(まとめ)

以上、給料の仕訳をまとめると次の通り。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
給料の支払い給料×××当座預金など×××
従業員預り金(※1)×××
社会保険料預り金×××
所得税預り金×××
従業員貸付金×××

※1:預り金勘定でも可。なお、生命保険や社宅家賃を会社が先に支払っていた場合には、従業員立替金(立替金も可)になります。

社会保険料の納付

上記の【補足1】で説明しましたが、社会保険料は会社が従業員より預かって国に納付します。

国に納付するタイミングは、「給与を支払った翌月」と覚えておけば日商簿記3級では差し支えありません(実務では異なる場合があります)。

この従業員から預かった社会保険料は、社会保険料預り金勘定で仕訳します。

社会保険料には、従業員から預かる部分(従業員負担分といいます)だけでなく、会社が負担する部分も存在します(これを会社負担分といいます)。

会社の従業員として働くと、社会保険料を全額支払わずに、およそ半分を会社が負担してくれるのです。

すなわち上に掲載した給料明細のうち、「健康保険料11,964円」「厚生年金20,969円」「雇用保険1,200円」といった社会保険料は、本来の社会保険料のおそよ半分の金額ということです。

残りのおよそ半分は会社が費用として負担して、従業員から預かった社会保険料と一緒に国に納付します。

社会保険料の納付に関する仕訳

社会保険料の納付は、社会保険料預り金勘定、「法定福利費(ほうていふくりひ)勘定(費用に属する勘定科目)」、「未払〇〇勘定(負債に属する勘定科目)」、および現金や預金などの勘定科目を使用して仕訳します。

従業員から預かった社会保険料は、給与を支払った時に社会保険料預り金勘定(負債に属する勘定科目)を貸方に記入して仕訳しています。

そこで社会保険料を納付する際には、負債である社会保険料預り金が減少するので借方に社会保険料預り金勘定を記入します。

会社負担分の社会保険料は、借方に法定福利費勘定を記入して費用計上します。

最後に、社会保険料の総額(従業員から預かった分 + 会社負担分)を預金勘定や現金勘定を使用して貸方に記入します。

未払〇〇勘定を使用して法定福利費勘定を仕訳する方法について

上の方法は社会保険料を納付する時に法定福利費を費用として計上する方法です。

これに対して「給与を支払った時に法定福利費を計上する方法」もあります。

この場合には、上で解説した給与支払いの仕訳に追加して、借方に法定福利費勘定、貸方に未払〇〇勘定を記入して仕訳します。

そして翌月になって社会保険料を納付する時には、会社負担分の金額については未払〇〇勘定を記入して仕訳処理します。

社会保険料の納付の仕訳(まとめ)

以上、社会保険料の納付の仕訳をまとめると次の通り。

方法出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
未払〇〇勘定を使用しない方法社会保険料の納付従業員預り金×××現金、預金の勘定×××
法定福利費×××
未払〇〇勘定を使用する方法給与の支払法定福利費×××未払〇〇(※1)×××
社会保険料の納付従業員預り金×××現金、預金の勘定×××
未払〇〇(※1)×××

※1:未払〇〇は、「未払法定福利費」「未払費用」などが考えられます。問題の指示に従ってください。

仕訳例

A社は給料日を迎え、給与総額から控除項目を差し引いた金額を当座預金から各従業員の口座に振り込んだ

  • ・給与総額1,000万円
  • ・社会保険料150万円
  • ・源泉所得税80万円
  • ・生命保険20万円

※生命保険はA社が生命保険会社へ立て替え払い済み。この時に「(借方)従業員立替金 20万円 (貸方)普通預金 20万円」の仕訳をきっている。

なお、会社が負担する社会保険料を計算した結果、150万円となった。

給料日の翌月に社会保険料を普通預金口座より振り込んで納付している。

<方法1>未払〇〇勘定を使用せずに法定福利費を計上する場合

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
給料の支払給料10,000,000当座預金7,500,000
従業員立替金200,000
社会保険料預り金1,500,000
所得税預り金800,000
社会保険料の納付社会保険料預り金1,500,000普通預金3,000,000
法定福利費1,500,000

<方法2>未払〇〇勘定を使用して法定福利費を計上する場合

※問題文に「未払費用勘定」を使用するように指示があった場合

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
給料の支払給料10,000,000当座預金7,500,000
従業員立替金200,000
社会保険料預り金1,500,000
所得税預り金800,000
法定福利費1,500,000未払費用1,500,000
社会保険料の納付社会保険料預り金1,500,000普通預金3,000,000
未払費用1,500,000

まとめ

今回は給料の仕訳について解説しました。覚えることが多いので給料明細をイメージしながら勘定科目を覚えましょう。

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