商業簿記入門その93~財務諸表(貸借対照表と損益計算書)の作成(2級)

公開日:2018年4月24日

財務諸表(貸借対照表と損益計算書)の作成(2級)

前回、「商業簿記入門その92~貸借対照表と損益計算書の作成(3級)」では、簿記3級の範囲の貸借対照表と損益計算書の作成方法について解説しました。

今回は、簿記2級の範囲としての財務諸表の作成のうち、貸借対照表と損益計算書の作成について解説します。

※簿記2級の論点になります。


財務諸表とは

財務諸表(ざいむしょひょう)とは、会社に関係する様々な人々に対して報告するための書類のことをいいます。

財務諸表にはいくつかの種類がありますが、財務諸表の中でも、最も重要な書類は貸借対照表と損益計算書といえます。

貸借対照表と損益計算書とは

貸借対照表(たいしゃくたいしょうひょう)とは、ある時点の企業の財政状態を表した表のことをいいます。

損益計算書(そんえきけいさんしょ)とは、ある期間の企業の経営成績を表した表のことをいいます。

貸借対照表と損益計算書は、日々の帳簿記録(仕訳帳、伝票、総勘定元帳など)、および決算手続きで作成した資料を基にして、具体的には決算整理後の合計残高試算表を基にして作成されます。

※貸借対照表と損益計算書の作成方法(決算手続き)については、「商業簿記入門その84~試算表の作成(3級)」以降から解説しています。必要に応じて簿記3級の範囲についてもご参照ください。

貸借対照表と損益計算書の表形式

貸借対照表と損益計算書の表形式には、「勘定式(かんじょうしき)」と「報告式(ほうこくしき)」があります。

勘定式とは、Tフォームの表形式で、左側と右側に科目と金額を表示させる方法です。

報告式は、上から下に科目と金額を表示させる方法です。

2級では勘定式も報告式も出題されますが、最も多い出題形式は、勘定式の貸借対照表と報告式の損益計算書です。

勘定式の貸借対照表と報告式の損益計算書のサンプルを下記に掲載していますので、ご参照ください(損益計算書は期首商品棚卸高など一部表示が省略された簡便的なものになっています。ご了承ください)。

貸借対照表 損益計算書

貸借対照表と損益計算書の作成上のポイント

簿記3級と異なり、簿記2級では上場企業など、株式会社を代表する法人が作成する貸借対照表と損益計算書を試験範囲として想定しています。

次から、貸借対照表と損益計算書の作成上のポイントについて、論点毎に解説します。

区分表示について

区分表示(くぶんひょうじ)とは、貸借対照表(資産、負債、純資産)や損益計算書(収益、費用)を、会計ルールに基づいてグループ化して、グループが把握できるような方法で作成することをいいます。

例えば、上の貸借対照表を見ると分かりますが、資産に属する科目は、流動資産と固定資産に区分し、さらに固定資産は有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産という記載があります。これが表示区分です。

なお、損益計算書の表示区分は「段階利益(だんかいりえき)」ということが多いです。

簿記2級で出題されると思われる表示区分について下記に掲載しましたのでご参照ください。

貸借対照表の区分表示

大分類中分類小分類
資産の部流動資産-
固定資産有形固定資産
無形固定資産
投資その他の資産
負債の部流動負債-
固定負債-
純資産の部株主資本資本金
資本剰余金
利益剰余金
評価・換算差額等その他有価証券評価差額金

損益計算書の区分表示(段階利益)

分類収益区分費用区分段階利益
営業損益売上高売上原価売上総利益
販売費及び一般管理費営業損益
経常損益営業外収益営業外費用経常利益
純損益特別利益特別損失税引前当期純利益
-法人税、住民税及び事業税当期純利益

勘定科目から表示科目への組み替え

組み替え(くみかえ)とは、仕訳帳や総勘定元帳、合計残高試算表で使用する勘定科目名を、貸借対照表や損益計算書へ掲載する専用の科目名に変更することをいいます。

この「貸借対照表や損益計算書へ掲載する専用の科目」のことを「表示科目(ひょうじかもく)」といいます。

ほとんどの科目は、勘定科目と同じ名称で記入すれば問題ありません。

変更する(組み替える)勘定科目についてまとめましたのでご参照ください。

B/S or P/L分類勘定科目B/S,P/L表示科目
貸借対照表資産現金、普通預金、当座預金など現金及び預金※1
繰越商品商品
売買目的有価証券など※2有価証券
未収〇〇未収収益
前払〇〇前払費用
満期保有目的債券、その他有価証券投資有価証券
子会社株式、関連会社株式関係会社株式
資産(控除科目)〇〇減価償却累計額減価償却累計額
負債前受〇〇前受収益
未払〇〇未払費用
損益計算書収益売上売上高
費用仕入期首商品棚卸高
当期商品仕入高
売上原価
期末商品棚卸高
収益または費用為替差損益為替差益または為替差損

※1:複数の勘定科目の合計金額を、「現金及び預金」の表示科目として記入します。
※2:「売買目的有価証券など」の「など」には、例えば1年以内に償還予定の満期保有目的債券があります。
※3:表に掲載されていない科目についても、問題の指示や解答用紙から推測して適切な科目を記入しましょう。

【補足】実務で使用される「財務諸表」という用語について

※簿記2級の範囲外の内容です。ご興味ある方はお読みください。

ここでは財務諸表を、「会社に関係する様々な人々に対して報告するための書類」として解説しました。

しかし実務で作成される決算書には様々な会計ルールに基づいて作成されます。

主な会計ルールとして「金融商品取引法」「会社法」「税法」という3つの法令が要求している会計ルールが存在します。

これらのうち、実務では、財務諸表とは、金融商品取引法に従って作成される決算書類のことをいいます。

より具体的に言えば、上場会社が作成する決算書です。

その他、会社法に従って作成される決算書は「計算書類」、税法に従って作成される決算書は「確定申告書」といいます。

決算書が複数存在する理由は、「会計入門その2~なぜ決算書を作成するのか?」にて解説しています。ご興味ある方はご参照ください。

貸借対照表と損益計算書について

ここでは1つのサンプルしか掲載していません。

実務でも様々な表示科目が存在します。「商業簿記入門その84~試算表の作成(3級)」から今回までの決算手続きについて一通り読み終えたならば、あとは問題演習の数を多くこなしましょう。分からないことはこのサイトを、再度ご利用ください。

貸借対照表と損益計算書について、より詳しく知りたい方は「会計入門~実務に役立つ会計の入門」にて解説しています。

実務よりの話が多いため、簿記試験で学習したことと異なる点もあります。この点に留意してご参照ください。

まとめ

今回は財務諸表のうち、貸借対照表と損益計算書の作成について解説しました。テキストをある程度覚えたら、問題演習を繰り返して定着させていきましょう。


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