日商簿記3級 決算振替仕訳と元帳上での帳簿締め切り

更新日:2021年1月16日
公開日:2018年4月22日

前回は、帳簿の締め切りと英米式決算法について概要を解説しました。

今回は、日商簿記3級で出題される英米式決算法による帳簿の締め切り(決算振替仕訳と、元帳上での帳簿の締め切り)について、具体的な方法を解説します。

決算振替仕訳とは

決算振替仕訳(けっさんふりかえしわけ)とは、決算時の作業のうち、帳簿の締め切りを行う方法のうちの1つをいい、勘定科目を締め切るための特別な勘定科目に残高の振り替えを行うことをいいます。

決算手続き上の位置づけ

決算整理仕訳を行った後に決算整理後の合計残高試算表を作成します。

その次に行う作業が帳簿の締め切りであり、決算振替仕訳は帳簿締め切り作業の一つです。

英米式決算法による帳簿の締め切りでは、損益計算書の勘定科目(収益、費用)について決算振替仕訳を行います。

これに対して資産、負債、純資産といった貸借対照表の勘定科目については、英米式決算法では、決算振替仕訳は用いず、別の方法で帳簿を締め切ります(後で解説します)。

決算振替仕訳の仕訳方法

決算振替仕訳では、「損益勘定(その他に属する勘定科目)」と「繰越利益剰余金勘定(純資産に属する勘定科目)」)を使用して、仕訳処理します。

まず、収益の勘定科目と費用の勘定科目について、決算整理後残高試算表の残高を全て損益勘定に振り替えます。

損益勘定が貸方残高の場合には「費用 < 収益」、すなわち利益の発生を意味します。そこで損益勘定の残高について借方に損益勘定、貸方に繰越利益剰余金勘定を記入して仕訳処理することで、繰越利益剰余金を増加させます。

損益勘定が借方残高の場合には「費用 > 収益」、すなわち損失の発生を意味します。そこで損益勘定の残高について借方に繰越利益剰余金勘定、貸方に損益勘定を記入して仕訳処理することで、繰越利益剰余金を減少させます。

仕訳(まとめ)

決算振替仕訳の仕訳処理をまとめると次の通り。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
収益・費用から損益勘定への振替収益の勘定科目×××損益×××
損益×××費用の勘定科目×××
損益勘定から
繰越利益剰余金勘定への振替
収益 > 費用損益×××繰越利益剰余金×××
収益 < 費用繰越利益剰余金×××損益×××

決算振替仕訳の仕訳帳から元帳への転記

決算振替仕訳の仕訳帳から元帳(総勘定元帳)への転記例を掲載します。

<帳簿締め切りの仕訳(決算振替仕訳)>

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1売上2,000,000損益2,000,000
2損益1,600,000仕入1,600,000
3損益400,000繰越利益剰余金400,000

売上が200万円。仕入勘定で計算した売上原価が160万円。差額で利益40万円が発生したので、繰越利益剰余金勘定を40万円増加させる

この事実を帳簿に反映させるために決算振替仕訳を行いました。

さて、上図のうち、貸借対照表の勘定科目である繰越利益剰余金勘定の総勘定元帳には「前期繰越」「次期繰越」といった記載がありますが、売上勘定や損益勘定の総勘定元帳には記載がありません。

これは、繰越利益剰余金勘定は決算振替仕訳を行わず、次に解説する「元帳上での帳簿締め切り」によって帳簿を締め切るからです。

そこで、次は元帳上での帳簿締め切りについて説明します。

元帳上での帳簿の締め切り

上述の通り、収益と費用の勘定科目については決算振替仕訳の方法で帳簿締め切りを行いました。

これに対して、資産、負債、純資産といった勘定科目については、英米式決算法では元帳上で帳簿締め切りを行います。

決算振替仕訳と比較すると、「仕訳を行わずに、元帳上のみで帳簿締め切りを完結させる」ということが特徴です。

元帳上での帳簿締め切りの方法

現金勘定の総勘定元帳の例を掲載しましたのでご参考ください。

<帳簿締め切りの仕訳>

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
仕訳なし

決算振替仕訳と異なり帳簿締め切りの仕訳は行いません。従って決算日に損益勘定を使用しないため、代わりに元帳上に「次期繰越」と朱記(しゅき。赤文字で記載すること)して貸借の残高を一致させます。

資産、負債、純資産の勘定科目は貸借対照表の勘定科目であり、いわゆる「ストックの勘定科目」です。従って、収益や費用といった損益計算書の勘定科目である「フローの勘定科目」と異なり、次期へ残高を引き継ぐ必要があります

そこで、元帳上には次期繰越とは反対側の貸借に「前期繰越」と記入して残高を引き継ぎます。

繰越試算表の作成

以上、「決算振替仕訳」と「元帳上での帳簿締め切り」という2種類の帳簿締め切りを行った後、最後に次期繰り越しのための残高検証作業を行います。

具体的には「繰越試算表(くりこししさんひょう)」を作成します(例を掲載します)。

繰越試算表に表示する勘定科目は資産、負債、純資産という「ストックの勘定科目」のみです。

総勘定元帳にて帳簿締め切りを行った後、「次期繰越」の金額を元帳から繰越試算表に転記します。

全ての勘定科目を転記した後、貸借の合計額が一致しているかどうかを確認することで、残高検証(残高が正しいかどうかの確認)を行います。

まとめ

今回は英米式決算法による帳簿の締め切り(決算振替仕訳と、元帳上での帳簿の締め切り)について解説しました。決算振替仕訳と元帳上での帳簿締め切りという、2つの帳簿締め切りの方法の特徴を理解しましょう。

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