商業簿記入門その47~3分法による商品売買取引の仕訳処理(3級)

公開日:2017年12月10日 更新日:2017年12月16日

3分法による商品売買取引の仕訳処理

前回、「商業簿記入門その46~分記法による商品売買取引の仕訳処理(3級)」では分記法による商品売買取引の仕訳処理について解説しました。

今回は3分法による商品売買取引の仕訳処理について説明します。


3分法とは

3分法(さんぶんほう)とは、商品の売買取引を記帳する場合に使用する仕訳処理の方法の一つです。

商品の売買取引を記帳する場合に使用する仕訳処理としては、3分法の他に分記法があります。分記法については、「商業簿記入門その45~分記法による商品売買取引の仕訳処理(3級))」にて解説しています。よろしければご訪問ください。

3分法による商品売買取引の仕訳処理

3分法では、「繰越商品勘定(資産に属する勘定科目)」「仕入勘定(費用に属する勘定科目)」「売上高勘定(収益に属する勘定科目)」の3種類の勘定科目を使用します。

繰越商品勘定は、決算時の商品有高を表すために使用します。

仕入勘定は、商品の仕入れの他、販売した商品原価(=「売上原価(うりあげげんか)」といいます)を集計するのに使用します。

売上勘定は、商品を販売した場合に使用します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品の仕入れ仕入×××買掛金など×××
商品の販売売掛金など×××売上×××
期首商品の振替(決算時)仕入×××繰越商品×××
期末商品の振替(決算時)繰越商品×××仕入×××

詳細は仕訳例で解説します。


仕訳例

A社の当期(×2年4月1日~×3年3月31日)における次の取引について3分法により仕訳処理しなさい。
0.期首の繰越商品残高は、20万円である。
1.A社はB社より商品30万円を掛けで仕入れた。
2.A社はC社へ商品80万円(仕入額60万円)を掛けで販売した。
3.A社はD社より商品130万円を手形を振り出して仕入れた。
4.A社はE社へ商品120万円(仕入額80万円)を販売した。代金はE社振出の手形を受け取った。
5.決算を迎えた。期末商品棚卸高は30万円である。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
0仕訳なし
1仕入300,000買掛金300,000
2売掛金800,000売上800,000
3仕入1,300,000支払手形1,300,000
4受取手形1,200,000売上1,200,000
5仕入200,000繰越商品200,000
繰越商品500,000仕入500,000

【解説】3分法による商品売買取引の仕訳処理

Tフォームを使って、繰越商品、仕入、売上の3つの勘定科目について仕訳の流れを見ていきます。

【No0.期首時点】
この段階できる仕訳はありません。前期からの繰越商品が20万円あるという情報を覚えておきます。仕入や売上は期首であるためゼロです。

3分法解説

【No1.~No4.商品仕入と販売】
特に解説は必要ないと思いますので、Tフォームに取引を記帳した結果を掲載します。

3分法解説

【No5.決算時の処理】
次の仕訳処理を行います。
①期首繰越商品(前期商品棚卸高)を繰越商品勘定から仕入勘定に振り替える。
②期末商品棚卸高を仕入勘定から繰越商品勘定に振り替える。

3分法解説

①と②の処理を行う理由は、「(1)仕入勘定にて、売上原価を集計するため」および「(2)商品を繰越商品勘定に集計するため」が挙げられます。

ここで、「売上原価(うりあげげんか)」とは、ここでは販売した商品の仕入額ということと覚えておいて差し支えありません。

①と②の処理を行うことで、繰越商品勘定の残高30万円は期末商品棚卸高と一致するので(2)を果たすことができました。

次に仕入勘定を左側(借方)と右側(貸方)に分けて見てみます。

仕入勘定の左側は期首に存在した商品20万円と当期に仕入れた商品が記入されています。これらが意味するのは「当期に存在した商品」です。

一方で仕入勘定の右側は②の仕訳処理によって、期末商品棚卸高が記入されています。これが意味するのは「当期末に存在する商品」です。

すると、左側の「当期に存在した商品180万円」から右側の「当期末に存在する商品30万円」を差し引いた金額150万円が意味するものは何か?といえば、「当期に存在しなくなった商品」すなわち「当期に販売された商品の仕入額」になります。これが売上原価になります。

これに対して、「当期に販売された商品の販売額」は何か?といえば、売上勘定に集計した金額200万円になります。売上から売上原価を差し引くと利益50万円を計算することができますが、これが損益計算書に表示されることになります。

最後に決算処理を終えた段階のTフォームを掲載します。決算処理については今後の回で解説します。

3分法解説

まとめ

今回は3分法による商品売買取引の仕訳処理について解説しました。決算時の繰越商品と仕入の振替処理について上述の解説で理解して仕訳処理を覚えておきましょう。


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