商業簿記3級 商品有高帳と先入先出法、移動平均法

更新日:2019年9月18日
公開日:2017年12月17日

前回、「商業簿記入門その49~売上帳と仕入帳の記帳方法(3級)」では、売上帳と仕入帳の記帳方法について解説しました。

今回は商品有高帳と先入先出法、移動平均法について説明します。

商品有高帳とは

商品有高帳(しょうひんありだかちょう)とは、商品の種類ごとに明細を記入した帳簿です。

商品有高帳は補助簿(補助元帳)に分類されます。

すなわち主要簿である仕訳帳(又は伝票)や総勘定元帳を補う役割を果たす帳簿です。

商品有高帳を作成することで、商品の種類別に商品の増減に関する取引を把握することが容易になります。

一方で、商品有高帳という帳簿を追加して作成するため、主要簿(又は伝票)のみを作成していた場合と比較して、記帳作業は増えます。

※補助簿を利用するメリットについては、「その10~現金出納帳の記帳方法(3級)」「その22~売掛金と買掛金の記帳(得意先、仕入先元帳、人名勘定)(3級)」「その35~受取手形記入帳と支払手形記入帳(3級)」「その49~売上帳と仕入帳の記帳方法(3級)」にてそれぞれ解説しています。

商品有高帳の記帳方法

商品有高帳のサンプルを掲載しましたので、ご参考ください。

商品有高帳(ジーンズ)

〇〇年摘要受入払出残高
数量単価金額数量単価金額数量単価金額
4 1前月繰越1002,000200,0001002,000200,000
5仕入2002,000400,0003002,000600,000
12売上502,000100,0002502,000500,000
24売上1702,000340,000802,000160,000
30次月繰越802,000160,000
300600,000300600,000
5 1前月繰越802,000160,000802,000160,000

以下、商品有高帳の記帳方法について簡単に説明します。

  • ①1つの商品につき1つの商品有高帳を記入する(上の例では「ジーンズ(ズボン)」)。
  • ②単価は仕入単価を記入する。販売額で記入しないこと。
  • ③受入、払出、残高の各欄にて、複数の単価が存在する場合には、複数行に分けて記載する(「{」で括る)。
  • ④次期繰越欄は朱記(赤文字で記載)する。
  • ⑤前月繰越は受入欄に記入し、次月繰越は払出欄に記入する。
  • ⑥次期繰越の次の行に数量と金額の合計を記載する。

※④について、WEB上では「{」の記載が難しいため、後述の商品有高帳では「{」は省略します。

商品有高帳の単価計算について

上述の商品有高帳では、単価は全て2,000円であるため問題とはなりませんが、複数の単価で仕入れる場合ももちろんあります。

複数の単価で仕入れた場合に、「払出の単価をどうするのか」を決める必要があります。

この払出単価を決める方法として、①先入先出法②移動平均法があります。

次の設例について、それぞれの方法で商品有高帳を記入してみます。

  • 【設例】A社の〇〇年5月のジーンズの取引は次の通りである。
  • 前月繰越は数量100 単価2,000円である。
  • 5月 6日 数量200を単価1,850円で仕入れた。
  • 5月10日 数量150を販売した。
  • 5月18日 数量100を単価2,400円で仕入れた。
  • 5月26日 数量150を販売した。

先入先出法

先入先出法(さきいれさきだしほう)とは、先に仕入れた商品から先に払い出すと仮定して単価を決める方法をいいます。

先入先出法の場合には、上述の設例による商品有高帳は次の通りになります。

〇〇年摘要受入払出残高
数量単価金額数量単価金額数量単価金額
5 1前月繰越1002,000200,0001002,000200,000
6仕入2001,850370,0001002,000200,000
2001,850370,000
10売上1002,000200,0001501,850277,500
501,85092,500
18仕入1002,400240,0001501,850277,500
1002,400240,000
26売上1501,850277,5001002,400240,000
31次月繰越1002,400240,000
400810,000400810,000
6 1前月繰越1002,400240,0001002,400240,000

販売日の10日を見てみましょう。150の販売のうち、先に仕入れた単価2,000の商品が100残っているため、これを払い出し、次に仕入れた単価1,850円の商品を50だけ払い出します。

26日の販売も同様に考えます。残高のうち、先に仕入れた単価1,850円の商品が150残っているので、これを全て払い出すように記帳します。

移動平均法

移動平均法(いどうへいきんほう)とは、払い出す度に、残高の平均を計算して払出単価を決める方法をいいます。

移動平均法の場合には、上述の設例による商品有高帳は次の通りになります。

〇〇年摘要受入払出残高
数量単価金額数量単価金額数量単価金額
5 1前月繰越1002,000200,0001002,000200,000
6仕入2001,850370,0003001,900570,000
10売上1501,900285,0001501,900285,000
18仕入1002,400240,0002502,100525,000
26売上1502,100315,0001002,100210,000
31次月繰越1002,100210,000
400810,000400810,000
6 1前月繰越1002,100210,0001002,100210,000

移動平均法の場合には、仕入れた時の残高欄に、平均単価を計算して、その単価で商品を記入します。

6日の仕入日には、次の計算を行って平均単価を求めます。

( 前月繰越残高の商品金額200,000円 + 6日仕入の商品金額185,000 ) ÷ ( 前月繰越残高の商品数量100 + 6日仕入の商品数量200 ) = 1,900円

18日も同様に計算して商品単価2,100円を残高に記入しています。

関連リンク

まとめ

今回は商品有高帳の記帳方法と先入先出法、移動平均法について解説しました。記帳の仕方や先入先出法、移動平均法の計算は問題演習を繰り返して頭と体に定着させていきましょう。

戻る | 次へ