工業簿記2級 本社工場会計とは|手続きと仕訳(原価計算入門)

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記事最終更新日:2020年9月2日
記事公開日:2017年5月19日

今回は、本社工場会計について解説します。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準、直接)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

本社工場会計の手続きと仕訳について学習します。

本社工場会計とは、工場に関する取引の記帳を本社から工場に移して工場が独立して取引の記帳管理を行うことで、本社と工場とで会計機能を分離させることをいいます。

本社工場会計とは

本社工場会計(ほんしゃこうじょうかいけい)とは、工場で行われる原価計算や手続きは工場で会計記帳を行い、本社の会計とは独立して行う方法をいいます。

商業簿記で本支店会計を学習していれば、ほとんど同じですので、理解しやすい論点です。

本社工場会計の特徴

本社工場会計の特徴は、「工場側と本社側でそれぞれが別々の会社のように独立して会計記帳すること」です。すなわち本社と工場で別々に仕訳をきります。

そして、本社と工場との間で取引がある場合には、本社では「工場勘定」、工場では「本社勘定」を使って仕訳します。

日商簿記2級の出題形式

日商簿記2級(工業簿記)では仕訳問題として出題されます。

内容も材料の購入、賃金支払い、製造間接費の予定配賦、原価差異の計上など、日商簿記2級で学習する原価計算取引の仕訳が網羅的に出題されます。

勘定連絡図や仕訳が苦手な方には難しい問題といえます。

本社工場会計の勘定科目

本社工場会計で使用する勘定科目は次の通り。

・本社 ・工場 ・材料 ・賃金 ・仕掛品 ・製造間接費 ・製品 ・予算差異 ・操業度差異 ・その他

本社工場会計だけで出題される勘定科目は「本社勘定」と「工場勘定」の2つです。その他、費目別計算や製品別計算、製造間接費の原価差異分析などの論点で出題される勘定科目が出題されます。

※工業簿記は商業簿記と異なり勘定科目の出題範囲が決まっていません。

従って、取引の流れを理解して仕訳パターンを覚えるとともに、問題で与えられた勘定科目を使って解く力が求められます。

原価計算手続き

本社工場会計の原価計算手続きは次の通り。

(1)本社と工場の役割の確認

例えば、「材料と製品の倉庫は工場に置き、材料の購入と給与支払いは本社が行う」場合には、それぞれの役割は次の通り。

この場合、例えば工場で材料を購入した場合には、支払いは本社に依頼しないといけません。従って、材料を購入する取引は本社と工場の両方が取引を仕訳します。

しかし、工場でズボンを製造して完成した場合には、工場に倉庫があるので本社まで運ぶ必要はありません。従って、製品の完成に関する取引は工場側だけが仕訳します。

他にも本社側・工場側それぞれで使用している勘定科目を確認することで、どちらが役割を担っているかを確認します。

(2)取引の記帳(仕訳)

取引が発生した場合には、仕訳を行います。

上述の通り、本社と工場の両方が関係する取引の場合には、本社側が工場側の役割を記帳する場合には「工場勘定」で記帳し、工場側が本社側の役割を記帳する場合には「本社勘定」で記帳します。

例えば、材料10,000円を掛けで購入した場合の本社側と工場側の仕訳は次の通り。

次の問題と解説

本社工場会計の仕訳問題を掲載して解説します。費目別計算を中心に日商簿記2級全般の仕訳を理解しているかどうかがポイント。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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