原価計算入門その18~製造間接費(原因分析、予算差異と操業度差異)

作成日:2016年11月11日 更新日:2018年5月20日

前回に引き続き、製造間接費について解説します。

製造間接費とは費目別計算で計算した要素のうち、間接費(間接材料費、間接労務費、間接経費)を集計したものをいいます。
下記に学習上のポイントを参考に記載しました。ご利用ください。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

【学習のポイント】

0.製造間接費の分類
1.予定配賦額の計算
2.配賦差額の計算と原因分析
 ①変動費と固定費
 ②予算許容度の計算
 ③予算差異と操業度差異


【製造間接費(原因分析、予算差異と操業度差異)】

前回の設例の続きから解説します
※問1は前回、「原価計算入門その17~製造間接費(固定費、変動費と配賦差額)」の解説を参照ください。

【設例】
衣服メーカーでは、ズボンの生産量を配賦基準として
製造間接費を各製品に配賦している。
・年間ズボン生産量:42,000本(期待実際操業度)
・当月の実際操業度:3,600本
・実際製造間接費:1,360,000円
・年間製造間接費予算:15,120,000円
(変動費率 @120円 固定費予算 10,080,000円)

(問1)配賦差額を求めましょう。
(問2)配賦差額を予算差異と操業度差異に分けましょう。

【解答】
(問1)前回解説済み。

(問2)
予算許容度 = 変動比率@120円 × 実際操業度3,600本 + (固定費予算 10,080,000円 ÷ 12ヶ月)= 1,272,000円
予算差異 = 予算許容度1,272,000円 - 実際製造間接費1,360,000円 = △88,000円(不利差異、借方差異)
操業度差異 = 予定配賦額1,296,000円(※1) - 予算許容度1,272,000円 = 24,000円(有利差異、貸方差異)
(別解)操業度差異 = (3,600本 - 3,500本) × 固定費率@240円(※2) = 24,000円(有利差異、貸方差異)
※1:問1で計算済み。前回を参照。
※2:固定費予算10,080,000円÷基準操業度(期待実際操業度)42,000本=@240円

【仕訳】
(借方)製造間接費配賦差異 64,000(貸方)製造間接費 64,000



【予算許容度の求め方】

【解説】
(問2)予算差異と操業度差異を求める問題(配賦差額を分析する問題)

予算許容度とは、次の計算式で求められるものです。
比較しやすいように、実際配賦額と予定配賦額を固定費と変動に分解した計算式を並べて記載します。

予定配賦額=変動費率(予)×実際操業度(実)+固定費率(予)×実際操業度(実)
予算許容度=変動費率(予)×実際操業度(実)+固定費率(予)×基準操業度(予)
実際配賦額=変動費率(実)×実際操業度(実)+固定費率(実)×実際操業度(実)

(予)は予定、(実)は実際です。
これらの計算式から分かるように、予算許容度と予定配賦額とは、固定費を算定する操業度が異なり、予算許容度と実際配賦額とは、変動費を算定する操業度以外が異なります。この違いを利用して、配賦差額を予算差異と操業度差異に分けて原因分析します。

予算差異と操業度差異の計算式は次の通りです。

予算差異 = 予算許容度 - 実際配賦額
操業度差異 = 予定配賦額 - 予算許容度 = (実際操業度 - 基準操業度)(※)× 固定費率

(※)注意!! 実際から基準(予定)を差し引きます。

操業度差異とは、実際と予定の操業度の違いによる固定費の差異のことです。
予算差異とは、実際操業度を使用した場合の予定と実際との差異をいいます。

設例での解答によると、予算差異は△88,000円の不利差異(借方差異)、操業度差異は24,000円の有利差異(貸方差異)になりました。



【補足:予算差異と操業度差異の有利差異、不利差異から分かること】

※この補足は試験の出題範囲ではりません。具体的にイメージして用語や計算式を記憶させるためにお読みください

予算差異がマイナスということは、同じ操業度(=ズボン生産量)であっても、実際コストが予定コストを上回ったことを意味するため、「生産効率が悪い」という原因分析結果になります(もしくは予定の設定がよくない)。

操業度差異がプラスということは、操業度(=ズボン生産量)が予定よりも多かったということになります。

生産量が多い=製造間接費が多い→不利差異なのではないか?という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、これは誤解です。
なぜならば、固定費は操業度の変動に関係なく一定の額が発生するためです。

操業度差異がプラス=実際の方が操業度が多かったため、固定費をより有効に使用した→有利差異(貸方差異)

というように考えます。操業度差異は計算式や有利差異、不利差異を混同しやすいところですので、このような考え方があることを覚えておくと記憶定着に役立ちます。



【シュラッター図を使用して覚える】

予算差異と操業度差異の計算には、次のシュラッター図を用いると視覚的に把握できるので覚えやすくなります。

シュラッター図

他の参考書籍と併せて参考にしてください。

【配賦差額の処理】

配賦差額は月次では製造間接費配賦差異勘定に集計しておき、年次の段階で売上原価に賦課(ふか)します。
※賦課:直接負担させる、といった意味合いです。

【終わりに】

今回は製造間接費の原因分析(予算差異と操業度差異)について解説しました。
次回は製造間接費のまとめを掲載します。


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