工業簿記2級 (実際)予算差異と操業度差異、予算許容額の計算方法(公式)とシュラッター図(入門)

更新日:2020年6月14日
作成日:2016年11月11日

今回は製造間接費の論点のうち、予算差異と操業度差異(実際原価計算の差異分析)の計算方法や仕訳、予算許容額の覚え方やシュラッター図について、問題例を使って解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

実際原価計算における製造間接費の原価差異分析(予算差異と操業度差異)について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、主に第4段階の原価差異分析に関係します。

原価差異分析(げんかさいぶんせき)とは、年や月毎に直接材料費、直接労務費、製造間接費といった費目を予定価格や予定配賦、標準価格、標準消費数量で計算した場合、実際との差異をいくつかの項目に分解して分析する手続きをいいます。

例えば、実際原価計算の製造間接費を予定配賦した場合、実際発生額との差額を予算差異と操業度差異に分解して分析することで次回以降の原価活動に役立てます。

実際原価計算の原価差異分析

実際原価計算制度における原価差異分析(げんかさいぶんせき)とは、予定価格や予定配賦などによって求めた原価の予定額と実際発生額との差額を分析して、財務会計上適切に原価として反映するとともに、原価管理に役立てることをいいます。

実際原価計算における原価差異分析は、材料費、労務費といった費目毎にいくつか存在しますが、今回解説するのは製造間接費についてです。

他の原価差異分析については下記の記事を参照。

標準原価計算の原価差異分析は下記の記事を参照。

製造間接費の原価差異分析

製造間接費の原価差異分析は、予め定めた年間の製造間接費予算と基準操業度から月の予定配賦額を求め、実際発生額との差額(製造間接費配賦差異)を計算して行う分析をいいます。

より具体的には、製造間接費の変動予算(変動費と固定費)または固定予算として設定し、月毎に原価差異を計算した後、シュラッター図を描いて予算差異と操業度差異に分解します。

予算差異とは

予算差異(よさんさい)とは、製造間接費配賦差異のうち、実際操業度を使用した場合の予定額と実際発生額との差異をいいます。

具体的には予算許容額(よさんきょようがく)を計算して、実際発生額を差し引いた差額のことをいいます。

操業度差異とは

操業度差異(そうぎょうどさい)とは、製造間接費配賦差異のうち、実際と予定の操業度の違いによる固定費の差異をいいます。

予算差異と操業度差異の公式(計算方法)

予算差異と操業度差異の計算式は次の通り。

どちらもプラス(+)の場合は有利差異(貸方差異)、マイナス(-)の場合は不利差異(借方差異)です。

公式を覚えようとすると難しいですが、この後に紹介するシュラッター図を描いて計算すれば簡単です。

シュラッター図も何回か問題を解けば描けるようになります。

次に予算許容額について補足します。

予算許容額の求め方

予算許容額」は、次の計算式で求めます。

※比較しやすいように予定配賦額と実際発生額を固定費と変動に分解した計算式を並べて記載します。

(予)は予定、(実)は実際です。

これらの計算式を比較してみると、(b)予算許容額と(a)実際発生額とは、変動費の操業度以外(②以外の①、③、④)が異なり(b)予算許容額と(c)予定配賦額とは固定費の操業度(④)だけが異なります。

この違いを利用して、配賦差額を予算差異( b - a )操業度差異( c - b )を計算して原因分析します。

もう一つ別の視点から予算許容額の覚え方に焦点を当てて説明すると、(b)予算許容額も(c)予定配賦額と同様に「予定配賦率(変動費率+固定費率)×実際操業度」で計算しますが、固定費の操業度は実際ではなく予定操業度を用いて計算します。

すなわち、予算許容額と予定配賦額の違いは、固定費の計算方法だけであり変動費は同じということです。そしてこの違いが操業度差異になります。

仕訳

製造間接費勘定を予算差異勘定と操業度差異勘定へ振り替えます。

一度、製造間接費配賦差異の総額を原価差異勘定へ振り替え、その後、予算差異勘定と操業度差異勘定へ振り替えるパターンもあります。

問題例(ズボンメーカーを例に)

(問1)製造間接費配賦差異は製造間接費の予定配賦額と実際発生額の差額を求めます。

(問2)上述の公式とシュラッター図を使って、予算許容額を計算し、予算差異と操業度差異を求めます。

(仕訳)予算差異は不利差異なので借方に記入。操業度差異は有利差異なので貸方に記入。

予算差異と操業度差異の有利差異、不利差異から分かること

※具体的にイメージして用語や計算式を記憶させるために解説しておきます。

今回の問題例では、予算差異は△88,000円の不利差異、操業度差異は24,000円の有利差異になりました。

予算差異がマイナスということは、同じ操業度であっても、実際コストが予定コストを上回ったことを意味するため、「生産効率が悪い」という分析結果になります(もしくは予算の設定がよくない)。

次に操業度差異がプラスということは、「実際操業度 > 予定操業度」だったということを意味します。

操業度差異ですが、「生産量が予定よりも多い = 製造間接費が多い → 不利差異なのではないか?」という疑問を持つ方もいるかもしれませんが、これは誤解です。

なぜならば、固定費は操業度の変動に関係なく一定の額が発生する(=変化しない)ためです。

操業度差異がプラス=実際の方が操業度が多かったため、固定費をより有効に使用した→有利差異(貸方差異)

というように考えます。操業度差異は計算式や有利差異、不利差異を混同しやすいところですので、このような考え方があることを覚えておくと記憶定着に役立ちます。

(覚え方のポイント)シュラッター図を使用して覚える

予算差異と操業度差異の計算には、シュラッター図を用いると数字を視覚的に把握できるので公式を覚えやすくなります。

シュラッター図(下書き)

シュラッター図(完成・上図の再掲)

実際操業度の方が基準操業度よりも大きい場合にも、この位置関係で描きます。

次の問題と解説

部門別計算について解説します。たくさんの用語や費目別計算や製品別計算との関係を理解しながらイメージして、製造部門の製造間接費を計算する点がポイント

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