工業簿記2級 本社工場会計の仕訳問題と解説(日商簿記2級)

作成日:2020年9月2日

今回は、本社工場会計の仕訳問題を解説します(日商簿記2級の試験範囲)。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準、直接)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算、直接原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

本社工場会計の仕訳問題について学習します。

本社工場会計とは、工場に関する取引の記帳を本社から工場に移して工場が独立して取引の記帳管理を行うことで、本社と工場とで会計機能を分離させることをいいます。

本社工場会計の仕訳について

本社工場会計では、本社と工場がそれぞれ独立して各々の取引を記帳(仕訳)します。

もし本社と工場との間で取引が発生した場合には、本社では「工場勘定」、工場では「本社勘定」を使用して仕訳します。

商業簿記で本支店会計を学習していれば、ほとんど同じですので、理解しやすい論点です。

問題例(本社工場会計の仕訳)

今回は設例を用いて解説します(日商簿記2級のレベルでは「普通」レベル)。

解答

解説1-工場と本社の役割の確認

工場と本社とで別々に記帳するため、はじめにそれぞれの役割を確認します。

「材料と製品の倉庫は工場にある。一方、材料購入や賃金の支払いは本社がまとめて行っている。」と問題にあるので、それぞれの役割は次の通り。

解説2-工場で使用する勘定科目の確認

問題文から次の勘定科目を工場で使用していると分かります。「材料 賃金 製造間接費 仕掛品 製品 本社 原価差異」

以上の勘定科目を使用して取引を仕訳します。

次に本問(1)から(5)の取引の仕訳を解説しますが、ほとんどの仕訳は他の論点で解説済みです。本社工場会計特有の論点以外は、ポイントを解説し、詳細は関連記事を掲載します。

解説3-(1)材料購入の仕訳

本社工場会計を採用していなければ、「(借方)材料 20,000 (貸方)買掛金 20,000」と仕訳します。

今回は工場側の仕訳です。また、問題文から本社が材料購入の支払いを行います。

従って、貸方は買掛金ではなく、本社と記入します。

ちなみに本社の仕訳は次の通り。

材料費の仕訳の詳細は下記の記事を参照。

解説4-(2)賃金の消費(労務費の計上)

「月末になったため、当月賃金の消費額を計上する。」とあるので、賃金の支払いではなく、労務費計上の仕訳をきる問題だと理解します。

従って、仕訳の型は次の通り。

与えられた労務費を直接労務費と間接労務費に分類すると、直接工の直接作業時間2,100時間(予定賃率1,800円/時間)が直接労務費です。直接工の間接作業時間と手待時間分の賃金、および間接工の賃金は全て間接労務費になります。

次に金額の計算ですが、直接工賃金は予定賃率×作業時間、間接工賃金は要支払額で計算します。

以上から仕訳は次の通り。

解説5-(3)棚卸減耗費の発生

棚卸減耗費は材料ではなく、経費(間接経費)に分類されます。

使用できる勘定科目から仕訳は次の通り。

解説6-(4)製造間接費と原価差異の計上

問題文より製造間接費は予定配賦し、予定配賦額と実際発生額の差額を原価差異(製造間接費配賦差異)として計上します。

仕訳の型は次の通り。

製造間接費に関する仕訳や予定配賦額、原価差異の詳細は下記の記事を参照。

以上から仕訳は次の通り。

解説7-(5)製品(完成品原価)の計上

本文より工場に製品の倉庫があるので、工場だけの取引です。本社勘定は使用しません。

仮に工場に製品倉庫がなく、本社にあった場合には、本社勘定で記入します。

仕訳の型は次の通り。

本問の仕訳は次の通り。

次の問題と解説

損益計算書と製造原価報告書について解説します(一部、日商簿記2級を超えた応用あり)。各表示科目の金額が実際原価、予定原価、標準原価のどれで表示するのか、そして原価差異をどのように表示するのかを理解できるかどうかがポイント。

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