手形の裏書譲渡と連結仕訳を解説|内部取引

電卓とペン

記事最終更新日:2022年10月5日
記事公開日:2022年6月19日

内部取引で取得した手形を外部に裏書譲渡した場合、割引と同じく連結修正仕訳が必要です。

ここでは、連結会社間取引で取得した受取手形を裏書譲渡した場合の仕訳を解説します。

手形の裏書譲渡と連結仕訳と会計処理を解説|内部取引

目次

内部取引と手形

連結会社間取引、例えば商品売買などによって仕入側が販売側に手形を振り出した場合、販売側に受取手形、仕入側に支払手形を計上します。

手形取引

手形の裏書譲渡と会計処理

内部取引によって取得した受取手形を外部の金融機関に割り引いた場合、次の通り、考えて会計処理します。

個別財務諸表上の会計処理

受取手形は裏書譲渡時に消滅を認識します。

裏書譲渡によって新たに生じた、二次的責任である保証債務を時価評価して認識するとともに、割引による入金額から保証債務の時価評価額を差し引いた譲渡金額から、譲渡減価である帳簿価額を差し引いた額を手形売却損益として処理します(金融商品会計に関する実務指針より)。

当該割引は偶発債務に該当することから、個別貸借対照表上の債務保証に関する注記事項として、満期に支払われるまで、注記します(財務諸表等規則)。

手形取引

※簿記2級の会計処理は下記の記事を参照

連結財務諸表上の会計処理

連結財務諸表上では、内部取引の債権債務は相殺消去します。従って、P社の受取手形とS社の支払手形を相殺消去すると、外部の取引先への裏書譲渡ではなく、親会社(P社)が外部の取引先への手形を振り出したとして会計処理します。

手形取引

会計基準

※2022年10月5日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。

連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)
金融商品会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第14号)
財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則債務保証及び保証類似行為の会計処理及び表示に関する監査上の取り扱い(監査・保証実務委員会実務指針第61号)

連結仕訳

次の通り。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
手形の相殺消去(裏書譲渡)支払手形×××受取手形×××

※裏書譲渡時に直接控除法によって仕訳した場合を想定

仕訳例

  • P社は子会社S社より受け取った手形100のうち、40を外部取引先に裏書譲渡した。
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
支払手形60受取手形60
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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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