配当の権利落ちと連結仕訳
記事最終更新日:2022年10月5日
記事公開日:2022年6月27日
配当の論点の1つに「配当の権利落ち」があります。
本記事では配当の権利落ちと連結会計上の仕訳を解説します。
配当の権利落ちとは
配当の権利落ちとは、株主権利の基準日が過ぎた後に株式を取得したため、配当を受け取れないことをいいます。
取引内容
例えば、3月末決算の会社で基準日を決算日(3月31日)としていた場合、翌期首(4月1日)に株式を取得した場合が該当します。
この場合、6月下旬の株主総会で配当金の支払決議されたとしても、この決議による配当は受け取れません。
株主権利と基準日
「基準日」とは、株主名簿上の株主の権利を確定させるために、会社法に基づいて設定する一定の日をいいます(会社法124条1項)。
決算日を基準日とすることが一般的です。
会計処理
資本連結時の親会社持分の計算に際しては、子会社の配当金額のうち親会社持分相当額を控除します。すなわち、配当の権利落ちによって配当を受け取る権利がないため、その部分は親会社持分から差し引いて資本連結を行う必要がある、ということです。
これに対して、非支配株主持分の計算は通常と同じです。
連結仕訳
配当の権利落ちに関する部分は、「未払配当金勘定(負債に属する勘定科目)」で次の通り仕訳します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
支配獲得 | 資本金 | ××× | 子会社株式 | ××× |
資本剰余金 | ××× | 非支配株主持分 | ××× |
利益剰余金 | ××× | 未払配当金 ※ | ××× |
のれん | ××× | | |
配当の振替 | 未払配当金 | ××× | 配当金 | ××× |
非支配株主持分 | ××× | | |
※権利落ち部分(外部株主に支払われる金額)
仕訳例
- 1. 4/1 S社株式80%を取得して子会社とした。資本金100 利益剰余金25。S社の基準日は3月末日(決算日)
- 2. 6/25 S社の定時株主総会が開催され、5の配当が決議された。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
1 | 資本金 | 100 | 子会社株式 | 105 |
利益剰余金 | 25 | 非支配株主持分 | 25 |
のれん | 9 | 未払配当金 | 4 |
2 | 未払配当金 | 4 | 配当金 | 5 |
非支配株主持分 | 1 | | |
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