債権売却損とは|仕訳を分かりやすく解説(簿記2級)
記事最終更新日:2023年12月30日
記事公開日:2021年8月2日
※本記事の一部では、簿記1級以上の試験範囲や実務に役立つ知識や解説しています。
「債権売却損」は売掛金をファクタリング会社に売却した際に支払う手数料を会計処理する際に使用する勘定科目であり、簿記2級で学習します。
本記事では、簿記2級の試験範囲である「債権売却損」について、仕訳例を示すとともに「ファクタリング」の意味など関連用語や実務上の知識も含めて分かりやすく解説します。
債権売却損とは|仕訳を分かりやすく解説(簿記2級)
目次
仕訳例
<仕訳例>
1.得意先に対する売掛金100をファクタリング会社に売却し、手数料5が差し引かれた残額が普通預金に振り込まれた。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 普通預金 | 95 | 売掛金 | 100 |
債権売却損 | 5 |
「債権売却損」とは
「債権売却損」とは費用の勘定科目です。会社が商品販売・サービス提供によって得意先と約束した売掛債権(売掛金)を、「売掛債権買取企業(ファクタリング会社)」に譲渡(売却)することに伴い発生する、ファクタリング会社に支払う手数料を会計処理する際に使用します。
(参考)債権譲渡(債権の売却)
「債権譲渡」とは、売掛金・受取手形・貸付金などの債権を金融機関や専門業者に売却することをいいます。
「売掛金」は、一般的には支払期日に回収・入金されるまで待ちますが、場合によってはすぐに資金が必要な時もあります。
このような場合に、会社は「ファクタリング会社」に売掛金を売却することで、手数料が発生しますが得意先の販売代金の支払いを待たずに資金を回収できます。
(参考)ファクタリング
売掛金の買取りを、「ファクタリング(Factoring)」といい、ファクタリングを専門とする会社を「ファクタリング会社」といいます。
<参考の参考>受取手形や貸付金の売却
- ・受取手形の売却は一般的に「割引」といい、銀行などの金融機関で依頼できます。
- ・受取手形・売掛金・貸付金など債権の種類に限らず、期日に回収・返済が滞った場合には、「サービサー」といわれるファクタリング会社とは異なる専門会社に依頼して債権を売却する場合があります(サービサーへの債権譲渡に関する会計処理は簿記1級以上で学習)。
勘定科目の属性と仕訳方法
勘定科目の属性
上記の通り、「債権売却損」は売掛金の売却に伴い発生する「手数料の支払い」であるため「費用に属する勘定科目」です。
「取引の8要素」に従えば、費用が発生した際には借方に記入します。
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仕訳方法
売掛金を売却した場合には「売掛金(資産)」が減少するため、貸方に「売掛金」を記入し、借方には「現金・預金」などを入金額で記入します。
そして、ファクタリング会社に支払う手数料は「債権売却損(費用)」の発生であることから、「債権売却損」を借方に記入します。
取引 | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
売掛金の売却 | 現金・預金など | ××× | 売掛金 | ××× |
債権売却損 | ××× |
(比較)他の債権の売却と手数料の勘定科目
受取手形の売却(割引)の際に支払う手数料は、「手形売却損」で処理し、電子記録債権の売却の場合の手数料は「電子記録債権売却損」で仕訳します(どちらも簿記2級の出題範囲)。
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参考情報
※本記事は2023年12月30日現在の下記の情報を参考にしています(WEB情報は更新されている可能性があります)。