個別仕訳問題9-給料関係(7問)

更新日:2025年7月8日
公開日:2025年7月6日

日商簿記3級本試験レベルの給料関係(社会保険料、源泉所得税、法定福利費など)の仕訳問題(易からやや難まで)を中心に掲載しています。利用者が増えればより早くより良いコンテンツを提供していきます。良いコンテンツと思われた場合には積極的にWEBやSNSでの拡散をお願いします。

出題内容と使い方(共通)

※他の論点別仕訳問題ページと共通

<取引の8要素>

「取引の8要素」のイメージ画像

9-1.給料の支払い1

  • 従業員への給料を支払った。給料総額¥1,000,000のうち、社会保険料(本人負担)¥70,000および所得税の源泉徴収分¥35,000を差し引いた残額を普通預金口座より振り込んだ。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
給料
1,000,000
社会保険料預り金
70,000
所得税預り金
35,000
普通預金
895,000

9-1.解説

問題文に「給料総額¥1,000,000」とあるため、給料(費用)¥1,000,000の発生として借方に記入します。

次に貸方のうち、「社会保険料(本人負担)¥70,000および所得税の源泉徴収分(=源泉所得税)¥35,000を差し引いた」という部分を読みます。社会保険料(本人負担)も源泉所得税もどちらも本来は従業員が国に支払うお金ですが、会社が給料から控除してかわりに国に納付します。従って会社側からすれば、従業員が納付するお金を「預かっている状態」になるため、それぞれを「社会保険料預り金(負債)」「所得税預り金(負債)」の勘定科目を用いて貸方に記入します(負債の増加は貸方に記入)。

最後に給料総額¥1,000,000から社会保険料(従業員分)¥70,000および源泉所得税¥35,000を差し引いた残額¥895,000を普通預金から従業員に支払ったため、貸方に普通預金で記入します。

9-2.従業員支払い代金の立替

  • 従業員が住む賃貸マンションの家賃のうち従業員負担分¥20,000を普通預金から支払った。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
従業員立替金
20,000
普通預金
20,000

9-2.解説

問題を解く際の考え方ですが、「従業員が住む賃貸マンションの家賃のうち従業員負担分¥20,000」という問題文から、「本来従業員が支払うべき支出を会社が代わりに支払った」と読み取り、また、勘定科目の選択肢に「従業員立替金」があることから、従業員立替金を用いれば良いと考えます。

従業員に対する債権(資産)が増加することから、「従業員立替金¥20,000」を借方に記入するとともに支払方法である普通預金を貸方に記入します。

9-3.給料の支払い2

  • 従業員に対する今月分の給料総額は¥1,500,000であり、従業員負担分の社会保険料¥100,000、源泉所得税¥60,000および従業員代金の会社立替額¥20,000を控除した残額を普通預金口座から振り込んだ。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
給料
1,500,000
社会保険料預り金
100,000
所得税預り金
60,000
従業員立替金
20,000
普通預金
1,320,000

9-3.解説

9-2.の続き。「給料」「社会保険料預り金」「所得税預り金」については9-1.の解説を参照。

9-2.で会社が従業員に代わって支払った従業員立替金¥20,000について、従業員の給料から控除することで従業員に当該立替金を返してもらいます。会社が立て替えた時には9-2.のように「従業員立替金¥20,000」を借方に計上したため、当該借方残高をゼロにするために本問では貸方に同額¥20,000の従業員立替金を記入します。

9-4.給料の支払い3

  • 従業員の給料について、給料総額¥2,000,000から、社会保険料(従業員負担)¥120,000、源泉所得税¥100,000の控除項目を差し引き、残額を普通預金口座から振り込むとともに、当該給料に対する社会保険料(会社負担)¥120,000を未払計上した。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
給料
2,000,000
社会保険料預り金
120,000
所得税預り金
100,000
普通預金
1,780,000
法定福利費
120,000
未払法定福利費
120,000

9-4.解説

社会保険料には従業員が負担する部分と会社が負担する部分があります。会社が負担する部分は、「法定福利費」の発生として借方に記入して費用計上します。本問では「未払計上する」の記載から、貸方は「未払法定福利費(未払費用)」を選択します。

9-5.社会保険料の納付1

  • 社会保険料¥240,000(うち、従業員負担¥120,000、会社負担¥120,000)を現金で納付した。なお、会社負担分の社会保険料については、先日の給料支払い時に未払法定福利費勘定によって費用の未払計上を行っている。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
社会保険料預り金
120,000
現金
240,000
未払法定福利費
120,000

9-5.解説

9-4.の続き。社会保険料を納付した際には、従業員負担分¥120,000については、9-4.で貸方計上した「社会保険料預り金¥120,000」を全額借方に記入して貸方残高¥120,000をゼロにします。次に会社負担分¥120,000については、「先日の給料支払い時に未払法定福利費勘定によって費用の未払計上を行っている」の問題文から、9-4.の仕訳を思い出して給料支払い時に貸方計上した「未払法定福利費¥120,000」を借方に記入します。

最後に「現金で納付」のため、貸方に現金を記入します。

9-6.社会保険料の納付2

  • 社会保険料¥240,000(うち、従業員負担¥120,000、会社負担¥120,000)を現金で納付した。会社負担については納付時に費用計上する方法で処理している。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
社会保険料預り金
120,000
現金
240,000
法定福利費
120,000

9-6.解説

問題文のうち、9-5.と異なるのは「会社負担については納付時に費用計上する方法で処理している。」という部分。従って、社会保険料の会社負担分については、給料支払い時に「法定福利費¥120,000」の借方計上を行っていないと読み取り、本問の仕訳で「法定福利費」を用いて借方に費用計上します。

9-7.源泉所得税の納付

  • 従業員の給料から源泉徴収していた所得税¥100,000について、現金で納付した。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
所得税預り金
100,000
現金
100,000

9-7.解説

9-4.の続き。給料支払い時に「所得税預り金¥100,000」として貸方計上した源泉所得税について、本問の納付時に借方に全額を記入して給料支払い時の貸方残高をゼロにします。

簿記3級 鍛錬の間TOP・個別仕訳問題一覧

\ SHARE /

サイト内検索

著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

詳細はこちら↓
著者プロフィール

☆電子書籍の「0円キャンペーン」
日商簿記テキスト・問題集で実施中。X(旧twitter)で告知します。
「PDCA会計」をフォロー