個別仕訳問題5-有形固定資産(9問)

更新日:2025年9月17日
公開日:2025年7月6日

日商簿記3級本試験レベルの有形固定資産の仕訳問題(易からやや難まで)を中心に掲載しています。利用者が増えればより早くより良いコンテンツを提供していきます。良いコンテンツと思われた場合には積極的にWEBやSNSでの拡散をお願いします。

出題内容と使い方(共通)

※他の論点別仕訳問題ページと共通

<取引の8要素>

「取引の8要素」のイメージ画像

5-1.建物の取得

  • 建物¥10,000,000を取得し、代金は小切手を振り出して支払った。なお、購入にあたって、不動産会社への仲介手数料、登記料および改装費用など総額¥750,000の付随費用が発生し全て現金で支払った。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
建物
10,750,000
当座預金
10,000,000
現金
750,000

5-1.解説

建物を取得したため、建物の増加として、借方に建物を選択。金額は建物の購入代金¥10,000,000だけでなく付随費用¥750,000を含めた¥10,750,000を記入します。

支払方法は建物の取得が小切手の振出し、付随費用は現金のため、それぞれの減少として貸方に記入します。

5-2.事務用机の購入

  • 事務用机を1台¥50,000で5台購入し、代金は翌月以降支払う。なお、運送費¥15,000と据付費¥10,000は運送業者に現金で支払った。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
備品
275,000
未払金
250,000
現金
25,000

5-2.解説

事務用机(備品)の購入は備品の増加のため、借方に記入します。金額は事務用机5台の代価¥250,000(¥50,000×5台)に運送費・据付費(付随費用)の合計¥25,000(¥15,000+¥10,000)を足した¥275,000になります。

支払方法は事務用机は未払金の増加、付随費用は現金の減少であり、どちらも貸方に記入します。

5-3.土地付き店舗の取得

  • 新規の出店のため、土地付き店舗¥5,000,000(うち店舗¥1,500,000、土地¥3,500,000)を購入し、不動産仲介手数料(それぞれ代金の3%)を含めた総額について普通預金口座より振り込み、引き渡しを受けた。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
建物
1,545,000
普通預金
5,150,000
土地
3,605,000

5-3.解説

土地と店舗(建物)に分けて仕訳します。金額は土地・建物自体の代価に、それぞれ3%の不動産仲介手数料(付随費用)を計算して追加します。

建物=店舗¥1,500,000×(1+3%)=¥1,545,000
土地=土地¥3,500,000×(1+3%)=¥3,605,000

支払は全額普通預金からの振り込みのため、減少として貸方に普通預金¥5,150,000(借方金額の合計)を記入します。

5-4.営業用自動車の購入

  • 営業用に中古の自動車¥500,000を購入し、購入手数料・登録手数料(合計¥57,000)を含めて代金は後日支払うことにした。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
車両運搬具
557,000
未払金
557,000

5-4.解説

自動車を購入したので、車両運搬具の増加として借方に記入。金額は自動車の代価¥500,000に付随費用(購入・登録手数料)¥57,000を追加した¥557,000になります。貸方は未払金の増加として記入します。

5-5.営業所の期首売却

  • 当期首(4/1)に営業所の移転に伴い旧営業所(取得原価¥3,000,000、減価償却累計額¥1,250,000)を¥1,500,000で売却し、売却代金は小切手で受け取った。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
現金
1,500,000
建物
3,000,000
建物減価償却累計額
1,250,000
固定資産売却損
250,000

5-5.解説

旧営業所(建物)の売却によって建物が減少するため、取得原価¥3,000,000で建物を貸方に記入します。また、売却代金として小切手¥1,500,000を受け取ったため、現金の増加として借方に記入します。

次に「建物減価償却累計額(貸方残高¥1,250,000)」が売却によって残高ゼロになるため、反対側である借方に記入します。

最後に貸借の差額である¥250,000を貸借の合計が一致するように借方に記入します。借方であるため、「収益の発生」ではなく「費用の発生」であるため、勘定科目は「固定資産売却損」を選択します。

5-6.業務用ノートPCの期中売却

  • 期中にPCの入れ替えによって不用となったノートPC10台(取得原価¥3,500,000、減価償却累計額¥2,150,000、当期減価償却費¥175,000 全て合計額)を総額¥1,200,000で売却し、代金は後日受け取ることにした。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
未収入金
1,200,000
備品
3,500,000
減価償却費
175,000
固定資産売却益
25,000
備品減価償却累計額
2,150,000

5-6.解説

ノートPC(備品)を売却したため、備品の減少として取得原価¥3,500,000で貸方に記入し、売却代金¥1,200,000は後日受け取るため、未収入金の増加として借方に仕訳します。

期中に売却したため、期首から売却日までの減価償却費が計上されていません。従って、当期減価償却費¥175,000の計上として、借方に減価償却費¥175,000を記入します。次に前期末までの減価償却累計額¥2,150,000(貸方残高)が売却でゼロになるため、借方に同額を「備品減価償却累計額」を記入します。

最後に貸借差額である¥25,000について、貸方に記入。貸方であるため、勘定科目は「収益の発生」となる「固定資産売却益」を選択します。

5-7.本社オフィスの改良と修繕

  • 事業拡大に伴い、本社オフィスの拡張・レイアウト変更と補修を行い、代金¥15,000,000を普通預金口座から支払った。結果、資本的支出(資産価値を高める支出)¥12,000,000と収益的支出(資産の維持に要した支出)¥3,000,000が認められたため、適切に処理した。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
建物
12,000,000
普通預金
15,000,000
修繕費
3,000,000

5-7.解説

本社オフィス(建物)の改良・修繕に該当し、資本的支出¥12,000,000は本社オフィスの価値を高めるため建物の増加として、収益的支出¥3,000,000は本社オフィスの維持のため修繕費の発生として、それぞれ借方に記入します。貸方は普通預金口座からの支払いのため、普通預金¥15,000,000を記入します。

5-8.コピー機の修理

  • 購入したコピー機が故障したため、業者に修理を依頼した。本日修理が完了し、修理代金として¥50,000を現金で支払った。
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
修繕費
50,000
現金
50,000

5-8.解説

コピー機(備品)の修理のため、修繕費¥50,000の発生として借方に記入するとともに、貸方は支払方法である現金を記入します。

5-9.建物と備品の減価償却

  • 決算日(3/31)を迎えた。減価償却費を計上する。
  • (1)建物(前T/B残高¥4,000,000)について、残存価額ゼロ、耐用年数40年の定額法
  •  なお、¥1,000,000は当期の1/1に取得したものであり、月割りで計上する。
  • (2)備品(前T/B残高¥300,000)について、残存価額ゼロ、耐用年数5年の定額法
借方科目金額貸方科目金額
借方科目金額貸方科目金額
減価償却費
141,250
建物減価償却累計額
81,250
備品減価償却累計額
60,000

5-9.解説

(1)建物
過年度取得分¥3,000,000(前T/B残高¥4,000,000-当期取得¥1,000,000)と当期取得分¥1,000,000に分けて減価償却費を計算します。

(減価償却費の計算)
➀過年度取得:(建物¥3,000,000-残存価額ゼロ)÷耐用年数40年=¥75,000
②当期取得:{(建物¥1,000,000-残存価額ゼロ)÷耐用年数40年}×3ヶ月(1/1~3/31)/12ヶ月=¥6,250
減価償却費:➀+②=¥81,250

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費
81,250
建物減価償却累計額
81,250

(2)備品
減価償却費:(建物¥300,000-残存価額ゼロ)÷耐用年数5年=¥60,000

借方科目金額貸方科目金額
減価償却費
60,000
備品減価償却累計額
60,000

以上の2つの仕訳を1つにまとめた後、借方の2つの減価償却費の金額を合計し、1行にしたものが解答の仕訳になります。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール

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