工業簿記2級 補助部門費配賦差異とは(原価計算入門)|計算方法と仕訳(ズボンメーカーの問題例)

更新日:2020年6月24日
作成日:2020年6月23日

引き続き、部門別計算について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

製造間接費の部門別計算のうち、補助部門費配賦差異について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、主に第2段階の部門別計算に関係します。

部門別計算(ぶもんべつけいさん)とは、費目別計算によって集計した費目(直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費)を製品に集計する前に部門別に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

製造部門と補助部門を設定し、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、最終的には各製造部門に原価を集計します。

補助部門費配賦差異とは

補助部門費配賦差異(ほじょぶもんひはいふさい)とは、部門別計算の手続のうち、補助部門から製造部門への部門費を予定配賦した場合の、補助部門費の実際発生額と予定配賦額との原価差異をいいます。

部門別計算では製造間接費(部門個別費+部門共通費)を補助部門と製造部門に賦課または配賦し、次に直接配賦法や相互配賦法といった方法で補助部門費を製造部門に配賦します。

この補助部門から製造部門への配賦の際に、実際発生額ではなく予定額を配賦した場合に発生するのが補助部門費配賦差異です。

補助部門費配賦差異が発生するもう一つの条件は、製造間接費勘定から「製造間接費-〇〇部門(補助部門)」勘定へ振り替えた部門個別費+部門共通費が実際発生額であることです。

<補足>この点、簿記1級以上の学習では異なりますが、工業簿記2級の範囲を前提とすればこの知識で問題ありません。

以上の補助部門費配賦差異をまとめると次の通り(後述の問題を解けば理解できます)。

部門別計算上の役割

部門別計算の役割は次の2つ。

(1)は、製造間接費の予定額と実際発生額を比較した際に部門別に集計しておけば、原因を特定しやすく対策も講じやすいため、管理しやすいということです。

(2)は、「適切に原価を配分できる部門毎の配賦基準」や「補助部門と製造部門」、「集計のための計算方法」を設定して部門別計算を行えば、部門別計算を行わずに単一の配賦基準のみで各製品に配賦した場合よりも、より正確に製造の実態を原価配分に反映できるため、正確な原価計算につながる、ということです。

より具体的には、製造間接費を部門個別費と部門共通費に分類して、それぞれ製造部門と補助部門の各部門へ集計し、その後、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、最終的には補助部門の費用を全て製造部門へ配賦する手続きをいいます。

以上の役割を部門別計算が果たすために設定される計算方法の1つが補助部門費配賦差異です。

補助部門から製造部門へ予定配賦すれば、補助部門の責任で発生した予定外のコストを製造部門に配賦せずに済むため、製造間接費の部門別管理に役立ちます。

また、発生した補助部門費配賦差異は最終的には原則として売上原価に賦課することになるため、部門別計算の役割である「正確な製造間接費の計算」に矛盾することなく採用できます。

補助部門費配賦差異の計算方法

補助部門費配賦差異の計算方法は次の通り。

年間の予定部門費と配賦基準とともに当月の実際配賦基準や実際発生額が与えられ、これらの情報から補助部門費配賦差異を求めるような問題が典型的な出題です。

仕訳

補助部門費配賦差異の仕訳は次の通り(運搬部を補助部門とした場合)。

※ズボンメーカーを例にした部門を設定して解説しています。各部門の詳細な説明は下記の記事を参照。

日商簿記2級の工業簿記は商業簿記と異なり出題される勘定科目は決まっていません。従って上記の勘定科目は一例です。使用する勘定科目は問題に指示がありますので、指示された勘定科目を使います。

仕訳を具体的に説明すると次の通り。

上記の仕訳前の「製造間接費-運搬部」勘定では、借方に製造間接費勘定から振り替えた部門個別費と部門共通費が記入されています。この金額は実際発生額です。

次に、直接配賦法や相互配賦法といった方法で、補助部門から製造部門へ部門費を配賦します。そして、「製造間接費-運搬部」勘定の貸方に相手勘定(製造間接費-〇〇勘定(製造部門))と配賦額を記入します。この金額は予定配賦額です。

すると、両者の貸借差額が補助部門費配賦差異になります。借方残であれば、「実際発生額 > 予定配賦額」であるので不利差異になり、貸方残であれば、「実際発生額 > 予定配賦額」であるので有利差異になります。

問題例(ズボンメーカーを例に)

補助部門費配賦差異に焦点を当てた問題。

※部門別計算の他の手続きの問題はそれぞれの記事に掲載しています。

項目数値データ
当月の実際運搬部門費315,000円
当月運搬回数切抜部:84回、裁縫部:67回

(解き方)「予定配賦率→予定配賦額→補助部門費配賦差異」といった順番で計算します。

次の問題と解説

第3段階の原価計算手続きである製品別計算について解説します。たくさんの原価計算精度の種類を具体的なイメージと結び付けて理解して覚えることがポイント。

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