工業簿記2級 相互配賦法とは|計算方法と仕訳|問題と解説(原価計算入門)

更新日:2020年6月24日
作成日:2016年11月13日

引き続き、部門別計算について解説します。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

製造間接費の部門別計算のうち、相互配賦法について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、主に第2段階の部門別計算に関係します。

部門別計算(ぶもんべつけいさん)とは、費目別計算によって集計した費目(直接材料費、直接労務費、直接経費、製造間接費)を製品に集計する前に部門別に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

製造部門と補助部門を設定し、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、最終的には各製造部門に原価を集計します。

相互配賦法とは

相互配賦法(そうごはいふほう)とは、部門別計算のうち、補助部門から製造部門への配賦計算方法の1つであり、補助部門も含めて自部門以外の部門に配賦を行い(一次配賦)、次の二次配賦では製造部門のみに配賦する方法をいいます。

部門別計算において、費目別計算によって分類された製造間接費は部門個別費と部門共通費に分類され、その後、製造部門と補助部門に賦課または配賦されます。

次に行うのは補助部門の製造部門への配賦です。

この配賦方法として、日商簿記2級(工業簿記)では直接配賦法と相互配賦法を学習します。

配賦計算の名称説明
直接配賦法補助部門から補助部門への配賦は行わず、製造部門のみに配賦する方法
相互配賦法補助部門も含めて自部門以外の部門に配賦を行い(一次配賦)、次の二次配賦では製造部門のみに配賦する方法

具体的な計算方法ですが、補助部門から製造部門への配賦を1回だけ行う直接配賦法とは異なり、相互配賦法は補助部門を含めて1回、その後、製造部門のみに1回、の計2回配賦計算を行います。従って、計算に時間がかかり、計算ミスも多くなりやすいです。

日商簿記2級の過去問(直近30回以上)を分析すると、直接配賦法のみ出題されています(ただし、相互配賦法も出題範囲であるため、相互配賦法が絶対に出題されない、とはいえません)。

部門別計算上の役割

部門別計算の役割は次の2つ。

(1)は、製造間接費の予定額と実際発生額を比較した際に部門別に集計しておけば、原因を特定しやすく対策も講じやすいため、管理しやすいということです。

(2)は、「適切に原価を配分できる部門毎の配賦基準」や「補助部門と製造部門」、「集計のための計算方法」を設定して部門別計算を行えば、部門別計算を行わずに単一の配賦基準のみで各製品に配賦した場合よりも、より正確に製造の実態を原価配分に反映できるため、正確な原価計算につながる、ということです。

より具体的には、製造間接費を部門個別費と部門共通費に分類して、それぞれ製造部門と補助部門の各部門へ集計し、その後、直接配賦法や相互配賦法といった計算方法を使って、最終的には補助部門の費用を全て製造部門へ配賦する手続きをいいます。

以上の役割を部門別計算が果たすために設定される計算方法の1つが相互配賦法です。

相互配賦法によれば、各補助部門に設定した適切な配賦基準を使って正確な配賦計算が可能です。また、製造間接費を製造部門に正確に集計すれば、製造部門の予算実績管理をはじめ部門別のコスト管理に役立ちます。

相互配賦法の計算方法

相互配賦法を計算する前の準備として、補助部門と製造部門に部門個別費の賦課と部門共通費の配賦を終わらせておきます。

準備ができたら、すべての補助部門の部門費の合計と配賦基準を確認します。

次に補助部門の部門費を1件1件、配賦計算によって各部門に配分していきます。

配賦計算は2回行います。1次配賦では、自部門を除き、他の補助部門と製造部門に配賦計算を行い、2次配賦では製造部門のみに配賦します。

従って、上記の式のうち、配賦基準(合計)の部分は1回目と2回目で異なる数字になります。この点、注意して計算します。

そして、1次配賦後の部門費を配賦するので、上記の式のうち、補助部門の部門費も異なる数字です(以上は後述の問題を解けば理解できます)。

以上の手続きの結果、補助部門の部門費を全額、製造部門へ配賦できれば相互配賦法の計算完了です。

部門別計算はその後、製造部門の部門費を各製品(製造指図書)へ配賦する手続きや製造間接費の原価差異分析へ進みます。

仕訳

直接配賦法も相互配賦法も仕訳は同じです。次の通り(「製造部門:切抜部」「補助部門:運搬部」とします)。

補助部門である運搬部の製造間接費を切抜部という製造部門へ配賦した場合の仕訳。「製造間接費-〇〇部門勘定」といった勘定科目で出題されることが多いです。

※ズボンメーカーを例にした部門を設定して解説しています。各部門の詳細な説明は下記の記事を参照。

問題例(ズボンメーカーを例に)

相互配賦法の計算に焦点を当てた問題(問題自体は直接配賦法の記事と同じ)。

※部門別計算の他の手続きの問題はそれぞれの記事に掲載しています。

補助部門配賦基準
清掃部工場占有面積(㎡)
工場事務部従業員数(人)
項目合計切抜部裁縫部清掃部工場事務部
部門費1,260,000465,000505,00097,500192,500
工場占有面積(㎡)501520510
従業員数(人)124512
項目合計切抜部裁縫部清掃部工場事務部
部門費1,260,000465,000505,00097,500192,500
 清掃部より-32,50043,333△97,50021,667
 工場事務部より-77,00096,25019,250△192,500
1次配賦結果1,260,000574,500644,58319,25021,667
項目合計切抜部裁縫部清掃部工場事務部
部門費1,260,000465,000505,00097,500192,500
 清掃部より-32,50043,333△97,50021,667
 工場事務部より-77,00096,25019,250△192,500
1次配賦結果1,260,000574,500644,58319,25021,667
 清掃部より-8,25011,000△19,250-
 工場事務部より-9,63012,037-△21,667
2次配賦結果(解答)1,260,000592,380667,620--

仕訳は次の通り(1次配賦、2次配賦、補助部門別に分けた場合の仕訳)。

次の問題と解説

部門別計算のうち、補助部門費配賦差異について解説します。他の原価差異との違いを具体的なイメージと結び付けて理解して覚えることがポイント。

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