工業簿記2級 材料費とは(原価計算入門)|勘定科目と仕訳、手続きを解説

更新日:2020年8月12日
作成日:2016年11月4日

今回から費目別計算のうち、材料費について解説していきます。

※この「原価計算入門」のサイトでは、2級レベルの工業簿記を、衣服メーカーを例として毎回解説しています。

種類別の勘定連絡図(個別、総合、標準)

クリックすると、実際個別原価計算、実際総合原価計算、標準原価計算それぞれの勘定連絡図(簿記2級で出題される典型的なケース)が別窓で開きます。

今回の学習はココ

上記の勘定連絡図のうち材料について学習します。工業簿記の計算段階でいうと、第1段階の費目別計算に該当します。

費目別計算(ひもくべつけいさん)とは材料費、労務費、経費といった費目を直接費と間接費に分類して計算・集計するための手続きをいいます。

具体的には上記の各勘定連絡図の左側に位置する材料、賃金、経費などの総勘定元帳から、仕掛品や製造間接費に分類して集計する手続きです。

材料とは

材料(ざいりょう)とは、製品の元になる原材料や部品、消耗品などのことをいいます。

例えばズボンという製品の材料は布、ボタン、ファスナー、糸などをいいます。

材料費とは

材料費(ざいりょうひ)とは、製品の元になる原材料や部品、消耗品などの材料に要した費用のことをいいます。

例えばズボンという製品の材料費は布、ボタン、ファスナー、糸などに要した費用をいいます。

材料費の分類

工業簿記で材料の購入や消費を記帳(仕訳)する場合には、いくつかに分類して材料費を把握します。

衣服のズボンメーカーを例にすると、材料費には次の種類があります。

項目内容(ズボン)
素材費(原料費)布(綿素材、ナイロン、麻)など。主要材料費ともいいます。名前の通り主な材料。
買入部品費ボタン、ファスナーなど買い入れた部品。
補助材料費糸など補助的に使用される。
工場消耗品費型紙、接着剤など
消耗工具器具備品費ズボンを作るのに使用する道具。針、ハサミ、ミシンなど

直接材料費と間接材料費(費目別計算)

材料費のうち、どの製品にどの位、消費したかが把握できるものを「直接材料費(ちょくせつざいりょうひ)」、把握できないものを「間接材料費(かんせつざいりょうひ)」といいます。

次に材料費の分類を直接費と間接費に区分すると次の通り。具体例で覚えるとイメージしやすくなります。

項目具体例直接or間接
素材費(原料費)直接材料費
買入部品費ボタン、ファスナー
補助材料費間接材料費
工場消耗品費型紙、接着剤
消耗工具器具備品費針、ハサミ、ミシン

※なお、たな卸減耗費は間接経費(かんせつけいひ)。材料費ではありません。

直接材料費と間接材料費の詳細は下記を参照。

材料費の勘定科目

工業簿記2級で材料の購入や消費を記帳(仕訳)する場合に使用する勘定科目を例示すると次の通り。

・材料 ・直接材料費 ・間接材料費 ・仕掛品 ・製造間接費 ・素材 ・買入部品 ・補助材料 ・材料副費 ・主要材料 ・部品 ・消耗品 ・買掛金など

※工業簿記は商業簿記と異なり勘定科目の出題範囲が決まっていません。

従って、取引の流れを理解して仕訳パターンを覚えるとともに、問題で与えられた勘定科目を使って解く力が求められます。

原価活動の流れ

材料の購入(取得原価の計算)→材料の消費(払い出し)→月末材料のたな卸

この活動が材料費に関係するので、仕訳や総勘定元帳などの記帳や転記を行います。

順番に解説していきます。

購入(取得原価の計算)と仕訳

(例)ズボンの布を1,000枚、単価100円で購入(代金は掛け払い)。配送業者に運搬してもらい、運賃が5,000円かかったとします。

この場合の仕訳は次の通り。

材料の価値(=取得原価、購入原価とも)は購入代価(布の支払額)100,000円(=@100円×1,000枚)だけでなく、業者からズボンを引き取る時にかかる一連の代金(費用)を含めます。

この一連の費用を「材料副費(ざいりょうふくひ)」といいます。

購入-別の仕訳例

問題の設定で材料ではなく素材、買取部品、補助材料といった勘定科目が設定されている場合は次の通り。

借方は材料によって勘定科目は変わります。ボタンやファスナーであれば買入部品、糸であれば補助材料です。

購入-材料副費差異(予定配賦)

材料副費は実際の発生額ではなく予定配賦によって計算する場合もあります。

例えば、上記の布の例で、予定配賦による計算では運賃が4,000円だった場合の仕訳は次の通り(材料副費、材料副費差異勘定を使用した場合)。

材料副費の計算方法など詳細は下記を参照。

消費と仕訳

(例)ズボンを製造するために布を100枚を倉庫の棚から取り出して工場内の生産ラインまで運んで投入しました。計算した単価は@110円とします。

この場合の仕訳は次の通り。

布は素材費であり直接材料費です。工場で製造投入した場合、すなわち仕掛中の場合は材料勘定から仕掛品勘定に振り替えます。

ボタンやファスナーといった買入部品費も直接材料費のため仕掛品勘定に振り替えます。

(例)ズボンを製造するために大量の糸50,000円を倉庫から取り出して製造投入しました。

この場合の仕訳は次の通り。

糸は補助材料費であり間接材料費です。なぜ間接材料費かと言うと単価が安く在庫管理していないのでズボン1本を製造するのにどれ位消費したのか把握できないからです。

間接材料費を製造投入した場合、材料勘定から製造間接費勘定に振り替えます。

糸だけでなく単価が安い型紙や接着剤、そして毎日のようにたくさんの製造に使用する針やハサミ、ミシンも間接材料費のため、糸と同じ仕訳です。

消費-別の仕訳例

同じ問題の設定で、仕掛品、製造間接費以外に直接材料費、間接材料費といった勘定科目が設定されている場合は次の通り。

仕掛品、製造間接費へ直接振り替えるのではなく、間に直接材料費、間接材料費を経由するような勘定科目の体系の場合が該当します。

本試験ではほとんどが仕掛品、製造間接費へ直接振り替える仕訳が出題されますが、例外的な仕訳パターンが出題されることもあります。慌てないように「このような仕訳パターンも存在する」ことは最低限、頭に入れておくとよいと思います。

材料消費単価の計算方法である先入先出法と平均法については次の記事を参照

月末棚卸しと仕訳

(例)継続記録法を採用している。月末に布の棚卸しを行った結果、帳簿よりも50枚(単価@100円)だけ少なかった。

この場合の仕訳は次の通り。

棚卸減耗費は間接経費です。従って製造間接費に振り替えます。

製造間接費以外に間接経費勘定が設定されている場合は次の通り。

棚卸減耗費の計算方法や仕訳、発生条件など詳細は次の記事を参照

消費価格差異の仕訳

実際原価計算では、実際価格の替わりに予定価格を使って消費単価を計算できます。

原価差異は月末に計算して仕訳します。例えば、当月の布の消費数量と実際価格、消費価格とで消費価格差異を計算した結果、8,000円の不利差異が発生した場合の仕訳は次の通り。

消費価格差異の計算方法など詳細は次の記事を参照

次の問題と解説

次は直接材料費と間接材料費について解説します。分類ごとに具体例をイメージしながら「なぜこの費目なのか」を理解して覚えることがポイント

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