会計入門 資本取引・損益取引区分の原則

更新日:2020年3月4日
作成日:2012年5月6日

前回、「会計入門その18~資本金と資本準備金」では、資本金と資本準備金について説明しました。

今回は、利益準備金と資本取引・損益取引区分の原則について説明していきます。

利益準備金がなぜ存在するのかについて解説します。

次に資本取引・損益取引区分の原則について、両者を区別する理由に焦点を当てて解説していきます。

利益準備金

利益準備金(りえきじゅんびきん)とは、その名の通り「利益の準備金」すなわち儲けに対する準備金をいいます。

会社に儲けが出たので、株主に還元するために配当を行うとします。

配当を行うこと自体は別に構わないのですが、安易に配当してしまうと、会社財産が外部に流出してしまい、その結果、会社債権者がお金を回収できない、といったことが生じるケースがあります。

例えば、これまでの累積の儲けが100あったとして、そのうち80を株主に配当しました。

その後、売掛金が50回収不能になってしまった結果、次の決算では繰越利益剰余金(儲けの累積に該当する科目)がマイナス30(100-80-50)になってしまいました。

結果、この会社の債権者はお金を回収できなくなってしまう事態になってしまいます。

このように、いくら繰越利益剰余金があるといっても、将来のことは分かりませんので、余りにも多くのお金を配当として流出させてしまうと、後々、会社債権者がお金を回収できなくなる危険性があります。

そこで、会社財産が安易に社外に財を流出しないようにし会社債権者を保護するため、「会社法(かいしゃほう)」と「会社計算規則(かいしゃけいさんきそく)」という法律で、次のルールを定めています。

  • 1.配当をした場合、配当金額の10分の1を資本準備金又は利益準備金として積み立てる。
  • 2.上記の金額は配当など儲けが社外流出する都度、資本準備金と利益準備金の合計額が資本金の4分の1になるまで積み立てる。

以上から、利益準備金とは、配当による会社財産の流出によって会社債権者が害されることを保護するために設定する科目と言えます。

資本取引・損益取引区分の原則

純資産の科目は大きく2つの取引に区別できます。

  • 1.資本取引(しほんとりひき):出資してもらったお金に関する区分・科目
    ⇒資本金、資本剰余金(資本準備金、その他)
  • 2.損益取引(そんえきとりひき):出資してもらったお金をビジネス活動に投資した結果、得られた儲け(または赤字)に関する区分・科目
    ⇒利益剰余金(利益準備金、繰越利益剰余金その他)

この2つの取引は、性質が異なるため、この2つの取引を区別して使い分ける必要があります。

これを「資本取引・損益取引区分の原則(しほんとりひきそんえきとりひきくぶんのげんそく)」といいます。

企業会計原則(きぎょうかいけいげんそく)にも次の通り定めがあります。

資本取引と損益取引を明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金を混同してはならない。

例えば、繰越利益剰余金は儲け、すなわち損益計算書に関連する科目であるため、この科目を資本取引と混同して使用してしまうと適正な損益計算ができなくなってしまい会社の実体を反映しないことになってしまいます。

従って、この2つの取引は区別しなければならない、ということです。

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