予定価格・予定賃金等とは| メリットと仕訳を解説(原価計算)

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記事最終更新日:2023年7月14日
記事公開日:2021年10月26日

原価計算の費目別計算のうち、材料費・労務費・製造間接費の計上に「予定価格」「予定賃金」「予定配賦率」を使用することがあります。

本記事では、予定価格等の概要やメリットを説明した後に、予定価格等を使用した場合の仕訳を解説します。

※「費目別計算」の概要は、下記の記事で解説しています。

予定価格・予定賃金・予定配賦率とは

「予定価格」「予定賃金」「予定配賦率」とは、将来の一定期間における実際の材料価格・賃率・配賦率を予め予想して定めた価格をいいます。費目別計算で原価要素を計算する際に適用する価格等の1つです。

適用対象

予定価格等は「実際原価計算」で使用できます(ただし、予定価格等を使用せずに「実際価格等」で計算することもできます)。

これに対して、「標準原価計算」では、標準価格等を使用します。

予定価格等を適用するメリット

実際価格等と比較すると、予め定めた予定価格等を使用するため、実際価格等を計算せずに消費額の計算が行えます。従って、消費の都度、すぐに帳簿記帳できます(消費額の計算事務の迅速化)。

また予定価格等を用いた場合、予定価格は一定であり実際価格のように変動しないことから、消費額は価格変動の影響を受けず、消費活動の能率の良否のみに影響を受けます。つまり、予定価格等の適用は、「消費額の原価管理」に役立ちます。

標準原価計算との違い

標準原価計算では、価格面だけでなく物量面でも標準を設定します。価格と数量の両方で原価差異が発生する点も実際原価計算と異なります。

予定価格等の種類

次の通り。

項目種類
直接材料費予定価格
直接労務費予定賃率
製造間接費予定配賦率

消費額の計算方法

予定価格等に「実際消費量」を乗じて消費額を計算します。

項目消費額の計算
直接材料費予定価格 × 実際材料消費量
直接労務費予定賃率 × 実際直接作業時間
製造間接費予定配賦率 × 実際操業度

原価差異の計上

予定価格等を適用した場合には、実際発生額との差額を原価差異として計上します。

項目原価差異
直接材料費材料消費価格差異
直接労務費賃率差異
製造間接費製造間接費配賦差異

予定価格等の仕訳

原価差異の計上を除き、実際価格等で計算した場合の直接材料費等と同じ仕訳になります。

直接費は「仕掛品」に振り替え、間接費は「製造間接費」に振り替えます。

予定価格等を使用した場合には、上述の通り、「材料消費価格差異」などの原価差異が発生します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
直接材料費の計上仕掛品×××材料×××
直接労務費の計上仕掛品×××賃金・給料×××
間接費の計上製造間接費×××材料×××
賃金・給料×××
減価償却費など×××
原価差異の計上(※1)原価差異×××材料など×××

別の勘定科目を使用する場合もあります。
(※1)借方差異(不利差異)の場合

仕訳例

  • 1.予定価格の適用に伴い、材料消費価格差異10(不利差異)が発生した。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1材料消費価格差異10材料10

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須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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