在外子会社の為替換算と連結仕訳|会計基準上のポイント
記事最終更新日:2022年10月5日
記事公開日:2022年6月25日
在外子会社の連結会計は、難しいイメージがあります。しかし確かに計算量や書く量が多いですが、出題される論点として覚えることはそんなに多くはありません。
本記事では、在外子会社の換算と連結仕訳について、会計基準上のポイントを中心に解説します。
在外子会社の為替換算と連結仕訳|会計基準上のポイント
目次
在外子会社の連結手続き
通常の子会社と異なるのは、一般の連結手続き(F/S合算と連結修正仕訳)を行う前に「円換算」を行う点です。外貨建て(主にドル)の財務諸表上の数値を円建て(¥)に置き換える作業を行います。
円換算
在外子会社の円換算の会計処理は、「外貨建取引等会計処理基準(改訂のポイントを含む)」「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」に定めがあり、各財務諸表項目は次の為替相場によって換算します。
<在外子会社の円換算>
- ・資産及び負債:決算時の為替相場(CR)
- ・資本(株式取得時):支配獲得時、追加取得時などの為替相場(HR)
- ・収益及び費用(支配獲得後の利益剰余金)
- 原則として期中平均相場(AR)。ただし、決算時の為替相場(CR)を容認
為替換算調整勘定
在外子会社の財務諸表項目の換算の結果、貸借対照表の貸借差額が発生した場合には、「為替換算調整勘定」を純資産の部(評価・換算差額等の区分)に計上します。
※為替換算調整勘定は下記の記事で解説
タイムテーブルを使った解き方
在外子会社の連結会計の問題は情報が多く計算量が多くなることから、在外子会社用のタイムテーブルの書き方を習得すると解答力が高まります。有名書籍でも解説していない場合もありますが、電子書籍テキスト「PDCA会計 計算編1 連結会計テキスト Ⅰ.資本連結」では、タイムテーブルを使う方法で解説しています。
連結修正仕訳
円換算した後は、一般の連結手続きと同じように連結修正仕訳を作成していきます。
会計基準等
※2022年10月5日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。
・外貨建取引等会計処理基準(企業会計審議会)
・外貨建取引等会計処理基準の改訂に関する意見書(企業会計審議会)
・外貨建取引等の会計処理に関する実務指針(会計制度委員会報告第4号)
仕訳例
- 在外子会社(資本金15ドル 利益剰余金5ドル)の株式60%を18ドルで取得した。HR100円/ドル
借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
資本金 | 1,500 | 子会社株式 | 1,800 |
利益剰余金 | 500 | 非支配株主持分 | 800 |
のれん | 600 | | |
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