評価差額とは|会計基準(税効果会計など)の概要と連結仕訳を解説

会計書類と電卓

記事最終更新日:2022年10月5日
記事公開日:2022年6月7日

投資と資本を相殺する資本連結を行う際に「評価差額」が登場することがありますが、連結会計上の科目であり、個別財務諸表に表示されないことから、難しいと感じる方も多いと思います。

この記事では、評価差額とは何かについて、税効果会計などの会計基準上の取り扱いに言及しつつ、概要や連結修正仕訳について解説します。

評価差額と連結決算上の仕訳|税効果会計など会計基準上の取り扱いや概要を解説

目次

評価差額とは

評価差額とは、子会社の資産及び負債の時価による評価額と、当該資産及び負債の個別貸借対照表上の金額との差額をいいます。

取引内容

支配獲得日に、子会社の土地や建物といった有形固定資産を時価評価して、評価差額を計上する場合が、代表的な評価差額の適用例です。

会計処理

連結決算上、子会社の個別財務諸表の修正仕訳として、評価差額を計上し、株主資本や評価・換算差額等と同じく純資産として取り扱います。

支配獲得日において識別した評価差額は、資本連結上、親会社の子会社に対する投資と相殺する子会社の資本として、株主資本や評価・換算差額等とともに相殺消去されます。

税効果会計との関係

評価差額の対象は会計上において識別する資産負債であり、課税所得上の資産負債に対してではありません。従って、両者の差額は「連結財務諸表固有の一時差異」として取り扱います。

すなわち、評価差額を計上した際には、税効果会計を適用して繰延税金資産又は繰延税金負債を計上します。

連結会計と全面時価評価法

上記「会計処理」の通り、連結決算上、支配獲得日に連結子会社の資産負債を時価評価して評価差額を計上します。

当該評価差額は、子会社の資産及び負債の全てを支配獲得日の時価で評価します(全面時価評価法)。

持分法と部分時価評価法

持分法適用会社については、、持分法適用会社の資産及び負債の時価評価額と個別財務諸表上の金額との差額のうち、投資会社の持分に対応した部分の金額を評価差額として計上します(部分時価評価法)。

一方で非連結子会社に対して持分を適用する場合には、子会社の場合と同じく、全面時価評価法で評価差額を計上します。

会計基準

※2022年10月5日現在。リンク先の会計基準等は最新版でない場合があります。

連結財務諸表に関する会計基準(企業会計基準第22号)
連結財務諸表における資本連結手続に関する実務指針(会計制度委員会報告第7号)
持分法会計に関する実務指針(会計制度委員会報告第9号)

連結決算上の仕訳

評価差額勘定(純資産に属する勘定科目)」で仕訳します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
計上土地など×××評価差額×××
繰延税金負債×××
資本連結資本金×××子会社株式×××
資本剰余金×××非支配株主持分×××
利益剰余金×××
評価差額×××
のれん×××

※評価益が発生した場合

表示

評価差額は子会社の純資産として分類されます。

しかし、評価差額は資本連結において投資(子会社株式)と相殺消去されることから、連結貸借対照表には反映されません。

時価評価した土地や建物などの資産負債、及び税効果会計を適用した場合の繰延税金資産・繰延税金負債は、連結貸借対照表に反映されます。

仕訳例

  • 子会社の土地(帳簿価額100)の支配獲得日における時価評価額は120である(法定実効税率を30%とする)。
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
土地20評価差額14
繰延税金負債6

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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