預り金とは|仕訳例を示して具体的に解説(簿記3級)

記事最終更新日:2024年1月22日
記事公開日:2021年8月8日

「預り金」は簿記3級で学習する代表的な勘定科目の1つですが、「立替金」との違いが分からず理解するのに時間がかかる受験生も少なくないのではと思います(学生時代の私もその1人でした)。

本記事では、簿記3級で出題される「預り金」について、仕訳例を示して具体的に解説するとともに、「立替金」との違いについても分かりやすく解説します。

仕訳例

<仕訳例>
1.事業提携企業と行う共同プロジェクトの費用(事業提携企業の負担部分)として、10が当社の普通預金口座に振り込まれた。
2.上記1.の代金について、当社負担費用10とともに普通預金から取引先の銀行口座へ振込んだ。当社負担費用は「支払手数料」で仕訳すること。
3.従業員の給料を当座預金から支払った(給与総額100。うち、社会保険料15、源泉所得税5)。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1普通預金10預り金10
2支払手数料10普通預金20
預り金10
3給料100当座預金80
社会保険料預り金15
所得税預り金5

預り金とは

預り金」とは、取引先や従業員の金銭を会社が一時的に預かった場合に発生する、取引先や従業員に対する債務をいいます。

(補足)立替金との違いと共通点

金銭を預からずに他社や従業員の代わりに支払った場合は「立替金」を使用して仕訳します。

「預り金」は最初に金銭を預かった後に支払いが生じるのに対して、「立替金」は先に会社が支払いを行い、その後、立て替えた金銭を返してもらう、というように「取引の順序」が異なります。

一方で、「仕訳例」の「補足」で解説した通り、「預り金」は当社以外の第三者が負担する金銭を預かるため、当社の費用にはなりません。「立替金」も当社以外の第三者が負担する費用の立て替えであるため、当社の費用ではなく、この点については両者ともに共通しています。

社会保険料と源泉所得税の預り

従業員が負担する「社会保険料」や「(源泉)所得税」を預かった場合には「社会保険料預り金」、「所得税預り金」の勘定科目を使用します。

※従業員の社会保険料や所得税は給料から控除して(差し引いて)預かります。

勘定科目の属性

預かった金銭について、会社は、費用を負担する会社や従業員に代わって、取引先や国などの支払先に支払う義務を負うことから、「預り金」は「負債に属する勘定科目」に分類されます。

従って、「取引の8要素」に基づいて、「預り金」の増加は貸方に記入し、減少は借方に記入して仕訳します。

仕訳方法

金銭を預かった場合には、「預り金」の増加として貸方に記入するとともに、「現金」「普通預金」などを借方に記入します。

その後、預かった金銭を支払った場合には、「預り金」の減少として借方に記入するとともに、「現金」「普通預金」などを貸方に記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
金銭の預かり現金・預金×××○○預り金×××
金銭の支払い○○預り金×××現金・預金×××

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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