立替金とは|仕訳を分かりやすく解説(簿記3級)
記事最終更新日:2024年1月21日
記事公開日:2017年10月29日
「立替金」は簿記3級で学習しますが、理解しやすい「売掛金」などと比較すると少し理解するのに時間がかかるかもしれません。
本記事では、簿記3級で出題される「立替金」について、基本的な仕訳を解説します。
仕訳例(補足付き)
<仕訳例>
1.取引先が負担する支払代金10を代わりに現金で支払った。
2.上記1.の代金について、取引先が当社の普通預金口座に振り込んだことを確認した。
3.従業員が負担する家賃の支払い10について、代わりに当座預金から支払った。
4.給料の支払日のため、給与総額30(うち、社会保険料5、源泉所得税2)から上記2.の立替金を控除した残額を当座預金から従業員の銀行口座へ振り込んだ。
No | 借方科目 | 借方金額 | 貸方科目 | 貸方金額 |
---|---|---|---|---|
1 | 立替金 | 10 | 現金 | 10 |
2 | 普通預金 | 10 | 立替金 | 10 |
3 | 従業員立替金 | 10 | 当座預金 | 10 |
4 | 給料 | 30 | 当座預金 | 13 |
社会保険料預り金 | 5 | |||
所得税預り金 | 2 | |||
従業員立替金 | 10 |
<(補足)従業員立替金の「給料」からの控除>
- ・「従業員立替金」は「従業員貸付金」のように、給料から差し引いて回収することがあります。
- ※簿記3級で出題される仕訳としては難問の1つ。
立替金とは
「立替金」とは、取引先や従業員が負担する支払いについて、取引先や従業員の代わりに会社が一時的に支払いを立て替えた場合に発生する、取引先や従業員に対する債権をいいます。
この場合の「債権」とは、「取引先や従業員の代わりに立て替えた代金を、将来、会社に返してもらう」という権利をいいます。従って、会社は取引先や従業員に対して代金を請求して回収します。
これに対して、他社や従業員の支払のためにお金を預かる場合は「立替金」ではなく、「預り金」になります。
※下記の記事では、「預り金」と「立替金」との違いについても、分かりやすく解説しています。
従業員立替金
従業員に対する立替金は、通常の立替金とは区別して、「従業員立替金」といいます。
<従業員立替金の例>
- ・従業員が住む賃借物件の家賃
- ・従業員が加入する各種の保険料
勘定科目の属性
「立替金」及び「従業員立替金」は、将来、会社にキャッシュが入ってくることから、「会社の財産」として「資産に属する勘定科目」に分類されます。
従って、「立替金」及び「従業員立替金」の増加は借方に記入し、減少は貸方に記入します。
仕訳方法
取引先や従業員の代わりに代金を立て替えた時には、「立替金」「従業員立替金」の増加として借方に記入するとともに、「現金」「普通預金」などの支払手段の勘定科目を貸方に記入します。
その後、取引先や従業員から代金を回収した場合には、「立替金」「従業員立替金」が減少するため、貸方に記入します。
「従業員立替金」の場合、立て替えた代金は、「社会保険料」や「源泉所得税」と同様に給料から差し引いて回収する場合があります。
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