社会保険料の勘定科目と仕訳をわかりやすく解説(経理実務入門)

記事更新日:2026年4月13日
記事公開日:2021年10月3日

社会保険料は年金や健康に関係するため、年を取るにつれて重要さを実感するようになり、関心を持つようになります。

一方で、20代、30代の方で経理や労務実務が未経験の場合には、社会保険と一般の保険との違いが分からない方も少なくないと思います。

そこで本記事では、経理の入門者を対象に、社会保険料とは何かについて概要を説明した後に、社会保険料の取引で用いる勘定科目や仕訳処理の仕方についてわかりやすく解説します。

<本記事について>
※雇用保険と労災保険は会計処理が複雑なため、入門者を対象とした本記事では解説しません。
※法律上の厳密さよりも分かりやすさを優先して解説しています。

社会保険料とは

社会保険とは、病気、高齢化、失業、労働災害、介護などのリスクに備えて、国民が国に料金を支払う公的な保険制度をいいます。

この支払いを社会保険料といいます。

一般的な保険との違い

一般的な保険の場合には、保険会社に保険料を支払い、その代わりに、保険の種類によって地震や火災、病気で入院などの際には保険金を受け取れます。

これに対して、社会保険では、国にお金を支払います(納付といいます)。そして、その代わりに老後には年金を受取れます。また、後述の通り、健康保険や介護保険のようにお金を受け取る代わりにコストの節約になるものもあります。

社会保険の種類とメリット

健康保険・介護保険・厚生年金保険の社会保険料を納付している場合、次のメリットがあります。

種類メリット
健康保険病気や怪我などの際に、健康保険証(マイナ保険証または資格確認書)で安く受診できる。
介護保険低料金で介護サービスを利用できる。
厚生年金保険老後に年金を受け取れる。

誰が社会保険料を支払うのか?

社会保険料は国民が国に支払います。

しかし、会社の従業員(正社員、契約社員、パート、アルバイト、派遣社員)の場合には健康保険・介護保険・厚生年金保険の社会保険料のうち半分(50%)を会社が負担してくれます(つまり、会社と従業員とで折半)

例えば、社会保険料の合計が10万円の場合には、会社と従業員が5万円ずつ負担します。

納付方法

従業員は、直接国に社会保険料を納付しません。

それではどうするのかというと、会社が従業員の代わりに社会保険料を納付します。具体的には、毎月の給料について、会社は給料から社会保険料(従業員の負担額)を控除して(差し引いて)、従業員に支払います。そして、納付期日までに従業員に代わって会社が会社の負担額と合わせて国に納付します。

給料の控除項目が社会保険料のみとした場合、例えば、給料30、社会保険料4(従業員負担額2、会社負担額2)の場合、30から2(従業員負担額)を差し引いた28を従業員に支払います。その後、社会保険料の納付期日までに、会社は従業員から預かった2と会社負担額2の合計4を国に納付します。

仕訳処理

社会保険料の勘定科目を示した後に、取引の時系列で仕訳例を示しながら解説します。

1.勘定科目

従業員負担部分と会社負担部分とで、それぞれ別々の勘定科目を用います。
前者は「預り金(負債に属する勘定科目)」で仕訳し、後者は「法定福利費(費用に属する勘定科目)」を使用します。

預り金で仕訳する理由

社会保険料の従業員負担部分を預り金で処理するのは、会社負担部分ではなく、文字通り給料支払時に従業員から預かったお金だからです。

このお金(通常は預金)は給料支払い時に会社の手許にありますが、納付する時に支払うため、社外に流出します。すなわち、給料支払い時にお金を預かった際に「将来の納付期日までに従業員に代わって国に納付する義務」が発生するため、買掛金と同様に負債になります(義務の発生時に貸方に計上し、支払時に借方に計上)。そして負債の勘定科目の中で最も適切なものが「預り金(社会保険料預り金)」ということです。

法定福利費で仕訳する理由

これに対して、社会保険料の会社負担部分は従業員から預かったお金ではないため、上記のような義務は発生しません(つまり負債ではない)。このお金は会社が負担するものであり、戻ってくる性質のものではないため貸付金といった資産ではなく、広告宣伝費、水道光熱費、支払家賃などと同じく費用になります。

そして、「国民が安心に暮らせるように病気や高齢化などに備えるために国に納付する社会保険料のうち、会社負担部分は法の定めに基づくもの」であるため、「法定福利費」という勘定科目を用います。

2.仕訳の仕方

毎月、次の各取引を仕訳します。

(1)法定福利費の未払計上

毎月末に社会保険料(会社負担額)について、借方に法定福利費を記入します。貸方は納付する前のため、未払費用(または未払法定福利費)を用いて仕訳します。

<仕訳例>
6/30 当月6月分の社会保険料(会社負担額)¥90,000を未払計上した。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
6/30法定福利費90,000未払法定福利費 ※90,000

※未払費用でも可

(2)給料の支払い

毎月の給料日に給与の仕訳を記帳します。具体的には給与総額で借方に「給料」を記帳し、貸方には社会保険料(従業員負担額)や源泉所得税などの控除項目に該当する勘定科目(〇〇預り金)を記入した後、給与総額から控除項目の合計額を差し引いた残額で普通預金などの支払い口座の勘定科目を記入します。

<仕訳例>
7/20 前月6月分の給料を普通預金から従業員の預金口座へ振り込んだ。給与総額¥1,000,000、控除項目は社会保険料¥90,000(6月分。従業員負担分)、源泉所得税¥30,000である。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
6/20給料1,000,000普通預金880,000
社会保険料預り金 ※90,000
所得税預り金 ※30,000

※日商簿記3級で使用する勘定科目。預り金でも可

<取引の8要素>

取引の8要素の一覧表

(3)社会保険料の納付

社会保険料の納付期日(毎月末)までに、従業員負担額と会社負担額の合計額を国(日本年金機構)に納付します。

借方に給料支払い時に計上した預り金(従業員負担額)と、前月末に計上した未払費用(会社負担額)をそれぞれ記入するとともに、貸方には現金や普通預金など支払方法を表す勘定科目を用いて、納付の合計額で仕訳します。

<仕訳例>
7/31 前月6月分の社会保険料¥180,000(従業員負担額¥90,000、会社負担額¥90,000)を現金で納付した。

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
7/31未払法定福利費 ※190,000現金180,000
社会保険料預り金 ※290,000

※1:未払費用でも可
※2:日商簿記3級で使用する勘定科目。預り金でも可

仕訳問題

<問題>
次の社会保険料に関する取引について、適切な仕訳を示しなさい。なお、当社は毎月末日を締め日、翌月25日を給与支払日としている。また、当月分の社会保険料を翌月末日に納付する。

  • 7/31 当月分の社会保険料(会社負担)¥410,000を未払計上した。
  • 8/25 7月分の給与を普通預金口座から各従業員の預金口座へ振り込んだ。給与総額¥3,000,000、健康保険料¥140,000、介護保険料¥20,000、厚生年金保険料¥250,000、源泉所得税¥90,000 ※社会保険料は全て従業員負担額
  • 8/31 7月分の社会保険料を普通預金からの口座振替(自動引き落とし)によって日本年金機構へ納付した。

<解答>

日付借方科目借方金額貸方科目貸方金額
7/31法定福利費410,000未払法定福利費 ※1410,000
8/25給料3,000,000普通預金2,500,000
社会保険料預り金 ※2410,000
所得税預り金 ※290,000
9/30未払法定福利費 ※1410,000普通預金820,000
社会保険料預り金 ※2410,000

※1:未払費用でも可
※2:日商簿記3級で使用する勘定科目。預り金でも可

<取引の8要素>

取引の8要素の一覧表

<解説>
8/25 社会保険料(従業員負担額)の合計額=健康保険料¥140,000+介護保険料¥20,00+厚生年金保険料¥250,000=¥410,000

8/31 8月分の社会保険料納付額は、7/31計上の未払法定福利費(会社負担額)¥410,000と8/25計上の社会保険料預り金(従業員負担額)¥410,000の合計¥820,000(7月分の社会保険料)になります。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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著者プロフィール

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