要支払額とは?|賃金の当月発生額の求め方と仕訳を解説

記事最終更新日:2025年1月7日
記事公開日:2020年5月19日

本記事では、工業簿記の労務費の計算における重要用語の1つである「要支払額」とは何かについて、計算方法を中心にわかりやすく解説します。

※本記事は原価計算基準に基づき文章中心で解説しています。
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要支払額とは

要支払額とは、原価計算の労務費を求める金額の1つです。賃金の支払額と未払額から計算した「労働の当月発生額(消費額)」のことを指します。

例えば10月の要支払額は、10/1-10/31の間の工員の労働の対価を計算することを意味します。

対象

間接工賃金や工場事務職員の給料などの労務費は要支払額で計上します。

直接工との違い

直接工の労務費は要支払額ではなく、賃率と作業時間から計算します。予定賃率を採用した場合には賃率差異も発生します。

計算方法

次の通り、賃金支払額と未払額から計算します。

<例題>
当社の賃金は15日締め25日払いである。次のデータから10月の要支払額を求めなさい。

・前月賃金未払額(9/16-9/30) 300万円
・当月賃金支払額(9/16-10/15) 1,000万円
・当月賃金未払額(10/16-10/31) 320万円

<考え方>
10/1-10/31の労働の対価(賃金)を上記の数値から導き出しますが、日付を見ながら考えれば、上記の計算式を用いれば良いことが分かると思います。

<解答>
要支払額=1,000万円(9/16-10/15) −300万円(9/16-9/30) +320万円(9/16-9/30) =1,020万円

商業簿記との違い

商業簿記の給料は月末締めを前提としていますが、工業簿記の賃金は月末以外の日を締め日として想定しています。従って、計算方法の通り要支払額は未払額を含めて計算します。

要支払額の仕訳

間接労務費に該当するため、製造間接費勘定で仕訳します。

借方科目借方金額貸方科目貸方金額
製造間接費×××賃金・給料×××

※別の勘定科目を使用する場合もあります。

仕訳例

  • 当月の間接工の要支払額1,020万円を労務費に計上する。
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
製造間接費10,200,000賃金・給料10,200,000

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

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