41.貸倒引当金の個別評価と一括評価、B/S,P/L表示(簿記2級)

更新日:2019年9月18日
公開日:2017年11月26日

貸倒引当金の個別評価と一括評価、B/S,P/L表示

前回、「商業簿記入門その40~貸倒引当金と貸倒損失の仕訳処理」では貸倒引当金や貸倒損失の仕訳処理について解説しました。

今回は貸倒引当金の個別評価と一括評価の違い、及び貸借対照表や損益計算書上の表示方法について説明します。




貸倒引当金の個別評価と一括評価について

前回、「商業簿記入門その40~貸倒引当金と貸倒損失の仕訳処理」では、貸倒引当金の見積方法として、次の方法を述べました。

「売掛金や受取手形などの債権残高に対して、過去の貸倒実績に基づいて貸倒引当金を見積もる方法」

このように、ある時点(通常は決算時)の「債権残高全体」に対して、過去の貸倒実績率などを用いて貸倒引当金を設定することを「一括評価」といいます。

これに対して、ある個別の債権(通常はA社、B社といった取引先の債権)に対して、過去の貸倒実績率とは異なり、個別に回収可能性を判断して貸倒引当金を設定する場合があります。これを「個別評価」といいます。

個別評価の場合も仕訳処理は一括評価と同様です。

貸倒引当金を設定する対象範囲について

貸倒引当金は債権に対して設定します。

従って、売掛金や受取手形だけでなく、貸付金や営業外受取手形、立替金など、商品の販売により発生した債権以外の債権にも貸倒引当金を設定する場合があります。

設定方法は売掛金や受取手形と同様です。




貸倒引当金の貸借対照表上の表示

具体的にイメージできるように貸借対照表のサンプルを掲載します。

貸借対照表

上図のサンプルでは、貸倒引当金は2か所に表示されています。どちらも左側の資産の区分にて、①流動資産の区分の一番下(固定資産の記載のすぐ上)に「貸倒引当金 △240」 ②固定資産の区分の一番下(資産合計の記載のすぐ上)に「貸倒引当金 △300」と表示されています。△はマイナス(-)の意味です。

このように貸倒引当金は貸借対照表上には、各資産の金額から控除(差し引く、マイナスするということ)する科目ということが分かります。

流動資産の区分に表示されている貸倒引当金は、流動資産に表示された債権、すなわち売掛金や受取手形、未収入金などを対象としています。

これに対して固定資産の区分に表示されている貸倒引当金は、固定資産に表示された債権、すなわち長期貸付金などを対象としています。




貸倒引当金の損益計算書上の表示

次に損益計算書上の貸倒引当金の表示を見てみましょう。

損益計算書

(1)貸倒引当金繰入(費用の発生)
貸倒引当金を設定する(見積もる、評価する)場合、貸倒引当金残高と比較して見積額が大きい場合には、貸倒引当金繰入勘定(費用に属する勘定科目)を使用して貸倒引当金を増やす仕訳処理を行います。

①売上債権の場合
売上債権、すなわち商品販売に係る債権である売掛金や受取手形、電子記録債権などの貸倒引当金を増やし、貸倒引当金繰入を仕訳処理した場合には、損益計算書上では「販売費及び一般管理費」の区分に含めて表示します。

上図の損益計算書では、「販売費及び一般管理費 725,894」の金額の一部が売上債権に係る貸倒引当金繰入ということになります。

この販売費及び一般管理費の内訳明細を作成して添付することがあります。こちらもサンプルを用意しました(×には実際は金額が入ります)。

販管費明細

様々な販売費及び一般管理費の科目が表示されていますが、貸倒引当金繰入も表示されていることが分かります。

②売上債権以外の債権の場合
売上債権以外の債権、すなわち貸付金や未収入金、立替金などの貸倒引当金を増やし、貸倒引当金繰入を仕訳処理した場合には、損益計算書上では「営業外費用」の区分に含めて表示します。

上図の損益計算書では、営業外費用の区分に、「その他 439」と表示されており、この金額の一部が売上債権以外の債権に係る貸倒引当金繰入ということになります。

(2)貸倒引当金戻入(収益の発生)
貸倒引当金を設定する(見積もる、評価する)場合、貸倒引当金残高と比較して見積額が小さい場合には、その差額は貸倒引当金戻入勘定(収益に属する勘定科目)を使用して貸倒引当金を減らす仕訳処理を行います。

貸倒引当金戻入を仕訳処理した場合には、売上債権かどうかに関わらず、通常は損益計算書上では「営業外収益」の区分に含めて表示します。

上図の損益計算書では、仮に貸倒引当金戻入が発生していれば、営業外収益の区分に表示されている「その他 23」の金額の一部が、売上債権以外の債権に係る貸倒引当金戻入ということになります。

貸借対照表と損益計算書(実務形式と試験での出題形式との違い)

上記の貸借対照表や損益計算書は実務で用いられる形式で掲載しました。実務では上図の通り、金額が少額である場合には「その他」の一部としてまとめて表示される場合があります。試験で出題される場合とは異なりますのでこの点はご理解ください。

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まとめ

今回は、貸倒引当金について、個別評価と一括評価の違いや貸借対照表及び損益計算書上での表示方法について解説しました。債権の種類によって表示方法が異なるなど、理解しながら問題演習にも取り組んで覚えましょう。







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