差入保証金とは|仕訳例を示して簡単に解説(簿記3級)

記事最終更新日:2024年1月29日
記事公開日:2021年8月9日

「差入保証金」は簿記3級の試験範囲に含まれる勘定科目であり、「敷金」とセットで学習します。

本記事では簿記3級で出題される「差入保証金」の基本的な仕訳について、例を示してシンプルに解説します。

仕訳例

<仕訳例>
1.会社移転に伴い、新しいオフィスの賃貸借契約を不動産会社と締結した。入居前の敷金100を小切手を振り出して支払った。
2.10年後、事業拡大のため再度、会社移転することとなり、上記1.の賃貸借契約を解約した。原状回復工事の完了後、敷金100が当社の普通預金口座に振り込まれ、返金を確認した。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1差入保証金100当座預金100
2普通預金100差入保証金100

差入保証金とは

差入保証金」とは、取引に際し、債務者が債権者に担保として差し入れる「敷金(後述)」や「保証金」などの金銭をいいます。

「差入保証金」は勘定科目名でもあります。例えば、「オフィスを借りる会社(賃貸人)」の場合、「敷金」の振り込み時には「差入保証金」を使用して仕訳します。

これに対して、「大家や不動産会社など、物件の賃借人」が「敷金」を預かった場合には、「預り保証金」で仕訳します(簿記2級で出題)。

敷金とは

オフィスなどの賃貸借契約の際に、賃貸人である大家や不動産会社が賃借入である会社から預かる金銭を「敷金」といいます。

会社が移転などに伴い賃貸借契約を解約してオフィス賃借を止める場合、会社はオフィスを賃借前の状態に戻す「原状回復」を行う義務を果たさなければなりません(実務上では、賃貸借契約の際に賃借人と賃貸人との負担を決めます)。ただし、賃借人が原状回復を怠る場合があるため、その際には、賃貸人は原状回復に必要な費用を「敷金」から差し引きます。

勘定科目の属性

「差入保証金」は将来、返金される性質の金銭であることから、「会社の財産」として「資産に属する勘定科目」に分類されます。

従って、「取引の8要素」に基づき、「差入保証金」の増加は借方に記入し、減少は貸方に記入します。

仕訳方法

「敷金」を支払った場合には、「現金・預金(資産)」の減少として貸方に記入すると同時に、「差入保証金(資産)」の増加として借方に記入します。

「敷金」が戻ってきた場合には、「現金・預金(資産)」の増加を借方に記入し、「差入保証金(資産)」の減少を借方に記入します。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
敷金の振り込み差入保証金×××現金・預金×××
敷金の返金現金・預金×××差入保証金×××

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須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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