商業簿記入門その81~税金(法人税、住民税、事業税)の仕訳処理(2級)

更新日:2019年5月5日
公開日:2018年4月20日

税金(法人税、住民税、事業税)の仕訳処理(2級)

前回、「商業簿記入門その80~税金の仕訳処理(3級)」では、3級の税金の仕訳処理について解説しました。

今回は、税金のうち、法人税、住民税、事業税の仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


法人税とは

法人税(ほうじんぜい)とは、主に法人の課税所得(かぜいしょとく)を基礎として納税額が決められ、会社などの法人に課される税金をいいます。

課税所得とは、1年間に会社が稼いだ利益から、税法のルールに基づいた各項目に集計した金額を足したり引いたりして調整した金額のことをいいます。

法人税は「課税所得×税率」で計算します。

住民税とは

住民税(じゅうみんぜい)とは、都道府県や市町村区が防災、福祉、教育などの行政サービス提供を目的として、地域住民や法人に対して課す税金をいいます。

住民税は、会社など法人が負担する法人住民税と個人の従業員(住民)が負担する個人住民税に分けて考えます。

個人住民税は所得税と同じく給料から差し引かれて、会社が預かって納付するケースが多いです(所得税と同様に給料の控除項目として仕訳処理します)。

このページで説明する仕訳処理の方法は法人住民税です。

事業税とは

事業税(じぎょうぜい)とは、法人や個人が行う事業に対して都道府県が課税する税金をいいます。


法人税、住民税、事業税の納付について

これらの税金は、原則として事業年度の終了日(決算日)の2カ月以内に納付する必要があります。

これを「確定納付(かくていのうふ)」といいます。

※税金を支払うことを「納付(のうふ)」といいます。

例えば決算日が3月31日であれば、5月31日までに税金を納付します。

税金を納付する金額を確定するために作成する書類のことを「申告書(しんこくしょ)」といいます。

また、中間申告(ちゅうかんしんこく)という制度があり、期首から6カ月を経過した後、2カ月以内に中間申告を行って、税金の一部を納付します。

追徴と還付

追徴(ついちょう)とは、納付した税金が少なかったため、納付金額を修正して追加の税金を納付することをいいます。

還付(かんぷ)とは、追徴とは反対に、税金を多く支払ってしまったため、その分のお金が戻ってくることをいいます。


法人税、住民税、事業税の仕訳処理

法人税、住民税、事業税に関する取引は、「法人税、住民税及び事業税勘定(その他に属する勘定科目)」「仮払法人税等勘定(資産に属する勘定科目)」「未収還付法人税等勘定(資産に属する勘定科目)」「未払法人税等勘定(負債に属する勘定科目)」「追徴法人税等勘定(その他に属する勘定科目)」「還付法人税等勘定(その他に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

覚えることが多く、理解するのが大変なため、いくつかのケースに分けてそれぞれ解説します。

ケース1:中間納付の仕訳処理

中間納付を行った場合には、法人税、住民税、事業税の金額は確定していません。確定するのは決算日を経て、申告書を作成した時です。

従って、中間納付は仮払いという扱いになるため、仮払法人税等勘定を使用します。

具体的には借方に仮払法人税等勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
中間納付仮払法人税等×××現金預金など×××

ケース2:納付額確定時の仕訳処理

この段階では納付額が確定しただけで納付は行っていません。

決算日後、申告書を作成した結果、納付する金額が確定した場合には、法人税、住民税及び事業税勘定を借方に記入し、ケース1で借方記入した仮払法人税等勘定を貸方に記入します。両社には差額が発生します(出題では借方金額 > 貸方金額)。従って、差額は決算日後、2カ月以内に支払うため、未払法人税等勘定を貸方に記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
納付額の確定法人税、住民税及び事業税×××仮払法人税等×××
未払法人税等×××

ケース3:確定納付時の仕訳処理

ケース2で仕訳した税金を支払います。

納付額が確定した後に、確定申告のため、法人税、住民税、事業税を納付した場合には、未払法人税等勘定を借方に記入し、貸方には現金預金などの勘定科目を記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
確定納付未払法人税等×××現金預金など×××

ケース4:追徴時の仕訳処理

確定納付を行った後、支払った税金が少なかった場合には追徴の税金を納付します。

追徴が判明した時の仕訳処理では、借方に追徴法人税等勘定を記入し、貸方に未払法人税等勘定を記入します。

追徴の税金納付時には、借方に未払法人税等勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
追徴の判明追徴法人税等×××未払法人税等×××
追徴の税金納付未払法人税等×××現金預金など×××

ケース5:還付時の仕訳処理

確定納付を行った後、支払った税金が多かった場合には、還付の手続きを行って、お金を戻して(還付して)もらいます。

還付が判明して手続きを行った時の仕訳処理では、借方に未収還付法人税等勘定を記入し、貸方に未収還付法人税等勘定を記入します。

お金が還付された時には、借方に未収還付法人税等勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
還付の確定未収還付法人税等×××還付法人税等×××
お金の還付現金預金など×××未収還付法人税等×××

仕訳例

次の取引はA社(決算日3月31日)の法人税、住民税、事業税に関する取引である。仕訳処理しなさい。

  • 1.11月20日 中間申告を行い、200万円を普通預金より振り込んで納付した。
  • 2.3月31日 決算日を迎えた。申告書を作成した結果、確定申告の納付額は500万円である。
  • 3.5月25日 確定納付を普通預金より振り込むことで行った。
  • 4.8月10日 納付額が不足していることが判明したため、ただちに追加で10万円を現金で納付した。
  • 5.9月15日 申告書を確認した結果、税金を5万だけ多く支払っていたことが判明した。そこで還付の手続きを行った。
  • 6.10月20日 本日、上述の6.の還付のお金が普通預金に振り込まれた。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仮払法人税等2,000,000普通預金2,000,000
2法人税、住民税及び事業税5,000,000仮払法人税等2,000,000
未払法人税等3,000,000
3未払法人税等3,000,000普通預金3,000,000
4追徴法人税等100,000現金100,000
5未収還付法人税等50,000還付法人税等50,000
6普通預金50,000未収還付法人税等50,000

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まとめ

今回は法人税、住民税、事業税の仕訳処理について解説しました。1ページの解説ですが、覚えることが沢山あるため、他のページよりも大きく時間を取ってじっくりと取り組みましょう。


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