商業簿記入門その82~消費税の仕訳処理(2級)

公開日:2018年4月20日

消費税の仕訳処理(2級)

前回、「商業簿記入門その81~税金(法人税、住民税、事業税)の仕訳処理(2級)」では、税金のうち、法人税、住民税、事業税の仕訳処理について解説しました。

今回は、税金のうち、消費税の仕訳処理について説明します。

※簿記2級の論点になります。


消費税とは

消費税(しょうひぜい)とは、モノの購入やサービスの消費に対して課される税金をいいます。

皆さんにも身近な税金ですので、多くの説明は必要ないでしょう。

例えば、皆さんがモノを購入した場合には、モノ自体のお金だけでなく、消費税も含めてお金を支払っています。

消費税の支払いは、皆さんのような個人だけでなく、会社などの法人も同じであり、モノの購入やサービスの消費時には消費税を支払います。

会社による消費税の取り扱いについて

皆さんは通常は消費税を納付するということはありません。厳密にはモノの購入やサービスの消費時にこれらの事業を営む会社を通じて間接的に納付しているということができます。

個人である皆さんに対して、会社では事業を行っています。例えば、モノを販売している会社であれば、皆さんにモノを販売した場合には、モノ自体のお金だけでなく消費税も受け取っていることになります。

これは、皆さんから「消費税を預かっている(仮受けしている)」ということができます。

従って、最終的には消費税は利益に含めてはいけません。

そこで消費税を仕訳処理するための勘定科目や仕訳処理方法が必要になります。

消費税の納付

消費税は決算日後、2カ月以内に申告書を作成して納付する必要があります。

また、一定の条件を満たす会社は、その満たした条件に応じて複数回(1~11回)の中間納付を行います。


消費税の仕訳処理

消費税に関する取引は、「仮払消費税勘定(資産に属する勘定科目)」「仮受消費税勘定(負債に属する勘定科目)」「未払消費税勘定(負債に属する勘定科目)」「未収消費税勘定(資産に属する勘定科目)」「租税公課勘定(費用に属する勘定科目)」「雑益勘定(収益に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

消費税の仕訳処理には、「税抜処理(ぜいぬきしょり)」「税込処理(ぜいこみしょり)」という2つの方法があります。

税抜処理による仕訳処理

税抜処理は原則的な仕訳処理方法です。次の通り仕訳処理します。

まず、商品を仕入れた場合やサービス費用が発生した場合には、商品やサービス本体の価格部分は他のページで解説している通りに仕訳処理します。

そして、消費税部分については、借方に仮払消費税勘定を記入し、貸方は本体価格部分も含めた金額で現金預金、買掛金、未払金などの勘定科目を記入します。

次に商品を販売した場合やサービス提供した場合には、商品やサービス本体の価格部分は仕入れと同様、他のページで解説している通りに仕訳処理します。

そして、消費税部分については、借方には本体価格部分も含めた金額で現金預金、売掛金、未収入金などの勘定科目を記入し、借方に仮受消費税勘定を記入します。

商品仕入れと商品販売を例にすると次の通りとなります。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品仕入れ仕入×××現金預金、買掛金など×××
仮払消費税×××
商品販売現金預金、売掛金など×××売上×××
仮受消費税×××

次に、決算時に申告書を作成して消費税の金額を確定した場合の仕訳処理ですが、仮払消費税勘定と仮受消費税勘定の残高を相殺し、残高の多い方の反対側に未払消費税勘定または未収消費税勘定を記入します。

最後に、消費税の支払い時または還付(かんぷ。お金がもどってくること)時に、未払消費税勘定または未収消費税勘定を記入し、反対側に現金預金などの勘定科目を記入します。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消費税の確定仮払消費税 <
仮受消費税
仮受消費税×××仮払消費税×××
未払消費税
仮払消費税 >
仮受消費税
仮受消費税×××仮払消費税×××
未収消費税×××
消費税の支払い未払消費税×××現金預金など×××
消費税の還付(戻り)現金預金など×××未収消費税×××

税込処理による仕訳処理

税込処理は簡便的( = より簡単)な仕訳処理方法です。次の通り仕訳処理します。

まず、商品を仕入時や商品販売時などでは、他のページで解説している通りに仕訳処理します。

この際に、税抜処理と異なるのは、

本体価格に消費税部分も含めて金額を記入することです。

税抜処理のような仮払消費税勘定や仮受消費税勘定といった、特別な勘定科目は使用しません。

これまで解説してきたことと同じであるため記載するまでもありませんが、商品仕入れと商品販売を例として記載すると次の通りです。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
商品仕入れ仕入×××現金預金、買掛金など×××
商品販売現金預金、売掛金×××売上×××

次に、決算時に申告書を作成して消費税の金額を確定した場合の仕訳処理ですが、売上勘定や役務収益勘定などの売り上げと、売上原価や役務原価、その他の費用から仕入れの、それぞれの残高から、納付する消費税を計算して、借方に租税公課勘定、貸方に未払消費税勘定を記入して仕訳処理します。

もし、売り上げよりも仕入れの消費税が大きかった場合には、消費税が戻ってくる( = 還付される)ことになるため、借方に未収消費税勘定を記入し、貸方に雑益勘定を記入します。

最後に、消費税の支払い時または還付(かんぷ。お金がもどってくること)時に、未払消費税勘定または未収消費税勘定を記入し、反対側に現金預金などの勘定科目を記入します。この処理は税抜処理と同じです。

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
消費税の確定仕入れ <
売り上げ
租税公課×××仮払消費税×××
仕入れ >
売り上げ
未収消費税×××雑益×××
消費税の支払い未払消費税×××現金預金など×××
消費税の還付(戻り)現金預金など×××未収消費税×××

仕訳例

次はA社の消費税に関する取引である。税抜処理と税込処理のそれぞれの方法で仕訳をきりなさい。消費税は8%とする。

1.商品10万円(本体価格)を仕入れ、代金は掛けとした。
2.商品15万円(本体価格)を販売し、代金は掛けとした。
3.決算日を迎えた。売り上げに関する消費税は1千万円、仕入れに関する消費税は800万円である
4.消費税を普通預金からの振り込みによって納付した。

解答1:税抜処理

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕入100,000買掛金108,000
仮払消費税8,000
2売掛金162,000売上150,000
仮受消費税12,000
3仮受消費税10,000,000仮払消費税8,000,000
未払消費税2,000,000
4未払消費税2,000,000普通預金2,000,000

解答2:税込処理

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕入108,000買掛金108,000
2売掛金162,000売上162,000
3租税公課2,000,000未払消費税2,000,000
4未払消費税2,000,000普通預金2,000,000

まとめ

今回は消費税の仕訳処理について解説しました。前ページの法人税、住民税、事業税の仕訳処理と同様に、1ページの解説ですが覚えることが沢山あるため、他のページよりも大きく時間を取ってじっくりと取り組みましょう。


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