98.(H31改定)新株発行(増資)の仕訳処理(簿記2級、簿記3級)

更新日:2019年9月23日
公開日:2018年4月25日

新株発行(増資)の仕訳処理

※平成31年の改定によって、平成31年(令和元年)以降、簿記2級だけでなく簿記3級の試験範囲になった部分が含まれています(詳細は各項で説明)。

前回、「商業簿記入門その97~株式会社の設立と開業の仕訳処理(2級)」では、株式発行の設立時や開業前の仕訳処理について解説しました。

今回は、新株発行(増資)時の仕訳処理について解説します。




新株発行(増資)時の手続きと仕訳処理(3級)

会社を設立した後に株式を発行する場合も、会社を設立した場合と同様に手続きを行い、仕訳処理します。

すなわち新株発行に関する取引については、設立時と同じく「資本金勘定(純資産に属する勘定科目)」および当座預金を使用して仕訳処理します。

具体的には、お金の払い込みがあった場合には、借方に当座預金勘定を記入し、貸方に資本金勘定を記入します。

新株発行(増資)時の仕訳処理(3級まとめ)

<会社法上の手続き>

<

特に覚えることなし。

<仕訳処理>

出来事借方科目借方金額貸方科目貸方金額
新株発行(増資)時の株式発行
(原則的な手続き)
当座預金×××資本金×××

仕訳例(3級)

  • 1.A社は増資を行った。3,000株を1株あたり2,000円で発行したところ、全額申込があり、払込金は当座預金に預け入れた。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1当座預金6,000,000資本金6,000,000

【解説】
払込金の計算:3,000株 × @2,000円 = 6,000,000円




新株発行(増資)時の手続き(2級)

会社を設立した後に株式を発行する場合には、必要な事項を定めて株主総会または取締役会の決議を得る必要があります(ケースによって決議する機関は、株主総会なのか取締役会なのかは異なります)。

その後、株主を募集し、株主になりたい者よりお金の払い込みを受けます。この時に一時的な払い込み用の口座として「別段預金(べつだんよきん)」を設ける場合があります。

この段階で払い込まれたお金を「株式申込証拠金(かぶしきもうしこみしょうこきん)」といいます。

払い込み期間が経過し、払込期日になると、払い込みをした者は株主になります。別段預金を使用していた場合には当座預金にお金が移動し、資本金と資本準備金にお金を組み入れます。

新株発行(増資)時の仕訳処理(2級)

新株発行に関する取引については、「資本金勘定(純資産に属する勘定科目)」「資本準備金勘定(純資産に属する勘定科目)」「株式申込証拠金勘定(純資産に属する勘定科目)」「別段預金勘定(資産に属する勘定科目)」および当座預金などを使用して仕訳処理します。

具体的には、お金の払い込みがあった場合には、借方に当座預金勘定など預金勘定を記入し、貸方に株式申込証拠金勘定を記入します。別段預金を使用する場合には、当座預金勘定などではなく別段預金勘定を使用します。

払込期間が経過して払込期日になった場合には、指示に従って、資本金と資本準備金を計算し、借方に株式申込証拠金勘定を記入し、貸方に資本金勘定、資本準備金勘定を記入します。

別段預金を使用している場合には、同時に当座預金勘定への資金移動があるため、借方に当座預金勘定などの預金勘定を記入し、貸方に別段預金勘定を記入します。




株式交付費とは(2級)

株式交付費(かぶしきこうふひ)とは、新株発行の際に要した諸取引によって発生した支出をいいます。

例えば、株券の印刷代金や株式募集や公告のための費用、証券会社への手数料などが、株式交付費に該当します。

株式交付費の仕訳処理(2級)

株式交付費が発生するような取引については、「株式交付費勘定(費用に属する勘定科目)」を使用して仕訳処理します。

具体的には、借方に株式交付費勘定を記入し、貸方に現金預金などの勘定科目を記入します。

新株発行(増資)時の仕訳処理(2級まとめ)

<会社法上の手続き>

項目手続き
新株発行の決議新株発行については株主総会または取締役会で決議する。
株主となる日お金の払込期日に株主になる。
資本準備金に組み入れ可能な金額株式発行の払込金額の2分の1までを、資本金とはせずに資本準備金とすることができる。

<仕訳処理>

出来事別段預金
の使用
借方科目借方金額貸方科目貸方金額
新株発行時の払い込み別段預金×××株式申込証拠金
×当座預金など×××株式申込証拠金×××
払込期日の到来株式申込証拠金×××資本金×××
資本準備金×××
当座預金など×××別段預金×××
×株式申込証拠金×××資本金×××
資本準備金×××



仕訳例(2級)

  • 1.公開会社であるA社は、取締役会の決議を経て、新株を発行することになった。条件は次の通りである。
  • (1)発行株式数5,000株 発行価額8,000円
  • (2)払い込まれた金額のうち、会社法に定められる最低限度額を資本金に組み入れる。
  • 募集株式のうち、全額の払い込みがあり、別段預金に預け入れた。
  • 2.上記1.の払込期日となったため、別段預金を当座預金に資金移動した。
  • 3.上記1.の新株発行に際し、株券印刷代金10万円、証券会社への支払手数料100万円を普通預金より支払った。
No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1別段預金40,000,000株式申込証拠金40,000,000
2株式申込証拠金40,000,000資本金20,000,000
資本準備金20,000,000
当座預金40,000,000別段預金40,000,000
3株式交付費1,100,000普通預金1,100,000

【解説】
2.払込期日には、株式申込証拠金勘定から資本金勘定、資本準備金勘定への振り替えを行います。問題文にそのような記載がなくても仕訳処理できるようにしましょう。




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まとめ

今回は新株発行の仕訳処理について解説しました。2級では資本金組み入れ額の計算は必ず覚えておきましょう。







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