日商簿記3級 売掛金と買掛金の記帳(得意先、仕入先元帳、人名勘定)

更新日:2020年12月27日
公開日:2017年8月26日

前回は売掛金と買掛金の取引と仕訳について解説しました。

今回は売掛金と買掛金の記帳方法(得意先、仕入先元帳、人名勘定)について説明します。

売掛金と買掛金の記帳

主要簿(仕訳帳、伝票、総勘定元帳)の記帳は売掛金と買掛金についても他の勘定科目と同様です。

すなわち、会社の売掛金と買掛金の増減取引は、仕訳帳または伝票に記入した後に、総勘定元帳に転記します。

取引→仕訳帳(または伝票)→総勘定元帳

人名勘定とは

売掛金や買掛金で仕訳処理すると売掛金や買掛金の増減や残高は把握できますが、取引先が複数存在する場合には取引先別の増減や残高を把握できません。

そこで、売掛金や買掛金の代わりに「人名勘定(じんめいかんじょう)」を使用することがあります。

例えばA社に対する売掛金や買掛金の増減取引は、売掛金勘定や買掛金勘定を使用せずに「A社」という人名勘定を使用します。

A社勘定を使用することで、A社に対する売掛金や買掛金の明細や残高はすぐに把握することができます。

売掛金の増減取引をA社勘定、B社勘定、C社勘定という3つの人名勘定を用いて総勘定元帳を記帳した場合について例を示しましたのでご覧ください。

左図のように売掛金勘定のみの場合は各社の増減や残高は分かりませんが、右図のように人名勘定を用いて記帳すると各社の増減や残高はすぐに把握できます。

売掛金元帳(得意先元帳)と買掛金元帳(仕入先元帳)とは

人名勘定を用いれば各社の売掛金と買掛金の増減や残高を把握できます。しかしあまりにも取引先が多ければ、勘定科目が取引先の数だけ増えます。総勘定元帳の記録も膨大になってしまいます。

人名勘定を用いて総勘定元帳を記帳すると、確かに各社の増減や残高は把握することができます。しかし、売掛金や買掛金全体の増減や残高を把握できません。

売掛金や買掛金は売上や仕入と関連する重要な勘定科目であるので、会社も全体の増減や残高も把握しておきたいと考えるでしょう。

そこで、これらの要望に応える方法として総勘定元帳という主要簿ではなく、「売掛金元帳(得意先元帳)」や「買掛金元帳(仕入先元帳)」という補助簿(補助元帳)に各社の増減や残高を把握するために記帳する方法があります。

【記帳の流れ】
取引→①仕訳帳(または伝票)→②総勘定元帳(売掛金勘定、買掛金勘定を使用。人名勘定は使用しない)→③売掛金元帳(得意先元帳)、買掛金元帳(仕入先元帳)

次に具体的な書き方を解説します。

仕訳例

甲社の令和2年8月の取引は次の通りである。仕訳し、総勘定元帳に記帳するとともにA社とC社の売掛金元帳と買掛金元帳を記帳しなさい。
※商品の仕入には仕入勘定を、商品の販売には売上勘定を用いて仕訳する。

  • 1.8月 4日 A社より商品10万円を仕入れた。代金は翌月に支払う。
  • 2.8月 7日 B社より商品6万円を仕入れた。代金は翌月に支払う。
  • 3.8月10日 C社に商品12万円を販売した。代金は翌月に回収する。
  • 4.8月13日 D社に商品15万円を販売した。代金は翌月に回収する。
  • 5.8月17日 A社に商品代金12万円を小切手を振り出して支払った。
  • 6.8月18日 B社に商品代金5万円を小切手を振り出して支払った。
  • 7.8月21日 C社から商品代金としてC社振出の小切手10万円を受け取った。
  • 8.8月26日 D社から商品代金として甲社振出の小切手18万円を受け取った。

【仕訳】

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仕入100,000買掛金100,000
2仕入60,000買掛金60,000
3売掛金120,000売上120,000
4売掛金150,000売上150,000
5買掛金120,000当座預金120,000
6買掛金50,000当座預金50,000
7現金100,000売掛金100,000
8当座預金180,000売掛金180,000

【総勘定元帳】

【売掛金元帳(得意先元帳)】

C社

平成29年摘要借方貸方借/貸残高
81前月繰越100,000100,000
10売上120,000220,000
21小切手回収100,000120,000
31次月繰越120,000
220,000220,000
91前月繰越120,000120,000

【買掛金元帳(仕入先元帳)】

A社

平成29年摘要借方貸方借/貸残高
81前月繰越90,00090,000
4仕入100,000190,000
17小切手振出120,00070,000
31次月繰越70,000
190,000190,000
91前月繰越70,000120,000

売掛金元帳(得意先元帳)と買掛金元帳(仕入先元帳)の記帳方法

売掛金元帳と買掛金元帳の記帳は上の例の通りです。

取引先ごとに記帳します。例ではA社とC社のみですが、B社(買掛金元帳)とD社(売掛金元帳)も本来であれば記帳します。

「摘要欄」は取引が分かるように記帳します。

「借/貸」欄は残高です。すなわち借方残なのか貸方残なのかを表します。通常は売掛金であれば「借」が、買掛金であれば「貸」を記入します。

まとめ

今回は売掛金(得意先)元帳や買掛金(仕入先)元帳、人名勘定などについて解説しました。売掛金元帳と買掛金元帳は試験でもよく出題されます。過去問も解いておきましょう。

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