貯蔵品とは|概要と基本仕訳を分かりやすく解説

記事最終更新日:2024年2月2日
記事公開日:2021年10月5日

「貯蔵品」は簿記3級で学習する勘定科目であり、切手や貯蔵品の在庫を計上する際に使用しますが、事務用品などの消耗品は在庫計上しない、といった試験上のポイントがあります。また、「固定資産の除却」の記帳時には「貯蔵品」を使用するため、簿記2級でも出題されます。

本記事では、「貯蔵品」の基本的な仕訳について、簿記3級の範囲を中心に、一部では簿記2級や上級者向けの知識にも言及しながら、分かりやすく例を示して解説します。

仕訳例

<仕訳例>
1.期中に切手20、収入印紙10、消耗品(事務用品)5を購入し、全て普通預金口座から支払った。
2.決算日を迎えた。在庫棚卸を行ったところ、金庫には切手3、収入印紙2が保管されていた。また、事務用品の在庫合計は1であった。
3.翌期首。上記2.の再振替仕訳を行う。
4.翌期首。未使用の備品(取得価額10、期首減価償却累計額7、見積処分価値2)の存在を確認したため、除却手続きを行った。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1通信費20普通預金35
租税公課10
消耗品費5
2貯蔵品5通信費3
租税公課2
3通信費3貯蔵品5
租税公課2
4減価償却累計額7備品10
貯蔵品2
固定資産除却損1

貯蔵品とは

貯蔵品」とは、切手や収入印紙など、営業上の販売目的以外の目的で保有する資産を仕訳処理するための勘定科目をいいます。

これに対して、営業上の目的で保有する資産については、「商品」「製品」「仕掛品」といった勘定科目で仕訳します。

(参考)会計基準上の定め

※上級・実務家対象

「連続意見書第四 棚卸資産の評価について」には、「棚卸資産の範囲」に関する記載があります。「貯蔵品」はそのうち、「販売活動および一般管理活動において短期間に消費されるべき財貨」に該当することから、「貯蔵品」は「棚卸資産」の1つといえます。

勘定科目の属性

切手や収入印紙は、それぞれ「郵便サービスを受ける」「契約書に貼り付けて法律上有効な書類とする」といった「経済価値」が存在します。また、処分価値のある除却資産は「売却してキャッシュに換金」できます。

以上から、「貯蔵品」は「会社の財産」に該当することから、「資産に属する勘定科目」に分類されます。

仕訳方法

以下、日商簿記の仕訳方法を示します。

切手と収入印紙

切手や収入印紙は、購入時に全て「通信費」「租税公課」といった勘定科目で費用として計上します。

そして、期末日に在庫の棚卸を行い、カウントした未使用の切手や収入印紙は「通信費・租税公課(費用)」から「貯蔵品(資産)」に振り替えます(決算整理仕訳)。

翌期首には、再振替仕訳を行い、「貯蔵品」から「通信費・租税公課」へ振り替えます。

取引借方科目借方金額貸方科目貸方金額
在庫の計上(決算整理仕訳)貯蔵品×××通信費×××
租税公課×××
翌期首(再振替仕訳)通信費×××貯蔵品×××
租税公課×××

(簿記2級)固定資産の除却

除却した有形固定資産に処分価値がある場合にも「貯蔵品」として処理します。

※詳細は「仕訳例」に掲載の関連記事を参照。

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著者情報

須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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