仮払金とは|仕訳の基本を具体的に解説(簿記3級)

記事最終更新日:2024年1月26日
記事公開日:2017年10月29日

「仮払金」は簿記3級の仕訳問題で出題される勘定科目です。特に出張旅費の問題は頻出になっています。

本記事では、「仮払金」の基本的な仕訳について、例を示して具体的に解説します。

仕訳例

<仕訳例>
1.従業員は営業出張に伴い、交通費(電車・タクシー代)及び宿泊費として、概算10の仮払申請した結果、承認されたため、会計係より同額の小切手を受け取った。
2.上記1.の従業員が出張から戻り、「旅費交通費等報告書(合計8)」を会計係に提出したため、会計係は精算手続きを行い、仮払額との差額を現金で受け取った。
3.上記2.で、「旅費交通費等報告書(合計12)」の場合の仕訳を示しなさい(差額は後日支払うものとする)。

No借方科目借方金額貸方科目貸方金額
1仮払金10当座預金10
2旅費交通費8仮払金10
現金2
3旅費交通費12仮払金10
未払金2

仮払金とは

仮払金」とは、支払いの段階では確定した金額や使用目的が分からず、後にこれらが確定するような性質の支払いをいいます。

上記の仕訳例で説明すると、1.の仮払申請時には、従業員は出張前のため、確定した旅費出張費の金額は分かりません。そこで「概算額10」を申請して会計係より小切手を得ました。従って、この段階では金額が確定していないことから10は「仮払金」として仕訳しています(仮払金の増加)。

その後、出張から戻った従業員は出張旅費の確定額について「旅費交通費等報告書」を作成して会計係に提出しました。

この時点で金額が確定したことから、仮払金の減少として仕訳を記帳しています。

仮払申請

出張のため交通費・宿泊費など個人にとって多額の出費が発生する場合には、出張前に概算額を計算して「仮払申請」を行います。「仮払申請」が承認された場合には、会計係などから概算額を現金や小切手、口座振込といった方法で受け取ります。

旅費交通費等報告書

その後、従業員は出張から帰ってきた時に「旅費交通費等報告書」「出張旅費精算書」などの書類を作成し、「精算手続き(金額を確定させて事前に受け取った概算額との差額を受払いすること)」を行います。

旅費交通費等報告書

書類を受け取った会計係(会社によって他部署の場合もあります)は、書類の内容・金額と、添付された領収書が正しいことを確認した後に、「概算額 > 実際の出張旅費(確定額)」の場合には差額を従業員から受け取り、「概算額 < 確定額」の場合には、不足額を従業員に支払います。

勘定科目の属性

「仮払申請」の際に支払った概算額である「仮払金」は、仮払いの額だけ従業員が旅費や宿泊費としてサービスを受け、会社のために営業活動できることから、「会社の財産」であり、「資産に属する勘定科目」に分類されます。

従って、「取引の8要素」に基づいて、「仮払金」の増加は借方に記入し、減少は貸方に記入します。

仕訳方法

従業員より「仮払金申請」を受け、概算額を支払った場合には、「仮払金」の増加として借方に記入するとともに、支払った「現金・預金」を貸方に記入します。

出張から戻った従業員が報告書(精算書)にて精算手続きを行った場合には、確定した旅費・出張費は費用として「旅費交通費」で借方に記入するとともに、「仮払金」の減少として貸方に記入します。

仮払金(概算額)と旅費交通費(確定額)との差額は、「現金・預金」などで不足している側に記入して仕訳します。

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須藤恵亮(すとうけいすけ)

フリーランス公認会計士。1人で「PDCA会計」を企画・開発・運営。

中央青山監査法人で会計監査、事業会社2社でプレイングマネジャーとして管理業務全般及びIPO準備業務に携わる。

現在は派遣・契約社員等として働きながら、副業的に「PDCA会計」の執筆やアプリ開発等コツコツ活動しています。

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